プロローグ
粉雪の降る日。 シティはバレンタイン一色である。 オープンモードのあなたのアニマは、映像だけだがマフラーをつけてはしゃぎ気味。今日のためにオシャレをしているのだ。 あなたはあなたで、映像だけのアニマに手を重ねるふりをしてちょっと得意。 今にも街角で話しかけられたらこう答えそうだ。 「アニマといる時の雪って特別な気分に浸れて俺は好きだな」 そんな脳内妄想をしているとあなたの可愛いアニマは映像だけれどきゅっと指を絡めるような雰囲気で言う。 「マスター、私、マスターとチョコを選びたいんです。も、勿論、へそくりがあるから私がチョコを買うけど……。やっぱりマスターの好きなチョコを買いたいから!」 「うんうん、ネットで、目星はつけているんだろ? どうせ一緒に食べるチョコなんだから、お前が好きなのにしていいんだぞ」 「嬉しい。マスター!」 そんな会話をしながら、あなたはアニマとシティのバレンタインデートをするのであった。 まずはアニマの選んだデパートでチョコレートを買って、そのあと食事……はアニマが可哀想だから、プラネタリウムか、植物園にでも行こうかな。 勿論、すぐ家に帰ってアニマに料理を作ってもらうと言うのもいいだろう。自分が手伝ったっていいんだし。
解説
アニマとバレンタインデートをしましょう! ※必ずしもプロローグに沿わなくてもOKです。 デートコース ※最初に、あなたのアニマが目をつけていたデパートで二人でチョコを選びます。 その後…… A そのままデパートを見て回る(どんな店を見たか書いてください) B プラネタリウム(現在、冒険者の守護星という特集をしているそうです) C 植物園(現在、スノーウィスパーという花の特集をしているそうです) D 家に帰ってまったり E フリー(自分の希望するデートをプランに書いてください) A~Eのうちいずれかを、プランの上部に明記し アニマとどんな会話や行動をしたかを書いてください。 ※字数めいっぱいだと嬉しいです!
ゲームマスターより
千年前、つまり『幻想的絶頂カタストロフィー』の時代からつづく愛の季節「バレンタイン」の時期がやって参りました! これからミニシリーズとして【終末世界のバレンタイン】をはじめます。私を含む数人のマスターが、それぞれの「バレンタイン」を描くことになるでしょう。 ブロントヴァイレス戦役よりアビスの動きは活発化しており、足元から黒い虚無空間が迫り来る不安は誰の心にも影を落としています。ですが、だからこそ、愛を讃えるイベントを人々は大切にしているのです。 終末期の世界に、あなたはどんな愛の形を見ることでしょう? 【終末世界のバレンタイン】はエピソードタイトル頭に『vD』が付きます。『幻カタ』の【始まりのバレンタイン】では『Vd』なので、大文字と小文字がちょうど逆になりますね。 興味を持ってもらえたら嬉しいです。 本作では、甘くて熱いバレンタインのプランをお待ちしております。
vD:特別なバレンタイン エピソード情報
担当
森静流 GM
相談期間
6 日
ジャンル
日常
タイプ
ショート
出発日
2018/2/16
難易度
とても簡単
報酬
なし
公開日
2018/02/25
C
人が多いね、前後の人達と話をしながら列に並ぼうか
「アニマといる時の行列って特別な気分に浸れて僕は好きですね」
流行なんですか?僕はその手の情報にうといので、ただの本心です(にっこり)
スピカがとてもお気に入りのチョコ、たしかに綺麗だね
購入しようとしたら…何かあった?
あぁスピカらしいや
はい、僕たちが選んだのはこちらです
花のチョコは後ろの人へ渡して下さい
チョコの花のかわりに植物園で本当の花を見に行こうか
ずいぶん気に入ってたのに、でもあそこでああ言ってくれるスピカだから好きなんだ
違うチョコでも、スピカが選んでくれて本物の花も一緒に楽しめた。僕はとても嬉しかったよ
だって「アニマといる時の…
◆予定
E:フリー
バレンタインもお仕事、チョコ配り。二人でデートと言えなくもない?
