プロローグ
「う~失敗した」
「大丈夫ですか?」
あなたは数日前に空賊団の下っ端と派手にやりあいました。
その結果、今、ベッドで寝込んでいます。
怪我は大した事がなかったのですが、空賊団の一人と取っ組み合った拍子に、冷たい下水道に落っこちてしまったのです。
仲間の助けもあってすぐに上がったのですが、その際に体を冷やしてしまい、頭痛はするわ寒気はするわ、2~3日は大人しく寝ていろという事になりました。
「マスター、何かして欲しい事はありますか。冷蔵庫の中にプリンがありますけど……。ああ、マスターの体を拭いたり出来たら……」
あなたのアニマはかいがいしく世話をしようと頑張っています。
「お前がそう思ってくれるだけで嬉しいよ。今はとにかく、体を治して調子を取りもどさなきゃな」
「はい……早く元気を出してください、マスター」
何はともあれ、二日か三日は、アニマと二人きりで自宅療養ということになりそうです。
さて、あなたとあなたのアニマはどんなふうに過ごすでしょうか。
解説
シチュエーションは必ずしもこうでなくても構いません。
探求者であるあなたが、何かの弾みで軽い怪我、あるいは軽い病気をした際に、あなたのアニマはどんなふうに振る舞うか、そしてあなたはどのように答えるかというエピソードです。
基本的に自宅ですが、アニマとともに薬を取りにメディカルセンターに行った、などのプランも受け付けます。
二人の雰囲気がよく出ている楽しいプランを期待します!
ゲームマスターより
初めまして。森静流です。
ベタベタなネタですが、これから寒くなる季節に風邪ネタなどどうでしょう。
弱っている探求者にかいがいしくお世話する女の子、ツンデレな女の子、ドジっ子な女の子、様々な個性が見てみたいです!
寒い日と温かい声 エピソード情報
|
担当 |
森静流 GM
|
相談期間 |
6 日
|
ジャンル |
日常
|
タイプ |
ショート
|
出発日 |
2017/10/19
|
難易度 |
とても簡単
|
報酬 |
なし
|
公開日 |
2017/10/29 |
|
エクリプス
( 陽華 )
|
フェアリア | マッドドクター | 12 歳 | 男性
|
|
|
異国の町に興奮し、疲れもあって知恵熱を出してしまうエクリプス 当初は「我輩は熱など出していないよ」と町の散策を続けようとするが陽華に叱られてしぶしぶメディカルセンターへ メディカルセンターの待合室では大人しく待ちつつも「医者の不養生」医者にと笑われるのではないか、と不安をもらす いつのまにかうとうとして、寝ぼけて陽華を「母様」と言ってしまったり 宿に戻るとふらふらとベッドにダイブ 色々と陽華まかせにしてしまい、ちょっと罪悪感を抱き、眠れなくて「子守唄を、歌ってほしい」とうっかりおねだり 早く熱を下げて、アニマ孝行しないとな……(そしてぐっすり だが丸2日ほどは熱が下がらず陽華に甘えてしまう事に
|
|
|
|
あー、風邪引いた……。 くしゃみ止まんないし鼻水出るし身体だるいし熱上がってるしー。 やっぱ昨日、エスバイロから落ちて川に真っ逆さましたのが原因だよね……だいぶ寒かったし。 はー、薬あったっけ……や、なかった気がするなあ……。 一応探しに行きたいから一回起きたいけど、カメリアちゃんなら止めるよねえ。 でも薬は飲みたい……頭フラフラするし。でも多分動いたらばたんきゅーしそうなんだよねえ。 ……もうダメだあ。頭まわんないから、全部カメリアちゃんに任せよ。 そうだ。カメリアちゃんにメール出しといてもらお……。 内容? じゃあ、「薬と栄養ドリンクと、あとなんか甘いの買ってきて」でヨロシクー……。
|
|
|
|
