アンネッラ・エレーヒャの俺の嫁と! 最後の日常を!春夏秋冬 GM) 




リザルトノベル


「今進めている研究とやらを教えてください!」
 必死に【アンネッラ・エレーヒャ】は【トゥルー】のために声を上げた。
 いま彼女達が居るのは裂けてしまった大地から逃れるための巨大船のひとつ。
 魔法や魔石に関して研究を行っていた人々が多く乗り込んだ七隻目の船だ。
 その船の責任者に直談判をしている。
「私のできる力を持って、解決策を導いてみせますわ……!」
 自分の全てを懸けてでも願いを叶えるという想いが、アンネッラの言葉には溢れていた。
 そんな彼女の傍に寄りそうトゥルーは、これまでと同じく見守るようにアンネッラを見詰めている。
 けれどその姿には以前のような精彩が感じられない。
 それは全てのスレイブに起っていることだ。
 スレイブ稼働のキーとなる巨大魔石が破壊され、いずれスレイブは動くことすら叶わなくなる。
 それを回避するためにアンネッラは東奔西走し、スレイブのための研究が進められているここに訪れたのだ。
「必ずお役に立ってみせますわ……だからお願いします!」
 人見知りな筈のアンネッラの必死な呼び掛け。
 それに船の責任者は応えた。
「分かりました。力になってくれる方は、私達も求めています。研究に必要なことは言って下さい。可能な限り力を貸します」
 この言葉に希望の光を見たようにアンネッラは表情を輝かせ応えを返した。
「こちらこそ、お願いしますわ!」

 こうしてアンネッラは多くの手助けの元、トゥルーのための研究を重ねていった。
 それは長い年月が過ぎ去る日々だった。

「トゥルー。魔石について、何か分かることはありませんの?」
 研究を進める中で、ある日アンネッラはトゥルーに尋ねる。
「魔石について? そうね、どうかしら? 今なら貴女の方が詳しいと思うわよ」
「そんなことはないですわ。魔石を宿しているのはトゥルーですもの。だから私では分からないことが、きっとある筈ですわ」
「そうかしら? そうだと良いけれど」
「大丈夫ですわ! きっとそうに決まってますわ!」
 自分に言い聞かせるようにアンネッラは懸命に続ける。
「魔石と魔法には何か関連性があるのかもしれませんわ。ひょっとしたら、何かの魔法の影響で活性化するかもしれませんわね」
「どうかしら?」
「分からないことは実験してみるのが一番ですわね。トゥルー、試してみましょう。魔法を幾つか使いますから制御を手伝って欲しいんですの」
「ええ、分かったわ」

 研究が続く日々の中、時折かつてのようにアンネッラはトゥルーに頼ることもあった。
 それには、今までの日々が続いて欲しいと無意識で願うような、縋るような想いが滲んでいた。
 けれどアンネッラとトゥルーは、その想いを口にすることはできず、研究の日々を続けていく。
 そんな日々の中で、お互いを確かめ合うように言葉を交わすこともあった。

「あらあら、いつまで経っても、アンネは昔のままね」
「……構いませんわ、それでも。だって、トゥルーが傍にずっと居てくれるんですもの」
「……ええ、そうね」
 トゥルーはアンネッラの言葉を否定できない。
 なぜならトゥルーも、アンネッラと同じ気持ちなのだから。
(まだまだアンネには、私がついていてあげないと)

 お互いを求める想いを共に抱きながら、2人は研究を続けていった。

「トゥルー。今日は魔法を使ってみようと思うんですの。効率よく使えるようにして、魔石の活性化に活かせないか試してみようと思うんですわ」
「分かったわ。サイクロンを試してみるの?」
「それも試しますわ。他にもミスフォーチュンのような運命に干渉するような物も、私が試せる魔法は全部試してみますわ」
「あらあら、頑張るわね。でも無理をしちゃだめよ」
「大丈夫ですわ! 見てて下さいですの。きっと成果を上げてみせますわ!」
「なら私はその手助けをしないといけないわね」
 苦笑するようにトゥルーはアンネッラに返す。
 それは母親が自らの愛し子を慈しむように。
 母親に甘えるように寄り添うアンネッラと共にあった。

 そして研究は続いていった。
 繰り返す試行錯誤は失敗を積み重ね、立ちはだかる壁のような難題に歩みが止まることも。
 けれどアンネッラは諦めなかった。
 魔石研究で行き止まれぱ魔法研究を行い。
 そこから得られた成果を魔石研究に還元する。
 ひとつだけではないアプローチを繰り返し、少しずつ少しずつ前へ前へと向かって行った。

「トゥルー、もう少しですわ。もう少しだけ待っていて欲しいんですの」
「ええ、分かってるわ。いつまでだって待ち続けるわ。貴女は頑張り屋さんだもの。きっと辿りつけるわ」

 アンネッラとトゥルーは、お互いを励まし合い、支え合いながら研究を続ける。
 それは大勢の人達の助けも借りながら。
 そして同時に、同じぐらい多くの人達を助けながら。
 研究は少しずつ成果を見せていった。