(※EST-EXはきっぱり否定します)
◆行動
「(護衛など傭兵家業の)お得意先に、子供たちに…と。EST-EX、あといくつ? 数足りるかしら?」
自分が楽しむ側という意識が全くない人。
お得意さまや孤児院、学校などの子供たちにと、EST-EXに手伝ってもらってVDイベントのチョコレート配り。
(別に脅迫観念とかでなく、楽しむより楽しませるのが好き)
自分のチョコレートは1日の終わりにEST-EXから(ロマンスとかなしで御返し3倍要求とか台無しなノリ)
「…え、私?らしくないけど、大丈夫?」
「うん、まぁ…ありがとね。いつも」
*デートコース:A
●行動
アニマが目をつけて予約もしたというチョコを受け取ったが、予想の3倍ぐらい高ぇ……しかも代金は俺の貯金から払ってたときた
……女の子からのチョコはそれぐらいの価値はある?
いや、なんでお前からのチョコを実質俺の自腹でもらわにゃならねえんだよ
だが、キャンセルってわけにもいかないから購入
その後はアニマの希望で女の子に人気のあるという装飾品店へ
ここでチョコの三倍ぐらいの値段のアクセサリーを選べという
曰く、こういう気の利いたお返しで甲斐性を見せて好感度アップの事
その辺りはなんとなく納得しそうだが、相手がお前じゃなぁ……
まあ、適当に選んで……あ~はいはい真剣に選びますよ
参加者一覧
リザルト
●羽奈瀬 リン (スピカ)編 今日、『羽奈瀬 リン』とアニマの『スピカ』はバレンタインデートで街にお出かけです。 リンはスピカとともに、デパートの限定品のチョコレートを狙い、行列に並んでいます。 「アニマといる時の行列って特別な気分に浸れて僕は好きですね」 リンはまるっきりの天然でそう言いました。 「な、な、何流行に乗ってるんですか。やめてよッ!」 大慌てをするスピカです。 「流行なんですか? 僕はその手の情報にうといので、ただの本心です」 リンはにっこり笑ってそう言いました。 「そこ真面目に言わなくていいからっ!」 スピカはますます赤面してしまいました。 (リンの事だから、冗談じゃなく本当にそう言ってる……そっちの方がよっぽど恥ずかしいから!) スピカだって、リンがどういうキャラなのかは理解しているのです。 なんでそんな気恥ずかしい事ばかり言うのだろうと思いつつ、ちょっぴり嬉しいスピカ。 やっぱりリンの心からの気持ちって大事なんですよね。 スピカが狙っているのはデパートの限定品で綺麗な花のチョコレートです。花びらの細工が精密で華麗で、広告を見て一目で気に入ったのでした。 リンとスピカは限定品の売り場前でずっと並んで待っていました。売り場には花のチョコレートの他にも星や動物や、様々な形のチョコレートがあり、それぞれバイトの女の子達が販売しています。 スピカは狙いの花のチョコのバイトの前に来て、顔を輝かせました。 ちょうど最後の一個だったのです。 (やった! 間に合った!) スピカの様子を見て、リンは自分の財布を取り出しました。スピカが欲しいチョコなのです。早速買ってあげようと思いました。 「あー……」 そのとき、スピカの後ろで残念そうな女の子の声が上がりました。 スピカは思わず後ろを振り返りました。そこではこれからデートなのか、愛らしく着飾った女の子が涙目で花のチョコの方を見ていました。 「あー間違えた。買おうとしてたのはこちらだったわ」 一瞬、迷いましたが、スピカは花のチョコの隣にあったハート型のチョコを指差して、バイトの女の子に微笑みました。 (何かあった?) リンはすぐに異変に気がつきましたがスピカは笑っています。後ろの女の子はほっとしている様子です。 (きっとリンならこうするから……) スピカは残念でしたがそんな気持ちでいます。スピカの表情からリンは全ての事を読み取りました。 「こちらで間違いありませんか?」 バイトの女の子の質問にリンははっきりと答えました。 「はい、僕たちが選んだのはこちらです。花のチョコは後ろの人へ渡して下さい」 泣きそうになっていた女の子が嬉しそうにしている笑顔を見て、ハートのチョコを買ったリンとスピカはデパートを後にしました。 