●part3
着弾は、足元だった。
「イワン、あんたの行動も理由があってのことだろう」
ブレイ・ユウガは銃撃をものともしない。体ごと突っ込む。甲高い音。刃先が跳ねたのだ。ノックバックを利用したイワンの銃は、ブレイの剣を弾いていた。縦にしたライフルで押す。咄嗟に斜め倒したブレイの剣と、樫材の銃身が鍔迫り合いの格好となった。身長はイワンが有利、体重をかけて押す。自分の白刃がじりじりと眼前に迫り、汗と熱で曇るのをブレイは見た。それでも、ブレイは一歩も退かない。
「……だが、俺は綾と未来を歩くと決めた。だから、アンタを倒す!」
「ならば、お嬢さんを連れて方舟に乗れ」
「何を言っている!?」
イワンの形相は、とてもではないが冗談を言っているようには見えない。
「私は子孫を作ることができん。もとより現世に未練などないわ。ブレイ・ユウガと言ったな! お嬢さんと外宇宙で暮らせ、そして子を成すのだ。お嬢さんをどうか……」
鎖分銅を回転させていた綾が、動きを止めた。
しかし、
「断る!」
ブレイははっきりと言った。
「俺が綾と生きるのはこの空だ! 世界は、捨てない!」
イワンの体が後方にたたらを踏んだ。
踏み込み、袈裟懸けたブレイの一太刀は、イワンを深く斬り下げている。
「イワン! 今のは」
防ごうとすれば防げたはず――と言おうとするブレイに首を振ると、イワンはどっと背中からカーペットに崩れ落ちた。
「信じるぞ、その言葉」
引き金が引かれた。イワンの銃剣の。
「……ならばお前ももう、必要がない」
放たれた鉛弾はルビー・トロメイアの胸を貫いている。
左胸に手をやったトロメイアの腹部に、もう一発突き刺さった。
貫通した弾丸はいずれも、巨大な窓硝子に蜘蛛の巣のようなひび割れを残した。
これがイワンがこの世に残した最後のものとなった。すでに事切れていたのである。
蛇上治はトロメイアに駆け寄る。たとえ敵とはいえ、医師として看過はできなかった。
しかし医師だからわかる。
手遅れだ。
「どうしたのです……あなた医者でしょう? 助け……助けてくださいまし……私には、まだするべきことが」
トロメイアは血まみれの手で治の襟元をつかんだ。口元から、紅玉色の血の筋がしたたり落ちる。
「言い残すことは、ありますか」
治は、トロメイアがその言葉の意味を悟ったと知った。
「助けてくださいまし……どうか……世界には私が必要なのです。まだ、必要なのです。……わかっているのですか、無何有郷計画を潰して、運良くアビスを退けられたとして……その後に来るものを? エネルギー問題、旅団間対立、メシア教団、貧困増に、いずれ来る食糧難……誰が解決できるというのです……この私以外に……!」
(死に赴きながらなんて傲慢な……!)
スノウが告げるも、治は首を振ってスノウには答えなかった。
代わりに、トロメイアに言った。
「私たちが引き受けましょう」
どこを見ているのだろう。トロメイアの目はすでに焦点があっていない。涙だけがあふれ続けている。
「それにガウラス・ガウリール、あれは恐ろしい男です……きっとあの男は独裁者になる……いまより何倍も恐ろしい全体主義の時代が、来る……それを防げるのは……わた……」
「それも、私たちが引き受けます」
だから、と治は、トロメイアの瞼を指で下ろしたのである。
「もうお休みください」
いまわの際にトロメイアがつぶやいたのは、
「リン」
という短い一言だった。
◆ ◆ ◆
ジルアスタは空賊のエスバイロに、ナノ・エイドで修理を施し、ふたたび最前線に送り出した。
「三択ナントカだっけ? このオレが、空賊に手を貸す日がくるとはな」
「ジル様!」
リアレットが言う。
「今は『ヴァニラビット一家』というらしいよ。それに、ともにアビスと戦う仲間でしょ!」
「わかってるわかってる、ちょっと言ってみたかっただけだって」
このときリアレットが、足を滑らせそうになったので、反射的にジルアスタはその手を引っ張って止めた。
「ジル様ありがと……って、あれ!?」
「おうどういたしまして……って、おい!?」
もしかして!?
