プロローグ
君たちは、ここトレジャー・アイランドの中央に位置するピラミッド状の遺跡の内部にいた。
全面に鏡とガラスを多用しているこの遺跡は、自分たちの現在地を把握すること自体が困難になるような代物である。
また、内部は迷宮となっている事も相まって、中はとても迷いやすくなっていた。
そして、君たちもその迷いやすい内部に入っている一行である。
「~~~~~~!」
そんな中、奥から何か物音が聞こえる。声のような、物音のような。君たちは、その音の発生源に向かってその足を進めた。
『しゃぶしゃぶ屋 ベルナールド』
目の前のドアには、このような看板が掛かっていた。そして、そのドアの前には、一人の青年と、脱ぎ散らかされた衣服が何着か散らばっていた。その衣服は、見る限りメイド服のような、ウエイトレスの衣装のようだ。ミニスカートに、フリフリが付いたエプロンが付いている。
「き、君たちは……?」
ドアにもたれかかり、ぐったりとしている青年は君たちに気づき声をかける。
「だ、誰でも良い、助けてくれないか……!」
その青年……店長であるベルナールドが言うには、
(1)今日、自分の店であるしゃぶしゃぶ屋「ベルナールド」のオープン日である
(2)しかし、雇っていたウエイトレスが、全面鏡張りという内装とミニスカートという制服に怒り、全員辞めて行ってしまった
(3)また、今日到着するはずの食材も届いておらず、何も用意出来ていない
(4)開店まで後2時間程度。開店祝いに予約してくれている客がいるため、この時間には開店しないといけない
と言うことらしい。
「……ワガママかも知れない。でも、私の夢だったんだ。助けてはくれないか? 報酬ははずむよ」
そう言って、君たちの前にベルナールドは金貨を差し出した。
解説
今回、皆様にはピラミッド内部に(なぜか)あるしゃぶしゃぶ屋さんで店長「ベルナールド」さんのお手伝いをして頂きます。
店内は、天井、床、壁と鏡張りになっており、そこにテーブル、しゃぶしゃぶ鍋がセットされています。
今日開店予定だったのですが、ウエイトレスが、ミニスカートというコスチュームと鏡張りの店内、という環境を目にするや、即辞めてしまった、という状況です。また、食材に関しても一緒に辞めてしまったスタッフが持ってくる予定だったので、食材もありません。
皆さんに行って頂きたいのは次の2点です。
(1)食材の確保、下ごしらえ
(2)給仕作業
(1)に関してですが、密林や泉、ピラミッド内部にあると思われる食材を確保してください。魚や肉、その他諸々……。何があるのか? それはアナタの想像力次第です。
下ごしらえに関しては店長ベルナールドが主に行いますので、特別料理が得意で無くても可能だと思います。もちろん、自分たちのオリジナリティを出してもよいとは思いますが。
(2)に関しては、ウエイトレスとなって給仕を行って頂きます。なぜ、ウエイターと言わなかったのか。女性向けの制服しか無いからです。少し無理をしたら男性でも着れると思いますが、女性向けの服装です。ミニスカートに、フリフリのエプロンが付いたその衣装は、普通の飲食店で着る分には「可愛い」の一言ですみますが、全部鏡張りの店内ですから……。
また、そういうところを少し勘違いされているお客様もいるかも知れません。その場合、ボディガードが出て来るか、自分で対処するか……。そこも腕の見せ所です。
ゲームマスターより
どうも、コメディ・バラエティ担当GMのおじやしげきです。
今回は、トレジャー・アイランドのなか、ピラミッドの内部になぜかあるしゃぶしゃぶ屋さんのお手伝いをして頂きます。
しかし、皆様もうご存じでしょう。ピラミッドの内部は鏡とガラスを多用した迷宮です。
つまり、この店内も鏡とガラスで覆われています。どういうことか……。もう、おわかりですね。
皆様は、お客様に粗相なくお手伝い出来ますでしょうか。ちなみに、しゃぶしゃぶ屋さんに他意はありません。
☆注意事項
【TI】とタイトルに付いたエピソードに関しては、大規模作戦のリザルトと矛盾があっても構いません。
つまりあなたが大規模作戦に参加していなくても、あるいは、参加し『ピラミッド内部の探索』以外のルートを選択していたとしても、このエピソードに参加することは可能なのです。
どうぞご自由にお楽しみください。