「チョコの花のかわりに植物園で本当の花を見に行こうか」 「それはいいわね」 リンの提案にスピカは即座に頷きました。 植物園ではスノーウィスパーという花の特別展を開催しているはずです。 二人は早速植物園に向かいました。 順路をたどっていくと、白い大理石で出来た盛り上がった花壇の上に透き通るように輝く銀色の小さい花が咲き乱れていました。 花は雪の結晶にも似た六角形で花弁も花心も恐ろしく精緻な作りです。ごくごく小さいその花が密集して咲いている様子はとても清らかで美しく、甘くかぐわしい香りも相まって非常に癒やされる光景でした。 「……綺麗ですね。それにとても可愛い!」 スピカは喜んでそう言いました。 「スピカの方が可愛いよ」 すると当然のようにリンがそう言いました。いえ、リンとしては全く当然だったのですが。 「そういうことを言わないで!」 照れて即座にそう答えるスピカ。 リンは笑いながらそんなスピカを見ています。 二人はしばらくスノーウィスパーの前で楽しい会話をしました。 「花のチョコは随分気に入っていた様子だったのに」 「ごめんね勝手にキャンセルして。あの時、リンならきっとああすると思ったから」 「でもあそこでああ言ってくれるスピカだから好きなんだ。違うチョコでも、スピカが選んでくれて本物の花も一緒に楽しめた。僕はとても嬉しかったよ」 (……そう言ってくれると、嬉しいわ) スピカはそうは思いますが、なんだか気恥ずかしくて黙っていました。 すると、リンが言いました。 「だって「アニマといる時の…」 「あーあーあー! もうその発言はいいからっ! 今のはわざとでしょ!」 大慌てでリンに突っ込むスピカ。 やはりリンは笑っています。 スピカは照れくさくて、リンの事を叩くふりをします。勿論、映像の彼女がそんなことをしても、全然痛いはずがないのですが。するとリンは、ちゃんと痛いようなふりをしてくれるのでした。 スノーウィスパーを見終わった二人は植物園の花園の中をゆっくりと移動していきます。 くるくると変わるスピカの表情を愛しげに見つめ、チョコレートの包装を胸に抱いて、リンはいつになく嬉しそうです。 花のチョコは入らなかったけれど、かけがえのない花の思い出が出来たのでした。 ●ヴァニラビット・レプス(EST-EX )編 バレンタインデーも、『ヴァニラビット・レプス』と『EST-EX』は、お仕事でした。チョコレート配りです。 「二人でデートと言えなくもない?」 「ありえません」 ヴァニラビットの言葉にEST-EXはきっぱりと否定をしました。 「お得意先に、子供たちに…と。EST-EX、あといくつ? 数足りるかしら?」 ヴァニラビットは自分が楽しむ側という意識が全くない模様です。 護衛や傭兵稼業のお得意様に、孤児院や学校などの子どもたちにと、EST-EXに手伝ってもらってバレンタインのチョコレートを配って回るのでした。 特に強迫観念などではなく、楽しむよりも楽しませる方が好きなのです。 そんな訳でヴァニラビットが向かったのは『ノームワームトリート』の主催者、金持ちボンボンの自宅へ。 「触手やら粘液やらをありがとう。出来たら飴も欲しかったわ」 「はっはっは。次に開催するときに頑張ってくれたまえ。こちらも触手を二倍増しにしておこう」 なんだか誘われてしまったヴァニラビットでした。 (どうしよう。行った方がいいと思う?) (行きたければどうぞ。止めはしません) 今度はなんだか頭が痛くなってくるヴァニラビットでした。 次に向かったのは、『ミファレラ』と『エルマー』のところでした。 「あなたたちのおかげで、自分の恐怖を見据える事が出来ました。なんだかEST-EXとの絆が深まったような気がします」 「さあ、それはどうでしょうか?」 「だから、深まった気がするって言っていて。深まったとは言ってないわよ」 そんなやりとりをするヴァニラビットとEST-EXにミファレラ達も苦笑いしています。それでもチョコは快く受け取ってくれたのdした。 そして次に向かったのは雑貨店を一人きり盛りする『プリム』のところです。 