【隠れた真実・歪】取り残された子供達を救え!弥也 GM) 【難易度:普通】




プロローグ


「ナナ、綺麗だ」
 声に出したつもりはなかった。
「アラン、心の声が漏れてるわよ」
 ウェディングドレスに身を包んだナナ・グランデが恥ずかしそうに頬を染めた。
「子供達にも見せたいわ」
 ナナの仕事は幼年学校の教諭だ。
「じゃぁ招待客に子供達の名前も加えておくか」
 アラン・ニコルズの言葉にナナが笑い出す。
「だめ、あの子たちが来たら式がめちゃめちゃになるわ。元気すぎるんだもの」
 特に男の子には手を焼いていた。
「お客様、本当にお似合いですわ」
 式場のスタッフが別のドレスをナナに差し出した。
「わぁ、これも綺麗ね。ねぇ、アラン。アランはどっちが良いと思う?」
「どうぞ、こちらもご試着下さい。さ、新郎様はカーテンの外へ……」
 試着室の外に追い出されたは、試着されるのを待っているドレスの数に思わず時計
を見てしまった。
 ドレス姿のナナが綺麗なのと、待ち時間が長いのは別問題だ。
「エリア、いつ頃ここを出られるか予想時間をたのむ」
 アランのアニマ『エリア』からの返事はない。
(なんだよ、損傷かよ。か、通信障害か?)
「ナナ、のの大丈夫か?」
 ナナのアニマ『のの』に問題がないのならエリア自身の損傷と言うことだ。
「お待たせしました。新郎様どうぞ」
 スタッフの手でカーテンが開かれた。
(え……)
 今度は声が出なかった。
 身体のラインがはっきりと出る細身のデザインのドレス姿のナナの周りを、黒い
フード付きのローブを着込んだスタッフが取り囲んでいた。
「綺麗でしょ、アラン?」
 ドレスが次第に血に染まり始める。
「ナナ! そこから逃げろ! こっちだ!」
 アランはナナの腕を掴もうと手を伸ばし掴んだ。
 細くしなやかなナナの腕をつかんだつもりだった。
 突然視界が真っ暗になりナナの姿が見えなくなった。
(これは……)
 掴んだ腕は、ナナの腕ではない力強い腕の感触。
「おい! こいつ生きてるぞ!」
 男の声だ。
(だれだ。ナナはどこへ。ナナ!!)


「ナナ!」
 誰かが大きな声でナナの名を叫んだ。
「気が付いたか」
 アランの視界に広がったのはナナではなく、知らない男の大きな背中だった。
 そして、叫んだのはアラン自身だったようだ。
 しかも、男に背負われている。
「大丈夫だ、もうすぐ手当してもらえるかなら」
(そうだ、俺はさっきまでアビスメシアの連中と戦ってたんだった……)
 そして傷付き倒れていたところを、この男に助けられたのだろう。
(そうか、さっきのは夢か。ならナナは無事だ)
 安堵したその瞬間、アランの意識は再び暗闇へと落ちていった。


 行きかう人の気配、足音、声にアランがいらつく。
(ちょっと静かにしろよ。俺は眠いんだよ)
「うるせぇなぁ……」
 目を開けると、慌ただしく働く医師や看護師の姿が目に入った。
「ごめんなさいね。野戦病院化しちゃってて……」
 看護師が申し訳なさそうにアランの顔を見つめた。
「あ、いや、うん、大丈夫」
(またナナにしかられるな)
 ナナとの喧嘩の原因は、いつもアランの余計な一言なのだ。
「ナナ!」
 アランは寝かされていたベッドから飛び起きた。
「ナナがどうしてるか、わかるか」
 エリアはナナのアニマののに接触ははかったが、居場所は判明したが、ののからの
応答はない。
 嫌な夢をみたせいか、アランは胸騒ぎがした。
「行くぞ」
 身体が思うように動かない。かと言って、ここでじっとなんてしていられない。
 アランは病院を抜け出した。


 病院には次々と怪我人が運び込まれ、病院の外へ出るには人の波をかき分けていか
なければならず、アランの身体は人とぶつかる度に悲鳴をあげた。
(ナナ、ナナ……)
 アランの頭の中は、ナナの事でいっぱいだった。
「ナナの居場所を教えてくれ」
 エリアが示したのは、ナナの職場である幼年学校だった。

 どんっ!

 病院の建物を一歩出たところで、突然アランの足元で小さな男の子が転んだ。
「大丈夫か」
 慌てて抱き起すと、男の子の胸にはかわいらしい見覚えのある名札が目に入った。
 新学期が始まる前、ナナが楽しそうに名札を作っていた姿が脳裏に蘇った。
 その名札によく似ている、いや、間違いない。
「グレン……くん……?」
「うん」
 グレンの顔は涙を土埃でひどく汚れていた。
「その名札、ナナ先生が作った?」
 アランの胸が不気味に鼓動を早めた。
「うん」
 グレンが頷く。
「ナナ先生は?」
 グレンは頭を左右に大きくふった。
「そっか、ありがとう」
 やはり行くしかない。
 アランは、グレンの為に空いている椅子を探して座らせた。
 もしかしたら、こうしている間にもナナの身に何か起きているかもしれない。
 しかし、もしグレンを放置していけば、ナナに絶対しかられる。
「あの子、お願いします」
 通りかかった看護師に声をかけ病院を後にした。