【TI】ピラミッド内でしゃぶしゃぶ鍋を! エピソード情報
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担当 |
おじやしげき GM
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相談期間 |
8 日
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ジャンル |
コメディ
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タイプ |
ショート
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出発日 |
2017/11/2
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難易度 |
普通
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報酬 |
多い
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公開日 |
2017/11/24 |
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●目的 せいっぱいおもてなしする! ●心情 お店で働くのって初めてで緊張するなぁ~…。 失敗しないといいんだけど…! ●行動 あ、あの!は、はじめまして! (ベルナールドさんにむかってお辞儀をして) わぁ…♪かわいい制服! (鏡張りだけど…身長低いから多分下着は見えない…よね?) え。食材ないんですか!? しゃぶしゃぶに必要そうな食材…ピラミッドのなかにあるのかな…? 人面犬…は色々アウトな気が! (そうだ【み~らくるくる☆マジカル】を使えば、美味しい食材が手に入るかも!) い、いらっしゃいませっ! あのあのこういうの初めてで…っ。 粗相がないようにしますのでどうかお手柔らかにお願いいたしましゅっ!! え、可愛い…?えへへ…。
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コノさんは給仕メインで動くよー。 最初は食材探しもちゃんと手伝うけどね。 やっぱしゃぶしゃぶと言えば牛だよね! そんな感じで牛を探すよー。 1時間くらい経ったら、お店戻って準備するよ。 やー、しっかし思ったより鏡張りだあコレ……。 ほんとにスパッツとかないの? ないかーそっかー。 まあいいや。さくっと着替えてメニュー把握して、テーブルとかの位置も覚えて、あとは給仕組の人たちと協力して頑張ろ! 念のためにカメリアちゃんにも店内把握しといてもらお。 ちょっと勘違いした人はー……コノさん未成年だからやめといた方がいいよ、くらい言っとくかあ。 まあ手なんて出させないけどさ。個人情報抜くよ、くらい脅しても怒られないよね。
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エクリプス
( 陽華 )
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フェアリア | マッドドクター | 12 歳 | 男性
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1)泉で釣り 魚のしゃぶしゃぶとかおいしいらしいな!釣りをしよう、釣り! 大きな魚が捕まるといいが(物理が底辺なのに無茶をする) 柑橘系の果物があれば釣りに行く前に採取して、おこう 道具も揃えて魚を無心で待つぞ 一時間ぐらい割り当てるか 2)ホール 開店前にホール全体の把握を 席はどれぐらいとか、場所とか覚えておく これも経験、人生初の女装をしよう 多分女性に見える筈(顔は中性的) 胸に柔らかい物で詰め物を ただ我輩の種族でミニスカになるか?誰も期待していない? 動きにくそうなのでスパッツ履いて、笑顔で対応しよう 迷惑行為を行う客がいたらそれとなく間に立ってそれとなく注意かな 依頼人とお客さんの笑顔のためにがんばるぞ!