プリムは自身の雑貨店もバレンタイン向けに可愛らしく飾り付け、チョコレートの準備もしていました。 「もみの木を飾るのは楽しかったわ。他のイベントでも何かあった時は協力するわよ」 「うわああああん、ありがとうございますぅう!」 どうやらバレンタインの飾り付けはクウリの力もあってかなんとか出来た様子のプリムであった。 そんなこんなで、得意先を回ると、ヴァニラビットは施設の子ども達のところへ向かいました。 「ヴァニラビットおねーちゃーーーん!」 ヴァニラビットが姿を見せただけで小さい子ども達が彼女に飛びついて来ました。 「みんな! バレンタインのチョコレートを持って来たわよ! そこに並びなさい。一個ずつ手渡してあげる!」 満面の笑みでそう言うヴァニラビットの下に小さい男の子達が次々と並び始めます。EST-EXに手伝ってもらいながらヴァニラビットは配りました。 すると、小さい女の子達が遠巻きに切なそうな顔でこちらを見ている事に気がついkました。 「どうしたの?」 「わ、私達……女の子だから、ダメかな……と思って」 小声でそう言って、女の子達は顔を見合わせています。 「バカねえ。そんなことあるはずないでしょ。さあ、こっちに来なさい。みんなに平等にチョコを配ってあげるから!」 おかしそうにヴァニラビットが笑うと、小さい女の子達も笑いだし、ヴァニラビットの方に男の子達に負けずに飛びついてきました。 「あなたは本当に、子どもに好かれる。ご自分が子どものまま大きくなった人だからでしょうか」 EST-EXは口ではそう言うが、そんな自分のマスターに満足しているようでした。 そんなふうに一日が過ぎて、仕事を終えたヴァニラビットは、やっとの思いで自宅に帰りました。 チョコを配るばかりで、自分は一枚のチョコレートも貰ってません。 ソファに寝転がるようにして座って、自分でぐったりしていると、いい匂いが周囲に漂いました。 機械を巧みに操作したEST-EXが小型ドローンで上等なコースターの上にハートのラテアートを描いたカフェラテ、それに小粒がだがとびきり高いチョコレートを乗せてヴァニラビットのすぐ手前に操作してきたのです。 「……え、私? らしくないけど、大丈夫?」 「年に一度の事ですから、たまには」 「うん、まぁ……ありがとね。いつも」 裏があるんじゃと思った自分を恥ながらヴァニラビットは笑い、チョコレートを一粒口に放り込みまいた。甘さとアニマの思いやりにじんわり癒やされます。 「それではマスター」 それを見届けた後にEST-EXは言いまいた。 「今回のラテアートにかかった経費と時間、そのチョコレートの金額は正確にこれぐらいになりますが、ホワイトデーにはきっかり三倍返しでお願いします」 「……え?」 ヴァニラビットは目が点になります。 「ホワイトデーにはきっかり三倍返しでお願いします」 EST-EXは大事な事なので二度言いました。 ●ブレイ・ユウガ (エクス・グラム)編 バレンタインデー。 『ブレイ・ユウガ』は、彼のアニマ『エクス・グラム』に強く言われ、デパートのバレンタイン特設売り場に来ています。 女の子をかきわけて、エクスが予約もしたというチョコを係員から受け取りましたが--。 (予想の三倍ぐらい高ぇ……しかも代金は俺の貯金から払ったときた……) 軽く気が遠くなりそうになるブレイでした。 「君、なんて顔をしているのよ。女の子からのチョコはそれぐらいの価値があるんだからね」 そんなふうに言われてブレイは腹が立った。 「いや、なんでお前からのチョコを実質俺の自腹でもらわにゃならねえんだよ」 だが、キャンセルというわけにもいかず、泣く泣く自腹で購入するブレイであった。 その後、エクスの希望で、デパート内の女の子に人気のあるという装飾品店へ向かう。 「それじゃ、ここで私に贈るアクセサリーを選んで」 そう言われてブレイは店内のキラキラしたアクセサリーを見て回った。どれも、先程のチョコの三倍以上の価格であった。 愕然とした顔でエクスの方を見ると彼女は平然としている。 