レイ・ヘルメスは手を伸ばした。
電気が背筋を駆け抜ける。整えていた髪がたちまち逆立った。人生で一度きり、ポーカー勝負でロイヤルストレートフラッシュが揃ったときですら、これほどは驚かなかっただろう。
「兄様、私……!?」
彼女自身、目を見張っていた。
間違いない。ウノが肉体を持っている。触ることができる!
「いやあ、絶景かな絶景かな! すごい効果だ」
アビスがあんなに近くなければ、鶉は扇子でも取り出してひとさし舞いたい気分であった。なんとも愉快だ。アニマが実体化し、これに驚く人々の反応を見るのは。
「なにが絶景よ、物見遊山じゃないんだから」
×-はそんな彼を、眼鏡の位置を直しつつたしなめる。
「この界隈のすべての味方には私が通信で事情を説明するから……」
「マリアのことは守れってんだろ、当然だ。そうでないと楽しめないからな!」
「楽しめるかどうかじゃなく……」
と言いかけた×-だが、まあいいか、という気になって口を閉ざした。
なんだかんだいって、ちゃんと鶉は仕事をこなしている。
自分が安心して腹を立てられるのも、そんな鶉が相手だからだろう。
でもせっかく実体化できたのだ。あとで鶉の頬のひとつでも、思いっきりつねってあげるとしよう。
鶉たちはフラジャイルのマリアを守りつつこの空域に進入したのだった。ゆうとカイリもまた、戦いの帰趨を左右するおぼしき少女を擁していた。
「……事情は、わかったよ」
主人と離れているためだろう。突発的な眠気を感じている様子だが、それを除けば【オリヒメ】は健康そうに見える。
「あの中に、リンがいるんだね?」
仙女のような髪型を結った少女、それがオリヒメだ。彼女はアニマである。それも、リン・ワーズワース少尉のアニマである。ミルティアイから発見されたリン少尉の右手、そこに埋まっていたアニマリベラーが、フラジャイルのマリアがもたらした効果で実体化したのだった。
「シープヘッドの中にリンがいるらしい。あるいは、リンが変化してあのような姿になったか……いずれにせよ、近づいてみるつもりだ」
「彼女に呼びかけてみてください。お願いします」
ゆうとカイリの言葉に、オリヒメは交互にうなずいてみせた。
「といっても近づくのは難しい。シャレ抜きで命がけってやつだけどな」
ゆうはスロットルを回した。エスバイロが加速する。
「……カイリ悪ぃ、こんなヤバいことの片棒をかつがせて」
「どうしたんです? 突然」
「オレはずっと、世の中からはオレだけが消えればいいと思ってた。今ならその理由が分かる。それは……オレにつながる誰かに消えないで欲しかったからだと……他人に興味がないようでいて、本当は傷つくのが恐かっただけなんだな」
こういうのって、とゆうは言った。
「青臭いか?」
「かもしれませんね。でも」
カイリは目を細める。
「あなたのそういうところ、嫌いじゃありません。……むしろ、好きかも」
つながってる――と、ゆうは思った。
実体化してふれあい、体温を感じあえるようになったからじゃない。
オレとカイリはずっとつながっているし、これからもつながっていくんだ。