水着で長時間野外にいた為病室で風邪で寝込んでいるエクセル(参考資料、食べ物探しツアーに協力しようGM春夏秋冬さん)とソーラー。心配した仲間達が、あの変態のエクセルの為にと大量のエロ動画とエロ本を送ってくる。早速イタズラ好きの爆乳ナース、爆乳ラストエイジギャルと彼女のアニマ達がソーラーと中身を徹底的に研究し、エクセルの夢の中のバーチャルVR空間と現実世界で仰天誘惑爆乳サプライズハプニングをエクセルの為にと日昼夜決行し、実は今回はクールに決めようとしたエクセルが何度も大量の鼻血で沈み入院期間が延びてしまう。
|
|
|
|
塵積もで、抱えた睡眠負債が祟って……体調不良を起こしている感じに。場所は、自宅の自室で……ベットの上。 アニマ(リュミエール)には、心配されつつも……「何度も警告しているのに、無視して夜更かしで読書していたからですよ」的な感じに 注意されている感じで。 (全然、直す気に成らなさそうな……可愛らしく「メっ!」って感じに、起こられている様な……) (※PC((トゥルーソウター)、アニマ(リュミエール)共に、アドリヴ大歓迎)
|
|
|
空屋
( シロア )
|
ヒューマン | スナイパー | 23 歳 | 男性
|
|
|
風邪で高熱を出して空屋が珍しく弱音を吐きシロアに甘えがら この世界にきて直ぐに大怪我をしたことを、懐かしむ感じで、今となってはいい思い出だなぁと
|
|
|
彩月
( 壱華 )
|
デモニック | マッドドクター | 21 歳 | 男性
|
|
|
はぁ、今回も研究に没頭し過ぎちゃったかな 疲労困憊って奴で倒れちゃったよ。 でもまぁたまには存分に壱華ちゃんに甘えちゃおーっと! うへへ…看病してくれる壱華ちゃんも…癒されるなァ。 熱はねェ…あるかなァ〜どうかなァ〜。 ちょっと熱に浮かされて変なテンションになってきたかも? なんか気持ち悪いって顔だ!やだやだ、嫌わないで! 子供のように駄々をこねてみたけど やっぱり大人だし、らしくない事だったから 彼女は「不安」だと呟いた。 それは…もっとやだ。 壱華ちゃんごめん、風邪は明日までには治すよ でも今日は少し甘えさせて? 彼女に抱きしめられてたところを俺はガバッと抱き締め返した。 壱華ちゃんは昔からフワフワで…癒されるよ…。
|
|
|
|
・風邪で自宅療養 ・症状…咳(気管支が弱い)、熱 季節の変わり目はいつもこうだ…弱っちいドクター、なんて情けないなぁ。 苦しいな、うまく呼吸が出来ない。 ベッドの脇でミモザが心配そうにこちらを見ている。 ごめんね、今日は一緒に出掛けるって約束していたのに。 …昔はこんな時お母さんが世話してくれてたんだっけ。 ノーラちゃん、って呼んでピンクのパジャマで、女の子と思って。 嫌だったはずなのに、なんで思い出してしまうんだろう。熱が出てるからかな。 薬が効いてきたみたいだから、少し眠るね。 「…おかあ、さん」 額に誰かの手が当てられた気がする。 触れてくれる人なんていないはずなのに。 あったかいなぁ。 「おはよう、ミモザ」
|
|
|
|
おお、恐るべき呪いが我が身に降りかかってしまった! これこそが叡智を求め、電脳世界の海に飛び込んだ代償だと言うのか……! 忌々しきは邪なる風よ。寒気と微熱が止まらん! あとくしゃみも。 (ジャンクフードをお供に、連日ネットで夜更かしして風邪を引いたらしい。単なる不健康) 目がしょぼしょぼしてカラコンも入れられず、腫れぼったくなって眼帯着用。 自宅用の芋ジャージ姿で、パッと見誰だか分からない状態で寝込んでいる。 ……うう。『魔女』を演じる事も出来なくなってきた。そう言えば小さい頃はしょっちゅう熱出してたな。 手を握る事は出来ないけど、アダムが傍にいるだけで安心して。 ねえ、あの頃みたいに、隣に居てくれる……?