「こういう気の利いたお返しで解消を見せて、好感度をアップするのよ」 「その辺りはなんとなく納得しそうだが、相手がお前じゃなぁ……」 ブレイはため息をついた。 店内はやはりバレンタイン向けにハートの装飾などできらびやかに飾られている。 バレンタインなのに、自分は何をやってんだろうと思わなくもない。 彼はアニマとは恋仲ではなく、仲の良い友達関係なのである。 恋人はいない。意中の子もいないが、なんとなく気になる子はいる。 それでアニマの提案で渋々買い物をしているのである。 「この無駄な出費と時間がキチンと報われるといいんだが……いまのところ期待できねえんだよなぁ」 「だって君って絶対こういうイベントで気の利いた事とかできなさそうだし、今のうちから練習するに限るでしょ? おねーさんってば気が利くぅ☆」 「まぁ、適当に選んで……」 ぼそぼそと口の中で言ってのそのそ動こうとするブレイ。 「ん? 何か言った?」 鋭く突っ込むエクス。 「……あ~はいはい真剣に選びますよ」 そういう訳で、ブレイは気になるあの子に似合いそうなアクセサリーを自分で選んで購入したのだった。 急いで帰る予定もないので、ブレイとエクスはデパートを出た後もぶらぶらと繁華街周辺を歩いて回った。 「まったくもー、ああいう店は、値切りが出来ないのが欠点だな」 ブレイがそう言った。 「値切り? なによいきなり」 「前にお前が見取り稽古はダメって言って、値引きをさせたんじゃないかよ。あの特訓が生かせなかった」 「ああ、そんなこともあったわね」 「今度行く時はやってみようかな」 「デパートのアクセサリー店で値引きって、そりゃ無理よ。かっこわるいことしないでよ」 「なんでだよ。高い者を値切ってこその値引きの腕じゃないか」 「そんなことしたら、女の子に嫌われるわよ」 「しょうがねえなあ」 ブレイは大仰にため息をついた。 一応、気になる子だっているんだし。 「ねえ、バレンタインデーにチョコ買ってアクセサリー買って、後は何をしたらいいと思う?」 エクスがふてくされているブレイに試すように聞いた。 「んあ? ……なんだよそれ」 やる気のないブレイは、目を瞬いて嫌そうな顔をした。 「例えばの話よ。こういうシミュレーションが大事なのよ」 「チョコ買ってアクセサリー買って……後は……ファーストフード?」 「なんでよ! なんでそこでファーストフーとなのよ!!」 「いやだって。経済的だし便利じゃん。そのままバーガー喰ってポテト喰ってだべっていればいいんじゃないか」 「ムード台無しじゃない。せめてカフェとか言えないの?」 「カフェ~? 俺がカフェって顔をしてるかよ」 「してないね」 そこでエクスはあっさり認めた。 かすかに傷つくブレイであった。 「う~ん。元はそんなに悪くないのに、醸し出す無気力さが色々と台無しに……そういうのも消せるファッションってあるのかしら」 エクスはしきりに首をひねっている。 「言いたい放題だなあ、オイ!」 「いやだって……こういうのははっきりと問題点を認識しないと治療法もないのよ?」 エクスはぱたぱたと手を振った。 「それじゃ今日は、ブレイの服も買ってカフェに入って、シミュレーションをしていきましょ」 「なんでそうなるんだよ!?」 「あら、本当に興味ないの?」 余裕たっぷりの表情でエクスは言った。 「……っ」 言葉に詰まるブレイ。 ブレイの無気力さは現実を受け止められない逃避行動だ。世の中には俺より凄い奴がたくさんいる。だからその問題点を認識しなければ、スタートラインに立つ事が出来ない。 だけどブレイはそのことを本当は分かってる。だからアニマに言われればチョコも買うしアクセサリーも買う。……問題を理解しろと言われれば、ファッションだって気をつけるしカフェにだって行くだろう。そうして自分を見つめて、現実を知らなければ。 「大丈夫。一人じゃないから」 明るく笑ってエクスはブレイの背中を叩いた。そんなはずがないのに、ブレイは彼女の体温を感じた気がした。
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