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星野平匡
( ハルキ )
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エルフ | スナイパー | 36 歳 | 男性
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最初の1時間くらいは、食材集めに行く。熊や鹿を倒しておきたい。デザートにレモンパイを作りたいから、レモンも収穫。 基本は銃での戦闘だが、近接戦闘は一子相伝のタイキック。 残りの時間で給仕をする。トイレに行くとか言いつつ、人気のないところで得意の女装をする。女装時は口調や声が変わって、魔法少女みたくなる。女装時の名前は「チェリー」。 アニマと料理やセッティングをする。 自分や仲間に一線を超えた行為(盗撮など)をされる方には、一子相伝のタイキックでお仕置きします。 最後はお店を盛り上げる為にライブもしたいですね。 衣装チェンジとかする。アニマとダンス曲でも歌って踊ろうかな。 何にせよ、煙幕装備。
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お店のオープンなんて大事な日、僕で力になれるならお手伝いするよ! …あとでお礼に僕たちにもしゃぶしゃぶ食べさせてもらえるかなー、なんて。えへ。 皆で協力して、いっぱいお客さん喜ばせよう! 食べられそうな野草やキノコを密林に探しに行くね。 毒があるかどうかはミモザに調べてもらえないかなー。 すごい色とか形でも美味しいのがあるっていうもんね。 足りなければ生長促進剤で一気に増やしちゃえ! 余裕があったら給仕もお手伝い。 いつも着ているから慣れてるとはいえ、なーんかお客さんが下ばっかり見てるような…? あんまり酷いお客さんにはあやしいおくすりで眠ってもらっちゃうよ! はー、お腹すいた。 美味しいしゃぶしゃぶ食べたいなー。
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クロカ
( 雪月 )
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ヒューマン | マーセナリー | 23 歳 | 男性
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店の経営難か……制服といい、場所と言い色々とツッコミを入れたい内容ばかりだが、まぁいいだろう。 食材もない? オイオイ、しっかりしてくれ……それじゃオレは主に食材確保に努めるとするさ。泉で釣り、肉が喰えそうな奴がいれば戦って食材にするしな。 戻った後は料理がそこまでできんからな、まぁ下ごしらえの部分で手伝える部分をやってこっそりガードマン紛いな事でもするさ。 女性スタッフへのセクハラ紛いな事に関しては問答無用でゴム弾発射、とかな。 「申し訳ございませんお客様。当ピラミッド、獣がでます故。ガードマンの手元が狂わないようご協力、お願い致しまーす?」
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食材 ケモモの嗅覚を頼りに探すので よく鏡にぶつかる 武道着でスパッツを履く 給仕 素早く華麗にホール捌きで「見切り」 ケモモの耳で客の声も聴き分ける 早すぎてチラリも見えない 抱きついてくる客には「ラストライド」
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食材探しに「み~らくるくる☆マジカル」で何となく探し 給仕の際は「へーんしん☆トランス」で勝手に変身して盛り上げる 見えそうなとき「み~らくるくる☆マジカル」効果で光が入る
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参加者一覧
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エクリプス
( 陽華 )
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フェアリア | マッドドクター | 12 歳 | 男性
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星野平匡
( ハルキ )
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エルフ | スナイパー | 36 歳 | 男性
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クロカ
( 雪月 )
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ヒューマン | マーセナリー | 23 歳 | 男性
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リザルト
「あ、あの!は、はじめまして!」
『ロベリア』は、目の前にいるさえない男……ベルナールドに向かって明るく語りかける。
「あ、あぁ…… 君たちか、協力してくれるというのは……」
少々うなだれながらも、ベルナールドは一向に挨拶する。