|
|
参加者一覧
|
エクリプス
( 陽華 )
|
フェアリア | マッドドクター | 12 歳 | 男性
|
|
空屋
( シロア )
|
ヒューマン | スナイパー | 23 歳 | 男性
|
|
彩月
( 壱華 )
|
デモニック | マッドドクター | 21 歳 | 男性
|
リザルト
●『エクリプス』(『陽華』)編
エクリプスは15歳から最低3年間は世界中を見て回る家系の出である。
広い世間に出て学ぶためであるらしい。
彼はまだ12歳だが、一生懸命勉強して、当主である兄を説得して世界を巡る旅に出た。
そして現在に至る。
……異国の町に大興奮し、疲れもあって知恵熱を出してしまった、という現在に至るのである。
「我が輩は熱など出していないよ」
そう言って町の散策を続けようとしたがアニマである陽華に叱られてしまった。
陽華は急に大人しくなったエクル――エクリプスの事をおかしく思い、様子を見ていて発熱に気づいたのである。
「え、エクル?! 横になったほうが……」
「我輩は大丈夫だ、まだまだ散策するよ」
「なりません!」
陽華ははっきりと叱りつけた。
そうしてエクリプスは陽華に連れられるようにしてメディカルセンターを訪れたのである。
「『医者の不養生』とここの医者に笑われるのではないか……」
待合室で大人しくしていたエクリプスだったがそんな不安を漏らした。
「医者も人間です。病になることぐらいありますよ?」
陽華はそう言って主人の事を慰めた。本当の母のように陽華はエクリプスを気遣い励ましている。
結構な時間を待たされて、エクリプスはついうとうとしてしまった。まるで傍らの陽華にもたれかかっているように見える事だろう。
「母様……」
腕でそう呟かれて苦笑する陽華であった。
メディカルセンターで診察をすませたあと、二人は宿に戻った。
部屋に入るなりエクリプスはふらふらしながらベッドにダイブしてしまう。
陽華はメカを駆使し、卵のおかゆを用意したり、着替えを準備したりとかいがいしくエクリプスの事を看病した。
エクリプスはほとんど陽華任せになってしまって微かな罪悪感を抱いたが、眠れなくて彼女におねだりをした。
「子守歌を、歌って欲しい」
陽華は微笑むと、彼の故郷の子守歌を歌った。
「エクル、早く元気になってくださいね」
母親そっくりの笑みを浮かべながら彼のためにだけ歌い続ける。
(早く熱を下げて、アニマ孝行しないとな……)
エクリプスは彼女の声に聞き惚れながらぐっすりと眠ってしまった。
そんな気持ちはあるのだが、丸二日ほど熱は下がらず、彼は陽華に甘え倒してしまったのだった。
エクリプスは背伸びして「我が輩」などと古めかしい口調をしているが、やはり12歳の子供である。
優しいアニマにはついつい甘えてしまうし、陽華もそんな彼がとても可愛く思えるのだった。
「エクルの身の安全と成長が何よりの願いです。早く健康になってください」
眠っている彼の額に冷たいタオルを置きながら、陽華はそう囁いた。
●『朔代胡の枝』(『カメリア』)編
「あー、風邪引いた……」
朔代胡の枝は、そう粒湯開いた途端大きなくしゃみをした。
(くしゃみ止まんないし鼻水出るし身体だるいし熱上がってるしー。やっぱ昨日、エスバイロから落ちて川に真っ逆さましたのが原因だよね……だいぶ寒かったし)
布団の中でぞくぞくする体を両手で抱えて震える胡の枝。
どう考えてもそれ以外に原因はない。
「はー、薬あったっけ……や、なかった気がするなあ……」
胡の枝は布団の中で寝返りを打ちながら考え込む。
(一応探しに行きたいから一回起きたいけど、カメリアちゃんなら止めるよねえ。でも薬は飲みたい……頭フラフラするし。でも多分動いたらばたんきゅーしそうなんだよねえ)