 けれど、道のりはあまりに遠かった。
 どれほど成果を上げていっても、その果てには届かない。
 もし届くことがないと確信できたなら、まだ諦めがついたかもしれない。
 けれどいずれ辿りつけるという確信がありながら、必要な時間の長さがどうしようもない壁となって立ちはだかった。

「出来る筈ですわ。魔法から得られた魔石への研究成果の還元は確実に上がってますもの。あと足りない物は――」
 果てしなく遠い到達点を望み、アンネッラは研究を続けていく。
 考察に向いている彼女は、他の研究者から提供されたデータを元に、船団の中で提供された住まいで集中を続ける。
 途切れることなく考察を呟きながら、寝食さえ忘れるような必死さで続けていた。
「少しは休まない?」
 集中するアンネッラにトゥルーは紅茶やお菓子を持っていく。
 それはいつもの光景。
 アンネッラはトゥルーの呼び掛けに応え休憩する、筈だった。
「トゥルー!」
 紅茶とお茶を置き終わったトゥルーが崩れるように座り込み、アンネッラは駆け寄る。
「……大丈夫よ。心配しないで」
「そんな……そんなこと……」
 力なく返すトゥルーを支え、アンネッラはベットに連れて行った。

 その日を境に、トゥルーは歩く事すら出来なくなった。
 それはトゥルーだけではなく、他のスレイブたちも同じ。
 終わりの時が近付いていた。

「トゥルー……」
 動けなくなったトゥルーの傍にアンネッラは寄り添い続ける。
 その心には恐怖が灯っていた。
(私の……ずっと……生まれた時から一緒にいたトゥルーが居なくなるかもしれないのですか……!)
 それは縋るような、そして寄り添うような、トゥルーを求める気持ち。
 そんなアンネッラにトゥルーは告白した。
「私は悪いスレイブね。貴女が変わらず私の傍に居てくれることに安心しているの」
「私だって同じですわ!」
 アンネッラは想いを口にする。
「私にはトゥルーがいないと物事がうまくいく気が致しません! ずっと傍に居て欲しいんですの!」
 トゥルーは微笑みながらアンネッラの頬に手を伸ばす。
「アンネ」
「トゥルー」
 アンネッラはトゥルーの手を取り、頬に寄せた。
 薄れゆく感覚の中、トゥルーは魂に刻むようにアンネッラを感じ取る。
 ずっとずっと、一緒に居たい。
 2人の気持ちは、同じだった。
「ずっと――」
 振り絞るように、トゥルーはスレイブとして最後の言葉をアンネッラに贈る。
「――いつまでも……貴女と一緒よ、アンネ」
 アンネッラがこれから1人でも前へ進めるように、トゥルーは別れの言葉を告げた。
 けれど、アンネッラが返したのは約束の言葉だった。
「当り前ですわ!」
 誓うように、アンネッラはトゥルーに言葉を贈る。
「トゥルーを独りぼっちになんかさせませんわ! トゥルーがいないのは嫌です! だから、だから絶対に――」
 涙をこぼし、けれどトゥルーを安心させるような精一杯の笑顔を浮かべアンネッラは約束した。
「また、一緒にトゥルーと居れるようにしますわ……それまで、待っていて……トゥルー」
 この言葉に、トゥルーは笑顔を浮かべ返した。

 そしてトゥルーの意識は闇へと落ちた。
 そこからどれほど経ったのだろうか?
 闇に落ちたトゥルーの感覚と意識に光が灯る。

「アンネ」
 アニマとして戻ってきたトゥルーが最初に口にした言葉は彼女の名前。
 どれほどの年月が過ぎても諦めず、積み重ね続け再会することのできた、目の前にいるアンネッラを呼ぶ声だった。
 トゥルーはアンネッラを見詰め、アンネッラはトゥルーを見詰める。
 触れ合うことはできずとも、いま2人は共にある。
 かつて2人が願ったように、一緒に居ることが出来たのだ。
 そして2人は再会の言葉を口にした。
「ただいま、アンネ」
「おかえりなさいですわ、トゥルー」
 2人は、お互いを呼び合う。
 それは、この先ずっと一緒だと、誓うような言葉だった。



 アンネッラ・エレーヒャ  ( トゥルー
 エルフ | メイジ | 16 歳 | 女性 
私の…ずっと…生まれた時から一緒にいたトゥルーが居なくなるかもしれないのですか…!
それは絶体絶命のピンチですわ!
私にはトゥルーがいないと物事がうまくいく気が致しません!

今進めている研究とやらを教えてください!
私のできる力を持って、解決策を導いて見せますわ…!

魔石の研究が第一優先で次に魔法の研究…どちらも1辺に学べる場所なのが助かりますわね
どちらも極めている場合、壁にぶち当たったときに新たな視点で見られるかもしれないですからね。片方だけをやるという考えはないのですわ

今まで好んで使ってきた魔法の研鑽などもやりたいですわね
魔力の使い方で効率的に攻撃なども出来ないのでしょうか…?これは要研究内容ですね

それと魔石に関しましては、私が身に宿している訳ではありませんので、トゥルーに色々聞きつつ話を進めていきませんと
魔力みたいなものなのでしょうか?それならまだ想像しやすいのですが…



依頼結果

大成功

MVP
 アンネッラ・エレーヒャ
 エルフ / メイジ

 トゥルー
 

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