「しっかし、良くこんなところでやろうとしたよな、アンタ……」
そう言うのは『クロカ』。全面鏡張りの店内を一瞥しながら、苦笑しながらそう告げる。
「し、仕方が無いだろう……ココしか無かったんだから」
と苦笑いしながら答えるが、本当にそれ以外無かったようである。的確なツッコミに関して苦笑いしか浮かばない。
「そ、そんなことより、手伝ってくれるのなら、お願いする……。わたしの夢を、叶えてくれ」
そう、ベルナールドは頭を下げた。
「……釣れないのう……」
『エクリプス』は、波も立たない泉に釣り糸をたらしながらそう独りごちた。
「この辺に魚がいると思うんですけどねぇ……」
そう答えるのは『陽華』。魚群探知機よろしく、泉内に泳いでいるであろう魚などを調べていたものの、その釣り竿がしなることは無く時間のみが過ぎて行っている。
「もう、45分ぐらいか。戻る時間を考えると、ソロソロ潮時かね」
「そうですねぇ…… 少し寂しいかも知れませんが……」
「まぁ、レモンも拾ってるし、コレで納得して貰うかね」
この泉に来るまでの道中、つけ汁や臭み消しなどに使えるだろうと柑橘類も並行して探していたエクリプス。そのときにレモンやスダチを確保していたため、ポン酢に使ったり出来ないと考えていた。
「そうですねエクル…… って、エクル! ちょっとちょっと!」
「陽華どうした……っておおぃ! 引いてるじゃ無いか!」
ソロソロ撤退しようと話をしていたその瞬間、釣り竿が大きくしなる。
「こ、コレはかなりの大物じゃ無いですかエクル! 頑張って下さい!」
「お、おぅ……!」
かなり強い引きに四苦八苦しながらも、負けないように必死に食らいついている。物理的な体力はあまりないにもかかわらず、ここまで食いつくのは依頼人のために頑張りたいという気持ちだろうか。
「負けないで下さい、エクル!」
陽華が必死に応援するなか、右へ左へと動き回る釣り竿に引きずられそうになりながらも、リールを確実に巻き上げていく。
「いよっしゃぁ!」
大きく釣り竿を引き上げたそのとき、大物がキラリと水面から顔を出す。
「……相当、大きくないですかエクル……?」
水面から顔を出したその魚は、細長い紡錘型をしており、背中は青緑色。その目から尾ビレにかけて黄色っぽい縦帯が通っており、しゃぶしゃぶにもぴったりな気がする。
右へ左へ逃げていく魚に対応していき、確実に魚のスタミナを減らしたようだ。徐々にリールの重さが軽くなっていく。
「捕ったー!」
10分ぐらい格闘しただろうか。エクリプスは一匹の魚を抱えていた。
「やりましたねエクル。最高のしゃぶしゃぶが出来そうですよ!」
「そうだな。さっさと戻るか」
そう言う二人の足取りは軽かった。
「クンクン…… あいてっ!」
自慢の嗅覚で探索をしていた『simple』であるが、鏡に覆われたこのピラミッドでは良く頭をぶつけてしまっている。武道着で決めているものの、頭をぶつけ少々ばつが悪くなっている。
その道中で、何かしら見つけているようであるが、少々心許ない。み~らくるくる☆マジカルを使って探索する『online』にぶつかったりしながら、ワイワイと食料探しを続けていた。
「あ、あそこにあるのレモンだよね!? あそこにはキノコも一杯あるー!」
『ノーラ・サヴァイヴ』は、密林に食材を探しに来ていた。キノコや野草といった食材はメインにはなることは少ないが、しゃぶしゃぶなどの鍋類には欠かせない名脇役と言える。
「ああほら、そんなに走ると転びますよ!」
『ミモザ・サヴァイヴ』が、ノーラに注意をする……が、その顔は微笑ましく。
「全くノーラくんはいつまでたっても子どもなんですから……」
この台詞に全てが集約されていた。
少しぬかるんだ足下を転びそうになりつつも、走り回りながら確実に食材を探し続けている。レモンのような柑橘類も見つけられたのはその探索能力の賜物なのかも知れない。
「ねーねー、このキノコ食べれるかな?」
ノーラの手に握られていたのは、赤い傘に白の水玉が入ったキノコ。少々毒々しいが、そう言うキノコの中にも美味しいモノはある、と言うのを聞いたことがあるため、ミモザに確認を取ろうというのだ。
「えーっと、このキノコは……っ!」
その差し出されたキノコを見て一瞬、驚きの顔を浮かべるミモザ。
「え、な、なに……?」
そのリアクションに少々不安を覚えるノーラ。しかし、それ以上に好奇心の方が上回っているのも事実であった。
「これは食べると笑いが死ぬまで止まらなくなってしまうキノコ………!」
ノーラの背景には集中線、がーん! と言う効果音が付きそうな表情。結構な告白であったから仕方が無い。
「じゃ、じゃあコレは止めておいた方が……?」
「なーんて、嘘です」
てへ、と微笑むミモザの笑顔に安堵の顔を浮かべるノーラ。
「大丈夫です、コレは美味しいキノコですよ♪」
「よかったぁ……。じゃあ、コレ持って帰ろうか!」
そうして、二人はホクホク顔で両手一杯に抱えたキノコや野草を持ってピラミッドへ帰っていったのであった。
「うーむ……」
『星野平匡』はメイン食材である肉を探し歩いている。
事前に頼まれていた牛はもちろん、「ジビエも良いですよね!」と言う発想から熊や鹿も同時に探している。
「そろそろ、見つかりますかね」
『ハルキ』は、デザート用のレモンパイを片手で放り上げながら少々退屈そうに歩く星野の気持ちを鼓舞するように話しかけるのであるが、中々出てこないターゲットに少々暇を持て余していたそのとき。
ヴォー!