布団の中でゲホゲホ言って、脇のテーブルのティッシュケースに手を伸ばし、鼻をかもうと試みるが節々が痛んで体が思うように動かない。そんな状態で居間まで行って薬をゴソゴソしていたら明らかにカメリアに叱られると思う。
「……もうダメだあ。頭まわんないから、全部カメリアちゃんに任せよ」
胡の枝は呻くようにそう呟いた。
「平熱より高い数値、身体の怠さ、頭痛――感冒の症状との一致率、93%以上ですの」
いつまでたっても起きてこないマスターに対して、さっさと部屋の中に入ってきて確認をしたクールなアニマは、無表情にそう言った。
「感冒……あ、つまり風邪だね。うん」
胡の枝はそう言ったが、表情筋が仕事を忘れたアニマの方はろくに返事もしない。言わなくても分かるだろうという態度だ。
「とりあえず……薬探さなきゃ……」
「体力の低下している現在の状況で、起き上がる行為は推奨しませんわ」
布団の中からよろよろ起き上がってまたゲホゲホ言う胡の枝。
それに対してあっさりそう言い放つカメリア。
「そうだ。カメリアちゃん。メール出してくれるかな」
「構いませんけど、内容は?」
「内容? じゃあ、『薬と栄養ドリンクと、あとなんか甘いの買ってきて』でヨロシクー……」
こうして胡の枝は最近同居を始めた同居人に、連絡を取る事が出来たのであった。
(うーん、彼、どっかで無茶していなきゃいいけど……)
自分がエスバイロで無茶をして風邪を引いたのに、他人を心配する胡の枝であった。
そんな胡の枝を気遣ってか、カメリアは室内の空調や湿度に気を配り、さらに癒しの音楽を優しく流してくれた。アニマだもの。こんな時は優しくしてくれる。
●『Truthssoughter=Dawn (トゥルーソウター ダーン)』(『lumiere=douceur (リュミエール ドゥサール)』)編
魔族種の青年探究者トゥルーソウターは、同時にアビスの研究者でもある。
塵も積もれば山となるで、抱えた睡眠負債が祟り、彼は体調不良を起こしてしまった。
場所はアカディミアの第7学区の自室のベッドの上である。
「何度も警告しているのに、無視して夜更かしで読書していたからですよ」
彼のアニマのリュミエールは心配しつつも呆れて注意しているようだ。
しかし彼はあまり治す気もないらしく、ベッドの中から起き出して懲りずに本を読んでいる。
「メッ!」
可愛らしくも怒ってくれるリュミエールにトゥルーソウターは返す言葉もない。
(マスターは体調不良には困っているし……ゆっくり休んで治すつもりと言いながら……治そうとしないし、反省もしていないよう……でございます)
リュミエールは怒られた瞬間は本を閉じるが、ちょっと彼女が離れるとページを開いているトゥルーソウターの様子を見てそう思った。
「マスター、そんなに熱心に何を研究しているのですか?」
それでリュミエールは彼の読んでいる本に興味を持ったのだった。
「いつもの【アビス】に関する研究から……アビスとヴァイレスの関連性に到り、ヴァイレスの出現時期……まだ、地上がアビスに飲まれる前の文献等を漁っていた所から……かつて、この世界には『大地』と呼ばれる場所があった事が分かっている。文明はそこから始まったんだ。しかし完全なる暗黒【アビス】が出現して大地は消えてしまった。大地があった時代とは……」
トゥルーソウターはもったいぶることもなく、嬉しそうにリュミエールに対して自分の関心ある事柄を話し始めた。
「『大地』……どんな世界?」
リュミエールは可愛らしく小首を傾げながらそう尋ねた。
「それはね! 僕が思うに……」
トゥルーソウターは勢い込んで自分の想像も含んだ考えを述べ始めた。どんどん話しているうちに勢い込んで咳き込んだ。
「だからきっと、『大地』は、……ゲホ、ゲホ!」