このつながりを『絆(ほだし)』と呼ぶ人もあるだろう。人の心を縛る足枷だと。
けれどゆうは、『絆(きずな)』と呼びたい。
「俺も、リン少尉も、絆を求めてる。なら……独(ひと)りじゃないって教えてやらないとな」
エルヴィスとケーナも、エスバイロの狭いシート内でこの奇跡を迎えていた。しかし互いに周章はない。
訪れるべきものが訪れた、そんな風に自然に受け止めている。
実体化する以前からそうしていたように、ケーナはエルヴィスの肩に頭を預けた。
「こうなった以上、一秒でも長く、あなたといたくなりました」
「同じ気持ちだ。ケーナ、だとすれば」
「アビスが運命だとしても、認めるわけにはいきませんね」
ふたりは顔を見合わせた。新婚者の朝のような、晴れ晴れとした顔を。
「さあ、抗おう」
「エル……たとえこれが終わりとしても。最後まで、あなたと共に」
情報が共有された。
効果のほどは未知数だが、オリヒメをシープヘッドに近づけること、それが作戦目標となる。
「そうと決まれば!」
フィールは機体横に固定していた魔法の杖を外した。
「ここまで温存してきたど、ずっとこれ使いたかったんだよねー!」
しかしこれを『杖』と呼ぶのは適切なのだろうか。自分の身長ほどもある、長大なライフル銃のような形状をしていたからだ。
といってもその先端についているのは綺麗にカットされた宝石である。ハートや天使の羽根といった装飾もばっちり、これぞ『バスターライフルロッド』、魔法少女の最終兵器だ。
「マンタさんたち、道を空けてねー!」
照準に目を当て、フィールは放つ。
「ひっさ~つ☆ファイナルダウン!!」
まさに必殺、まさにファイナル、宝石から七色の光線が、二本うねりながら飛び出した。ビームと呼ぶにも眩しすぎる、そして勢いが強すぎる!
「わわわわわわわ……!」
フィールはマシンから振り落とされそうになった。放出の勢いが激しすぎるのだ。それでも両腕を固定して狙いを動かさない。
だが服のほうはそうもいかなかったらしい。なぜか都合良く危ない部位だけ避けて、びりびりと紙のようにちぎれ飛んでいった。
「わー! なにこれ!? まさかアル……!」
「そのまさかじゃよフィール! 破れやすい服にすり替えておいた! 魔法少女の真髄を見せ付けるのじゃ!」
「真髄じゃなくてハダカ見せてるとしか思えなーい!」
「そうとも言う!」
「言わなーい!!」
マンタの集団を割るように光線が駆け抜ける。
射線上のアビスは次々と消し飛んだ。
それもわずか、一秒に満たぬ時間で。
「フォア、操縦は任せた!」
このときスターリーも動いている。フィールが開いた道をなぞるように飛ぶ。
自分の腰を抱くフォアの両手、そこに左手を重ねた。
「そばにいてくれ。フォア、ずっと」
「離れませんよスターリー。これまでも、これからも」
あの巨大なシープヘッドに、自分たちの能力がどこまで通用するかはわからない。
だができることはやる。全部やる。スターリーはその覚悟だ。
「トラン……」
言いかけた。だが、わずかでも効果が上がるなら、きっちり呪文(スペル)は唱えたほうがいいのではないか、そんな気がした。
えい、構うものか!