目の前に現れた熊。今まで見たことの無い二人(?)の姿を確認し、大きく威嚇する。星野よりも大きいその胴体を大きくひろげている。
「……ほら、来たわよ?」
ハルキの言葉に、拳をならしながら構える星野。基本的に戦闘は銃を使うのであるが、今回はその銃ではなく近接戦闘のスタンバイ。
うが? と目の前にいる逃げない相手に対して困惑している……ように見える熊。目の前の存在を敵だと認識した熊は、その手をそのまま手を振り下ろそうとする。その次の瞬間。
「……らっ……しゃぁ!」
熊の間合いに入るのは一瞬。入り込んだ瞬間に、その足が熊の鼻面に飛び込んでいく。タイキック。一子相伝の技である。
ぷぎゅぅ…… と一撃を受けて倒れていく熊。
「やったわね」
ハルキは星野に対してクールにそう告げるが、その顔は微笑みが浮かんでいたようだ。
「もっと、欲しいよね」
熊という超大物食材を手に入れてもさらに食材を見つけようとするその意識はあっぱれである。その後、頼まれていた牛や、鹿などの食材をいくつも発見したとか。
「いらっしゃいませー☆」
材料収集からしばらくして。『朔代胡の枝』は入ってきたお客様に対して挨拶。少々下衆な笑いを浮かべるお客様に対しても笑顔を崩さないのは接客業の鏡と言えそうだ。
「おっ、思ったよりかわいーじゃん制服。やっぱ問題は丈かあ……」
時は数分前に遡る。遡るって言うほど時間は戻っていないのは内緒である。
メイドのような服装に、スカートはミニ。
「余り動き回らない方が良いかと。見えますわよ」
『カメリア』が、冷静にアドバイス。さすがお嬢さまっぽい口調だ、的確なツッコミ…… もといアドバイスである。
「おっまたせー! きゃるーん☆ボンタンアメ!なーんてね☆」
明らかに男子トイレから出てきたのは魔法少女「チェリー」。星野が一子相伝の女装術で女装した姿である。もはや普通の女性よりも女性らしい……かも知れない。
「い、いつ見ても凄いですね……」
そう答えながらも、ロベリアはスカートの裾を抑えながら恥ずかしそうである。
「でも、ロベリーかわいいよね」
そう言うのは『アーモンド』。少々からかうように笑っているその姿はウエイトレスに最適なのだが、アニマである以上物理的にウエイトレスをやる事が出来ない。ぐぬぬ。
「そ、そうですか……?(テレテレ)」
その言葉に、まんざらでもない様子のロベリアである。少々恥ずかしがっているところもポイントが高いね、と後日アーモンドは語ったという。
「やぁ、ベルナールド君今日は本当におめでとう。中々良い感じになったじゃないか」
時は今に戻って。先ほど胡の枝が応対した恰幅の良い男性がベルナールドに語りかける。
「あ、お待ちしておりましたユミールさん。この度は来て頂いてありがとうございます。今日は楽しんでいって下さいね」
ベルナールドは、その客人に深々と礼をする。開店して最初の客、と言うだけでもなさそうだ。
「ベルナールドさん、あの人、どんな人なんですか?」
ノーラは、厨房に戻ってきたベルナールドに対してそう聞いてみる。
「あぁ、あの人はわたしが昔お世話になった人でね。いい人なんだよ。この場所を教えてくれたのもあの人だし、お金などを一部負担してくれたんだ」
そう言いながら、ベルナールドはエプロンを着ける。
「だから、この人には失礼なことは出来ないんだよ」
その言葉には、力強さが含まれて。
「さぁ、みんな、宜しくお願いするよ」
ベルナールド、開店初日の営業が始まった。
「お鍋を火にかけますね」
チェリーこと星野が、見事なスマイルでガスコンロに火を付ける。
少し前屈みになったその姿をさらにのぞき込んできているような気はするが、気にしてはいけないのだろうか。