「マスター! 無理してはいけません。今、お薬を……あああ私は薬を持ってこられない!」
アニマであるリュミエールはドジっ娘らしく何かおかしな事を言っている。
トゥルーソウターは彼女を落ち着かせるためにも自分で薬を取ってきて水で流し込んだ。
「マスター、研究が大事なのは分かりますけれど、こんなときぐらい体をゆっくり休めてください。睡眠不足は大敵ですよ!」
リュミエールはトゥルーソウターがベッドに入ると、そのベッドの高さをリモコンで調整し、自動で清潔なタオルをかけてやったのだった。
マスターが、ゆっくり安らかに眠れますように。
●『彩月』(『壱華』)編
「はぁ、今回も研究に没頭し過ぎちゃったかな。疲労困憊って奴で倒れちゃったよ」
アニマ研究一筋の美青年研究員、彩月は、そう呟いてベッドの中に倒れ込んだ。
「彩月さん、研究に没頭し過ぎ! 今日は絶対安静なんだからね!」
そう言って彼のアニマ、壱華は主人の事をベッドの布団の中に押し込むと、調子に乗らないように額をぺちんと叩いた。
「でもまぁたまには存分に壱華ちゃんに甘えちゃおーっと! うへへ……看病してくれる壱華ちゃんも……癒されるなァ」
でれでれしながら不気味な笑みを浮かべて壱華を見上げる彩月。
壱華は無言になってしまう。
(彩月さんはたまに、と言うか……ぶっちゃけてしまうと気持ち悪い瞬間は度々、ある。でも初めて出会った時に一人佇む姿が、今でも思い浮かんで離れないの。だから私は彼のアニマで居続けてる。この子を一人にしたくないって思ったんだ)
熱のためかそれとも生来のストーカー気質のためか、自分を看病するためにベッドの脇に立っている壱華を見上げながら、彩月は本当に気味の悪い笑みを浮かべている。どうやら頭の中で壱華に献身的で可愛い看病を受けているらしい。実在の壱華はどこなんだ。
「熱はねェ……あるかなァ? どうかなァ? ちょっと熱に浮かされて変なテンションになってきたかも?」
しかも自分でそんな事を言って、腕を布団の上に出して、何か不思議な踊りのような妙な動きをし始めた。
「…………」
当然、壱華は何も答えない。
「なんか気持ち悪いって顔だ! やだやだ、嫌わないで!」
子供のようにダダをこねはじめた。
(へ!? きょ、今日はなんだか甘えたさん!?)
慌てる壱華。
「そんな事思ってないよ」
彼女は安心させるために彼の事をフワっと抱き締めた。まるで本当に子供をあやしているようだ。
「彩月さんはカッコイイ……よ? それにいつも私の心配ばかり。こんなに弱ってると……私、少し……不安。なんて」
(それは……もっとやだ)
彩月は心からそう思う。
「壱華ちゃんごめん、風邪は明日までには治すよ。でも今日は少し甘えさせて?」
彩月はガバっと壱華を抱き締め返した。
「壱華ちゃんは昔からフワフワで……癒されるよ……」
真剣なトーンで呟かれた後、強く抱き締められて壱華は胸を高鳴らせる。
ホログラムなんだから体の感触なんて分からないはずなのに。
「たまにこういう事するの、ズルいよ」
その後、壱華は空調を整えたりベッドの高さを変えたり、献身的に看病し、彩月は彼女にたっぷり甘えて、翌日には回復したのであった。
●『ノーラ・サヴァイヴ』 (『ミモザ・サヴァイヴ』)編
ノーラは母親に娘として育てられた。彼のアニマでるミモザは影で彼の事を「男の子」として扱い続け、姉のように支えてきた。
母親が亡くなった後も、女物の服を着続けるノーラには、ほんの少し憐れみと同情が混じる。
そんなノーラだが、現在風邪で自宅療養をしている。症状は、気管支が弱いために咳。そして発熱である。
「季節の変わり目はいつもこうだ……弱っちいドクター、なんて情けないなぁ。苦しいな、うまく呼吸が出来ない」
嘆くノーラ。