決意しスターリーは大声で叫んだのである。
「へーんしん☆トランス!!」
スターリーの姿に光が宿る。服装が一瞬変わったががすぐに黒いマントで覆われる。しかし効果は十分だ。
「任意の奇跡は起きないだろう。でもな、あいつに夢くらい見せてやろう!」
そしてスターリーは渾身の、ひっさ~つ☆ファイナルダウンを放ったのである。
一瞬、視覚と聴覚が消え去るようなファイナルダウンが去ったとき、シープヘッドの頭頂は大きく陥没していた。
「先生! あれ!」
ソラ・リュミアートが指さした方向、羊の頭に開いた裂け目から人影がのぞいた。服は一糸たりとも身につけていない。おそらくは女性だ。
「リン・ワーズワース少尉……なのか」
星野平匡は目を凝らす。しかし確認している時間はなかった。
裂け目が現れたのはほんの一種だったのである。たちまち傷が癒えるようにして閉じ、ふたたびシープヘッドは、両手を伸ばし上昇を再開した。しかもその速度は速まっているではないか。
「どういうこと!?」
ロゼッタ ラクローンが問うと、私見ですが、と前置きしてからガットフェレスが答えた。
「与えたダメージが足りないのだろうね。相当な一撃だったと思うけど、あの程度ならすぐ回復できるようだ」
ガットフェレスは、翼のごとくはためく前髪を手で直す。今度は映像イメージではない。すでに実体化しているゆえ、本当に風に煽られたものだ。
「もっと破壊力のある攻撃をすればいいの? 集中攻撃するとか……」
「それより、質量のあるものをぶつけるのがいいと思う。アビスが呑み込もうにも時間がかかるようなものでダメージを与えれば、あの人影に届く傷口は、もっと長く開いたままになるんじゃないかな」
「質量のあるもの? 浮島とか、旗艦クラスの飛空挺とか……」
「あるいは旅団とか」
「旅団!? 何を言って……」
ほら、とガットフェレスはシープヘッドの方角を指さした。
正しくは、その上方より舞い降りてくる巨大飛空挺を。
そのときこの場にいる全員に、画像データを伴う通信が入ったのである。
「……元メデナ特佐、ガウラス・ガウリールである。現在全員から見えているだろう。この巨大飛空挺から通信している」
ガウリールは、そのアニマ【X2(エックス・ツー)】がコントロールするカメラの前に座っている。
頭に包帯を巻き、幽鬼のように青白い顔色をしてはいるものの、爬虫類を思わせるゴーグルからの眼光は冷たくも力強かった。
「諸君、この飛空挺こそ、無何有郷(ユートピア)計画の要、『方舟』と呼ばれる外宇宙航行可能な単体旅団である。『方舟』はコードネームであり、実際の名は【シュメルツ】という。聞き覚えのある者もあるやもしれんな。かつて実在し、アビスに呑まれたと伝えられる第八の旅団だ。協力者を得て、私は本挺の奪取に成功した」
後は彼が説明する、とガウリールが告げると、カメラはメルフリート・グラストシェイドへと切り替わった。
「僕はメデナ本部から、ガウリール特佐を救出した。そしてここに連れてきてもらった」
遙か上空、成層圏間際に停泊していたシュメルツに着艦するのは多少骨が折れた。しかし警備は甘く、そもそも配置された兵員が少ないこともあって制圧するのは用意であった。
(本当にいいの? その先を言っちゃって……?)
プライベートモードでクー・コール・ロビンが囁くも、いいさ、とメルフリートは返した。
「このアイデアは僕のアニマの思いつきなんだが……今からこの旅団を、アビスにぶつけるつもりだ。損失となるのは確かだが、世界が滅ぶのに比べれば安いものだろう。これが正義のふるまいかどうかはわからない。いずれ歴史が判断してくれるはずだ。けれど僕は、『正しい』行動だと思う」
通信が終了すると同時に、それこそ天が落ちる勢いでシュメルツは降下を開始する。
「いい宣誓だった」
ガウリールは口元を歪めた。これが彼なりの『笑み』である。
「メルフリート、この戦いが終わったら私の元に来るといい。学ばせてやろう。人を支配する術(すべ)を」
「後継者ということか」
「どう判断するかは、貴公次第だ」
ガウラス・ガウリールは立ち上がった。座る前よりずっと、巨(おお)きく見えた。
すべての兵力がアビス周辺から一斉退去した。
マンタの追撃は少ない。ここまでの交戦でかなり数を減らしたためだ。
間もなく、空前のものと空前のものが衝突した。
遠目にはひどく、緩慢な動きに見えた。
粉塵が消えたとき、シープヘッドの体は半分以上崩壊していた。
頭があった場所は平らになり、その上に、裸身の女性が寝かされている。じわじわとシープヘッドの肉体は再生をはじめていたが、これまでよりずっと遅い。
「間違いない、あれはリン少尉!」
エクリプスは確信をもって声を上げた。
無論、アビスもこの状態をさらしつづけるつもりはないのだろう、マンタを集め女性を守ろうとする。
「ならば道を切り拓くまで!」
これなら、とロゼッタは圧縮術式を解凍する。小さなプログラムに畳んだ状態の魔法が、一気に開いて炎の渦となった。しかもその副作用として、空気中に小規模の爆発が連なる。
連鎖反応(リアクト)をかいくぐるようにして、エルマータ・フルテがエスバイロで切り込む。
「リン少尉さんのところへ、ルートを確保すればいいんだよね」
命がけだとわかっているのに、不敵な笑みが浮かぶのはなぜなのか。実体化したアルが同行しているからか、それとも、これが新しい時代の幕開けになると、魂で理解しているからか。
――確実に射抜く!