「……(チャキ)」
クロカがゴム弾を構えるところまでは行ったようだが、それでも対応するには至らなかったようだ。
「は、はい……。まずはお魚からどうぞ……!」
ロベリアが、綺麗に盛り付けられた魚の切り身の入った皿をテーブルの上に置く。
「ふむ、この魚はなんていう魚なのかな?」
「はい、ええと、コレはですね……」
ユミールに急に質問されてしどろもどろになりながらもその質問に答えようと頭を回転させているロベリア。しかし、その客の視線は明らかにロベリアの目や魚に向けられている物ではなく、床、さらに言うなら鏡に向けられているようだ。
(ふむふむ、水玉かぁ…… 良い趣味しているねぇ)
とでも言いたげな顔をしているが、ロベリアはそのことには一切気づかない。
「これは、あの泉で捕れた魚でして、こうやって湯通しすると歯ごたえが……あぁんっ」
「あぁ、ゴメンゴメンちょっと身体がふらついちゃってね」
説明中、唐突に感じる指の感触。お尻に手が触れたようであるが、それが故意なのか偶然なのか、ロベリアには判断が付きにくい。
「(べ、べるなーるどさぁん……! 助けて……!)」
ベルナールドに助けを求める視線を投げるものの、気づかないのか気づいている上で無視しているのか、中々対応してくれないようだ。
「あ、あのあの……! こ、これもしゃぶしゃぶにひつような、こと……ですか?」
勇気を振り絞ってそう尋ねるが、
「まぁ、すまんね。すぐに戻すから……」
と言いながら戻す気配はあまりない。
「は、恥ずかしいけど…… お客さんのためなら…… わ、わたし……!(ビシビシビシビシ!)」
「申し訳ございませんお客様。当ピラミッド、獣がでます故。ガードマンの手元が狂わないようご協力、お願い致しまーす?」
ロベリアが声を上げようとしたその瞬間、ゴム弾がユミールに直撃する。その痛みで手をパッと離し、クロカのところを睨み付ける。
「ご協力お願いしますね、お客さーん」
しかし、その視線ももろともせず、その一言を残し厨房に戻っていくクロカ。その後ろを付いて行き、一緒にロベリアも厨房に戻っていく。厨房に入る前、ちょこんとお辞儀をして戻っていくのはロベリアらしいと言えばロベリアらしい。凄い可愛い。
「はーい! 次はお肉だよ! 牛肉に熊肉、鹿肉もあるよ!」
胡の枝が、両手に皿を持ってユミールのテーブルにやってくる。
しかし、さっきのロベリアの事もあるので、少々作戦会議はした模様である。
「うーん、おイタする人が出てきちゃったね。どうしようねー。カメリアちゃんがその人の個人情報抜くとか?」
「流石に其処までは……。顔を認識し、記憶領域に残す程度なら」
「じゃあその作戦で! 宜しくねカメリアちゃん!」
「了解しましたの」
中々に激しい作戦を立てているようである。
「えっと、このお肉は星野君が取ってきた熊肉で、少し臭みがあるんですけど……!」
開店までのわずかな時間でメニューの特徴や食材に関してなど、様々な物を頭に入れ、聞かれる前に説明を始めている。
「お、おぉ、詳しい説明、ありがとう……。ところで、君、これからひ……」
「あらお客様、コノさん、未成年だし、止めておいた方が良いですよ?」
胡の枝は、笑顔のままユミールにそう告げる。若干オーラ的な物が見える。
「いやぁ、でも……」
「……しつこいと、個人情報、抜きますよ?(にっこり)」
背中に背負っているオーラが少し大きくなったような気がしたユミールは、さすがにそこで引き下がる。
「それでは、ごゆっくりどうぞー」
そう言いながら、胡の枝は厨房に戻っていった。
「ちっ、なんだ引っかからないじゃないか……」