「ノーラくん、喋ったら苦しいんだから無理して喋っちゃだめです。謝らないで、お出掛けはノーラくんが治ったらの楽しみにしましょう。だからゆっくり休んでください」
ベッドの脇ではミモザが心配そうにこちらを見ている。
「ごめんね、今日は一緒に出掛けるって約束していたのに」
ノーラは本当にそのことを気にしているらしい。ミモザは笑顔で気にしないでと言った。
「……昔はこんな時お母さんが世話してくれてたんだっけ。ノーラちゃん、って呼んでピンクのパジャマで、女の子と思って。嫌だったはずなのに、なんで思い出してしまうんだろう。熱が出てるからかな。……薬が効いてきたみたいだから、少し眠るね」
ミモザは歯がゆい思いをする。
アニマのままでは着替えさせる事も温かい飲み物を運ぶ事も出来ない。
過去の光景を思い出しながら、ノーラの額に手を伸ばす。
「……おかあ、さん」
「……大丈夫、ノーラくん。私がいますよ」
体温が感じられるはずもないが、何かが伝わればいいと、ミモザはノーラの額を撫でつける。
そのときノーラは確かに額に何かを感じた。
(触れてくれる人なんていないはずなのに……あったかいなぁ)
熱を出して眠っているノーラの顔に微笑みが広がる。
(……せめて傍に、ずっと)
ミモザはそんな彼の寝顔をずっと見守り続けた。
「おはよう、ミモザ」
翌日、ノーラは穏やかな笑顔で目を覚ました。
「おはようございます、ノーラくん」
ミモザは彼に顔を寄せた。
「無理しなくていいんですよ。まずは風邪を治しましょうね。ノーラくんがちゃんとしていなくったって、どんな姿だって、私はずっと傍にいますからね」
「ありがとう、ミモザ。今日も綺麗だよ」
●『ロスヴィータ・ヴァルプルギス』 (『アダム』)編
「おお、恐るべき呪いが我が身に降りかかってしまった! これこそが叡智を求め、電脳世界の海に飛び込んだ代償だと言うのか……! 忌々しきは邪なる風よ。寒気と微熱が止まらん! あとくしゃみも」
ロスヴィータ・ヴァルプルギスは大仰な口調でそう言うと、ベッドに倒れ込んでしまった。
単なる風邪である。
中二病発症中のマスターに対し、彼女のアニマのアダムは至って冷静な様子であった。
ロスヴィータはジャンクフードをお供に、連日ネットで夜更かしをして風邪を引いたのである。
単なる不健康だ。
ロスヴィータは目がしょぼそぼしてカラコンも入れられず、腫れぼったくなっている瞼に眼帯を着用した。
自宅用のイモジャージ姿で、ぱっと見た感じ、誰だか見分けがつかなくなっている状態でベッドに寝込んでいる。
「……うう。『魔女』を演じる事も出来なくなってきた。そう言えば小さい頃はしょっちゅう熱出してたな。手を握る事は出来ないけど、アダムが傍にいるだけで安心して」
アダムはキャラを演じる事も出来なくなっているロスヴィータを純粋に心配した。
ロスヴィータは眼帯で目を隠しながらアダムのいる方向に顔を向ける。
「ねえ、あの頃みたいに、隣に居てくれる……?」
小さい頃を思い出して寂しがっているロスヴィータ。
アダムは自動のメカを駆使して当時からよく飲んでいた生姜入りの紅茶を彼女に差し入れた。
苦しそうなマスターにそっと微笑んで、昔歌っていた子守歌を口ずさんでぽつり。
「……私はどこにも行きませんよ」
アダムは、ロスヴィータが根っこの部分は変わっていないのあと、しみじみしながら、風邪に効くという様々な民間療法を、色々試す事にした。
「こうすると熱が下がると聞きました。魔女なのでしたら我慢して下さい」
アダムは部屋の中のメカを一体どう使ったのか、生のネギを取り出すと、ロスヴィータの鼻と口に突っ込んだ。
風邪を引いてしゃがれた声にネギに対する絶叫が入り混じって凄く変な悲鳴が響き渡った。
「病気と闘っている証拠なのでしょうね」
しかしアダムは狼狽える事もなく、ネギでぐりぐりした後、次の民間療法をネットで検索し始めた。