ライフルを構える。追い風やや北向き、弾道の計算を瞬時で済ませる。
このときエルマータは、弓手(ゆんで)の指にきらりと光るものを見た。
太陽が射したのだ。
ずっと薄曇りだった空はいつしか、旅団落下という巨大現象の影響か青い空へと変わっている。
陽射しを反射したのは、エルマータの指にはまった『探究ノ証』だった。
――まだ終焉(おわ)ってない。あたしはまだ、探求者なんだ……!
引き金にかけた指に全神経を集中する。
初速を保ち均一に、静かに、引く。
エルマータの想いを乗せ、魔弾は真っ直ぐに飛んだ。
派手さはない。だが光と化した弾丸は、万物を貫く。たとえ神であれ、その往く手を塞ぐことはできないだろう。
やったね、とアルがエルマータの肩に手を置いた。
鉛筆で塗りつぶした紙に、真っ直ぐに消しゴムをかけたよう。
道ができたのだ。リン少尉への道が。
「任せたから! ……行ってきて! 少尉のところへ!」
すべての探究者がシープヘッドの元へ馳せた。
されど闇を畏れる幼子のように、シープヘッドは左腕を振り回しその接近を拒む。
「シープヘッド……いや、リン少尉……」
エクリプスは最接近した者の一人だ。リンはもう、手を伸ばせば届くほどの距離にいる。
けれどエクリプスは黙ってその上を通り過ぎた。その間ずっと、口をつぐんでいた。
聞こえるような気がしたのだ。
寂しい、寂しいと。
「彼女に必要なのは、救うことではなく、終わらせること、そんな気がする」
エクリプスは呟いた。
「生きている限り寂しさに終わりはないから、結局のところ、人は孤独なのだから……そう考えるのは医者として失格だろうか」
これはアニマの陽華に問うた言葉だろうか。
それとも、自分自身につきつけた言葉だろうか。
陽華は首を振る。
「それが罪なら、私が共に背負いましょう」
「……ありがとう」
エクリプスは、
「シープヘッドの中のリンよ、せめて安らかに眠れ」
鋭い注射針を、リン・ワーズワースの喉めがけて投じた。
針が突き刺さった。
リンではなく、とっさに身を投じたオリヒメの腕に。
その上空では ゆうが、オリヒメをつかみ損ねた手を空しく揺らしていた。
「寂しいのね。
わかるよ。
だから、私たち(アニマ)がいるんじゃない」
青い空を背負い、アビスが沈んでゆく。
リン・ワーズワースはふたたび黒いものに包まれた。
ただし今度は、オリヒメと一緒に。
そうして二度と、この世界に姿を現すことはなかった。
◆ ◆ ◆
このときを境に、アビスの高度は一気に、ブロントヴァイレス戦役以前の段階にまで復した。
されど消滅はしていない。世界の足元には、虚無の不安が残されたままである。
しかしその一方で、旅団の繁栄と進歩は続いている。
いつしかこの惑星を、すべての旅団が離れる日が来るのかもしれない。
◆ ◆ ◆
世の中にはさまざまな物語が存在する。
希望に満ちた物語、恋と愛との物語、冒険につぐ冒険の物語……いずれの要素も、これからさらに語られることになると思う。
思う、と書いたのは、まだこの物語が始まったばかりだからだ。
執筆:
桂木京介GM