ユミールが少々問題がありそうなことをつぶやきながら、まずは魚の切り身を手に取る。
「ぬぅ……こ、これは……!」
上質な肉質が口の中でほろっと崩れ、さらに自家製のポン酢がその味を際立たせている……。まさに「絶品」という言葉が適切。
「ふむ、良いもの用意してるようだ…… 次はコレかな。熊肉だと言ってたか……」
その肉を口に入れた瞬間。上品な甘みが口の中に広がる。卵に絡ませて食べて下さい、とのことだったのでそうしてみると甘みが口の中に広がり、卵がマイルドにしている。添えてあるキノコも重ねて食べると、その風味は一気に倍増する。
「熊と聞いたから癖があるのかと思ったが癖は無い物だな……。こんなに上品な味だったとは」
セクハラ出来なかったから文句の一つでも言ってやろうかと思っていたユミールだが、この味では文句の言いようが無い。ぐぬぅ。
「お客様、デザートのレモンパイでございます☆」
最後のデザートを持ってきたのはチェリーとエクリプスの二人。二人とも、見事にコスチュームを着こなしている。
一応確認しておこう。この二人は男である。もう一度言う。男である。
胸には詰め物をしてある程度の大きさを確保、一応スパッツを穿いてスタンバイOKのエクリプス。顔も中性的という事もあり、上手くカモフラージュ出来ている。
「いやぁ、君たちも可愛いねぇ。この店は可愛い子が揃っているんだねぇ」
……ユミールは気づかなかったようである。二人は少々苦笑いを浮かべるものの、悪い気がしないというのも素直な感想である。
「レモンパイですどうぞー」
そういいながら、ユミールの顔を確認しつつ給仕する……。その刹那。
びゅんっ!
「お客様ー? その行為、頂けませんね」
チェリーが星野の顔でユミールを牽制する。自慢のタイキックは寸止めで耐えきったが、ユミールは顔面蒼白になっていた。
「さってと。きゃるーん☆ボンタンアメ! チェリーのライブ、いっくおー!」
流れてくるBGMに、チェリーが横ピース。それに合わせてエクリプスも成り行きに合わせてポーズを決め、ライブが始まる。さっきとのギャップがありすぎるような気がするが、気にしてはいけない。
「そーれ!」
曲に合わせダンスをしている中、チェリーが煙幕を張る。モウモウと白い煙が辺りを覆う。
「待たせたな! 未来を踊ろう!」
次の瞬間、出てきたのは星野とエクリプス男性フォーム。瞬時の早着替えである。ユミールもスタンディングオベーションである。
ブラボー!
「いやぁ、味も良いし、良いパフォーマンスだったよ。良い部下を持ったなベルナールド君」
「あ、ありがとうございます!」
お会計。ユミールはベルナールドに称賛の言葉を述べる。
「コレなら、わたしも出資した甲斐があったと言うものだよ」
そう言いながら、満足した様子で退店していった。
「いやぁ、君たち本当にありがとう!」
初日を乗り切り、一向にしゃぶしゃぶをごちそうするベルナールド。その顔は、誇らしげであった。
「君たちのおかげでなんとか乗り切ることが出来たよ。これで、なんとかなりそうだ」
そうだ、コレはお礼だよ、と全員の前に報酬が置かれる。
その後、このお店が「味の良いしゃぶしゃぶの名店」として話題になるのだが、それはまた別のお話。
依頼結果
作戦掲示板
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[1] ソラ・ソソラ 2017/10/22-00:00
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おはよう、こんにちは、こんばんはだよ! 挨拶や相談はここで、やってねー!