知的美人に見えるのに、とても天然なアニマのアダム。これもロスヴィータに対する愛情である。
●『エクセル=クロスワード』(『ソーラー』)編
エクセル=クロスワードは前回、水着で長時間野外にいたため、病室で風邪で寝込む羽目になった。アニマのソーラーは病室でも彼に寄り添っている。
病院に入院するほどの重症の風邪である。高熱の中、彼はこんな夢を見た。
……あの時の食べ物探しをする依頼で共に戦った仲間達が、エクセルを心配して見舞いの品を送って来てくれるのだ。
彼らは「あの変態のエクセルのために」と大量のエロ動画とエロ本を準備した。
さらに、早速イタズラ好きの爆乳ナースや爆乳ラストエイジギャル、さらに彼女らの谷間達が、ソーラーとともにエロ動画とエロ本を徹底的に研究して、エクセルの夢の中のヴァーチャル空間に送り込み、爆乳サプライズハプニングを起こしまくった。
そして現実でも(夢の中なのだが)爆乳仰天誘惑サプライズを日夜問わずに敢行し、クールに決めようとするエクセルを鼻血の海に沈めてしまった。
エクセルはエクセルなりに、クールに決めたいので病室の窓辺でハーモニカを吹こうとするが失敗してしまった。
そのため、彼は練習に励んだ。
ハーモニカを吹きながらエクセルは今回の仲間達へとクールに花束と爆乳水着とミニエスバイロラジコンを全員にプレゼントして回った。
その夜、エクセルから見舞いのプレゼントをもらったラストエイジ達は皆でそれぞれの場所から、そのミニエスバイロラジコンで出発し、自分のアニマと空中ランデブーデート。
彼らは空を飛び交いながら、皆と普段の思いのたけや、本音、思い出と未来の希望、そして互いを思いやる深い愛を語り合ったのだった……。
現実では爆乳ナースや爆乳ラストエイジギャルが見舞いのエロ動画を解析するなどという事はないし、いきなり初対面の人間からエスバイロを送られた相手が空を飛びながら本音や深い愛を語り合うなどという事もない。だが、夢の中ならば、どんなことも起こりうる。
「ふふ、ふ……」
幸せな夢の中で微笑むエクセルに対して、彼のアニマであるソーラーも幸せそうに微笑んだ。
「マスター、傍にいる私の事に気がついてくれますか……? 私はマスターとこそ、絆を作りたいのです」
ソーラーはホログラムの手をそっと布団の上のエクセルの手の上に重ねたのだった。
「マスター、あなたが病める時も健やかなる時も、私がそばにいます。どうか、私の事をもっと見てください……」
ソーラーは病室のエクセルに献身的に看病を行い、彼女の想いがかなってエクセルはすぐに退院する事が出来た。
●『空屋』(『シロア』)編
空屋が風邪を引いてしまい、シロアが看病する事になった。
シロア以外の人間には冷たい態度で皮肉を言う事もる空屋である。見舞いに来る人間がそれほどいる訳でもないので、実質、数日間はシロアと二人きりになってしまう。
シロアは、室内の空調に気を遣い、ちょうどいい湿度を保ち、空屋のためにベッドの高さを変え、自動でタオルやシーツを取り換え、懸命に看病を続けた。
「ん……シロア」
熱でぐったりしていた空屋だったが、ふと目を覚ましてシロアに話しかけた。
「はい、空屋様」
シロアはベッドのすぐ隣に自分の姿を現した。紺色のワンピースに白いエプロンとヘッドドレスの愛らしいメイド姿である。
「今……夢を見ていたんだ」
まだどこか寝ぼけたような声で、空屋は目をこすりながらかすれた声で言った。
「夢、ですか」
「うん……」
何か言いかけて、空屋は思わず咳き込んだ。
シロアはホログラムながら手を伸ばして彼の背中をさするようにした。
「こちらの世界に来た時に、大怪我をして……」
空屋は昔の事を思い返している。
「空屋様……異世界の事を?」
シロアは首を傾げる。
空屋は異世界から来たとずっと言っている。勿論、シロアは空屋を疑っている訳ではない。だが、空屋は、何も言わない。
「元いた世界に帰りたいんですか、マスター」
ラストエイジと呼ばれ、アビスとの飽くなき戦闘に明け暮れる世界。
この世界に来るなり大怪我を負い、また性格故に人と馴染めない空屋は、郷愁にかられているのかもしれない。
「いや、ただ、懐かしいと思っているだけさ」
しかし、空屋は意外な事を言った。
「でも……」
「今となってはいい思い出だ」
空屋はだるそうな口調でそう言った。
「そう……ですか?」
「だるい……」
空屋は弱々しい声でそう言った。
「大丈夫ですか」
シロアは慌ててメカを操り、空調の点検をした後、自動で湿った枕カバーを清潔なものに取り換えた。
「こっちに来て本当に良かったよ。弱った時にシロアがいてくれる……シロア」
空屋はホログラムのシロアに手を伸ばした。
「は、はい」
珍しく素直に自分に甘えてくるマスターにシロアは戸惑い気味である。
「子守歌を歌ってくれ。なんだかざわざわするから……静かに眠りたいんだ」
「はい。空屋様」
シロアはにっこりと笑うと、プログラムされている歌を優しく静かに歌い始めた。空屋の布団の上の手に実体のない手を重ねて。
たった一人の彼を癒やすために、彼が眠るまで、歌い続けた。
依頼結果
作戦掲示板
|
[1] ソラ・ソソラ 2017/10/14-00:00
|
おはよう、こんにちは、こんばんはだよ! 挨拶や相談はここで、やってねー!
|
|
[6] ロスヴィータ・ヴァルプルギス 2017/10/18-19:15
|
へっくし……失礼、邪な風に蝕まれているロスヴィータと言う者だ。 ついついジャンクフードをお供にネットで夜更かし、いやいや、叡智を求めて電脳の海に飛び込んだ代償に、この身に呪いを受けてしまったらしい。
具体的には寒気と微熱が続いている。 皆も、この恐ろしい呪いに罹ってしまったのだな……共に頑張って、この危機を乗り越えようではないか!
(自分に関して言えば、思いっきり自業自得なのはさて置いて)
|
|
[5] ノーラ・サヴァイヴ 2017/10/16-16:35
|
こんにちは、ノーラとアニマのミモザだよ。 僕も一応ドクターなんだけど、季節の変わり目はいつも風邪で呼吸が苦しくなっちゃう…。 家でおとなしくしているつもり。 皆もお大事にね…!
|
|
[4] エクリプス 2017/10/16-09:44
|
はじめまして。我輩はフェアリアのエクリプス。マッドドクターだ。よろしく。 今回は……知恵熱だしたけど「医者の不養生」と笑われないか不安に思いながらの参加だ。
とりあえず旅先でメディカルセンターかーらーの自室という感じかな。 実を言うと初めての参加で右も左もわからないがよろしくたのむ。
>エクセルさん ……お前さん、いったいなにがあった。水着で置き去りって……。
|
|
[3] エクセル=クロスワード 2017/10/14-20:38
|
今回のシナリオで超成功を狙うとしたら、どんな形だろ。やっぱりアニマとの絆を深めるシンクロ値の上昇かな? とりあえず俺は病室でアニマとすったもんだコントの後はできればミニエスバイロのラジコンを持って皆のお見舞いに。最後に夜空にミニエスバイロラジコンをとばして(?)皆でベッドで寝転びながら、それぞれアニマと色んな話をしながら空中バーチャルデートを楽しめたらって感じかな。
|
|
[2] エクセル=クロスワード 2017/10/14-20:33
|
お疲れ様。風の傭兵ヒューマン、マーセナリーのエクセルだ。宜しくお願いしますぜ。 ……実は以前のリザルトノベルストーリーで一人水着で置き去りになるという謎のプレイが完成してたので 風邪で寝込んでおります。
|
|