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[11] エクリプス 2017/11/01-08:35
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遅くなったが……。 我輩も給仕を中心に立ち振る舞ってみようと思う。 とりあえず1時間ほど釣りなど食材集めをしたら店に戻ってお店の内部 把握とかやってみよう。
この依頼、成功させよう!
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[10] 朔代胡の枝 2017/10/31-22:13
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確かに、ある程度役割分けないと開店の時にわたわたしそうだよねー。てっきりみんなでやるもんだと思ってたや。
じゃーコノさんは給仕班でいこっかな。で、最初の方は狩りの手伝いに回るって感じで。
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[9] ノーラ・サヴァイヴ 2017/10/31-08:49
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どちらかを選ぶ、じゃないから何とも言えないねー。 そしたら僕は食材収集メインで考えて、給仕はお手伝いできれば、くらいで仮に投げておくね。
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[8] 星野平匡 2017/10/28-00:21
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2時間猶予があるので、最初の1時間は皆で狩りをして、残り1時間で狩り班とホール班に分かれるのはどうでしょうか?
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[7] クロカ 2017/10/27-16:23
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マーセナリーのクロカだぜ。 適当によろしくな、ってとこで……そうだな。 残り時間からして狩りの面子とホールのメンバーは分けた方がいいだろ。混んだ場合テーブル席の位置把握できず料理が出せませんでした、とかクレームの的だからな。
オレ? 勿論狩り希望だ! 料理なんてできんからな!
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[6] 星野平匡 2017/10/26-10:08
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スナイパーの星野です。 よろしくお願いします。
食材は……鹿肉や熊もいいかもしれないですね。でもピラミッドの中だから、サソリや蝙蝠くらいしかいないのかな……。
ホールの仕事は、女装で行うしかないですね。あまり気は進みませんがやってみましょう。 全面鏡張りなので、下心を持ったお客が来るかもしれませんね。 その時は私がお仕置きしましょうか。念のため、ハンドガン的な物も持って行きましょうかね……。 あ、スパッツはもちろん、はきますよ。
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[5] ノーラ・サヴァイヴ 2017/10/26-09:04
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こんにちは、ノーラとアニマのミモザだよ、よろしくねー。
食材、お肉と魚両方あると豪華だねー! 僕は密林でキノコとか野草を探してみようかな。 スキルの生長促進剤で植物なんかは一気に育てられるみたいだし!
ウェイトレスさんの服は僕はいつもと変わらないから気にしないけど、 変なお客さんが来たらどうしよっか…。
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[4] ロベリア 2017/10/26-00:52
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皆さんこんばんは! 魔法少女やってます、ロベリアです!
ピラミッドの中は入るの初めてで、 どんな食材があるのかちょっと見当もつかないです…。 行き当たりばったりで使えそうな食材を探す感じになりそうです!
ミニスカートで店内は全面鏡張り…なんですよね。 うーん…うーん。 どうしよう?
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[3] 朔代胡の枝 2017/10/25-23:18
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はいはーい、ヒューマンでハッカーなコノさんだよー。 知り合いな皆もそうでない皆も、よろしくよろしく。
食材は……しゃぶしゃぶってくらいだし、とりあえず牛は確保したいかも。個人的に。 魚のしゃぶしゃぶも美味しそうだよね! 魚も持ってこ。 あとは何があればいいかなー……。
制服はーそうだねえ、とりあえずスパッツ履かないとね。 コノさん的には別にいいんだけど、履かないと色々まずい気がするんだよ。 というか何でこんな内装と制服にしちゃったんだろね。いやほんとに。
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[2] エクリプス 2017/10/25-08:25
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エクリプスと陽華だ。 よろしく頼む。
えーっと、今回は食材集めとお店の手伝いだよな? とりあえず泉で魚釣りとかして魚のしゃぶしゃぶができたらいいなとか思っている。
ホールの仕事に関しては制服がなぁ。女装に関しては躊躇わないが(何事も経験だからな)……。ただ、フェアリアの我輩が着た所でミニスカにならない気がしてきた……。 ま、下にスパッツをはけばいいだろう!
(世間知らずのおぼっちゃんなトコがあるので突っ込み募集中です)
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