 ナナの勤める幼稚園は地域の指定避難所だ。
 そこからグレンが逃げて来たと言うことは、やはり何かが起きている。
「エリア、ナナや幼稚園の事で情報はないか」
「ナナの情報は相変わらずなにも。ただ幼稚園から逃げて来た少年の証言で、幼稚園
で逃げ遅れが多数」
 ナナとの婚約が決まってから、何だか不機嫌だったエリアが、仕事モードで答え
た事自体が、アランにとっての緊迫度を上げた。


 幼稚園の周辺には数台のエスバイロが、様子を伺っていた。
(あ……)
 一瞬、ほんの一瞬窓からナナの顔が見えた気がした。
(フード、被ってる……?)
 一台のエスバイロが近づてきた。
「今人が見えなかったか?」
 乗っていたのは屈強な男だった。
「え、ああ……」
(ナナと決まったわけじゃないし)
「行こう!」
 男が幼稚園に向かってエスバイロを降下させ、アランもその後を追った。
 刹那
「なに!?」
 男のエスバイロが弾丸を受けてバランスを崩した。
 アランの視線は、幼稚園の窓から撃ったフードを被ったアビスメシアの教団員を捉
えた。
「ナナ、どうして……」
 様子を伺っていたエスバイロが一斉に集まった。


解説


 教団員は幼稚園で一番広い体操室に、幼稚園児及びその職員を集めている様子で
す。
 それぞれ幼稚園の出入口から体操室を目指してください。

・幼稚園正面入り口
 体育室には一番遠い為、教団員の姿は見当たりませんが、既にアビスメシアに支配
されていると知らない地域住民が中に入れないと集まって騒いでいます。先ずは、こ
の地域住民を安全に幼稚園から遠ざける必要があります。ただ、先ほどの襲撃の音で
近くに居た教団員が向かっていると言う報告もあります。

・幼稚園遊具室
 園庭側から遊具室を通って体操室を目指す事ができますが、大型の遊具で園舎に続
く扉がふさがれています。教団員の仕業でしょうか。

・幼稚園裏口
 普段は職員専用の出入り口です。扉の向こうは職員室そして体操室と続きます。一
番体操室には近いですが、職員室には教団員と思しき者達が武器を手に多数います。

 そして何故ナナはフードを被り、エスバイロを狙撃したのか……


ゲームマスターより


 初めまして。
 新人マスターの弥也です。
 人の単純で美しくそして汚れたむき出しの感情が大好きです(なにそれw)
 初めての参加でワクワクしています。
 
 よろしくお願いします!



【隠れた真実・歪】取り残された子供達を救え! エピソード情報
担当 弥也 GM 相談期間 8 日
ジャンル --- タイプ EX 出発日 2017/7/11
難易度 普通 報酬 通常 公開日 2017/7/21

 有馬 芽依  ( 星玲奈
 ヒューマン | ハッカー | 16 歳 | 女性 
二手に分かれて突入する作戦に全面的に協力。
【正面】
一般人対策とアビスメシア増援警戒を主任務とする予定。

<一般人対策>
一般人を落ち着かせ、退散してもらう…もしくは、アビスメシアから守る。
「ここはわたしたちが何とかします。テロリストの増援が来るかもしれません。危険なので退避してください。」
とか言ったら、ある程度は退散してくれるかな?
素直に言うこと聞いてほしいんだけど、残ってる人には「死んでも自己責任だし、流れ弾に当たったりしても文句言わないでよね。」ぐらいは言っておこうかしら。
増援来たときに残ってる人がいたら、その人達が教団員に撃たれないようにかばえる位置取りをしながら、小声で「ほら、今のうちに早く逃げて」って言うつもりだけどね。

<アビスメシア増援警戒>
油断禁物なのでずっと警戒モード。
星玲奈にはわたしの死角をカバーしてもらう予定。
敵に気づいたら近くにいる仲間に伝達。
 イツカ・クロフォード  ( レ・フィ
 エルフ | 魔法少女 | 14 歳 | 男性 
今回は【裏口】班の人達と行動を共にします。戦闘ではまず、教団員に対しては後方からの攻撃で支援。ナナさんが出てきて、何が動きに変化が見られたらスキルで陽動を実行します。成功後は、園児達に向けてパフォーマンスで元気付けてあげたいと思います。
 彩月  ( 壱華
 デモニック | マッドドクター | 21 歳 | 男性 
子供が巻き込まれる依頼、多いなぁ。
まぁでも、俺達が助ければ問題ないね!

俺は正面からウェイさん達と向かうから…まずは説得、かな。
皆さん、ここは危険だよ。
もうここはアビスメシアに支配されていて、騒ぎを聞きつけた教団員が来るかもしれないんだ。
だから…一刻も早くここから離れて!
万が一教団員が来ても皆さんを守る為に俺達は戦うよ。だから…皆さんも逃げる事に集中して欲しい。
もし子供達の事が気になるなら、俺達の仲間が別ルートで向かってるから!
必ず…皆さんを助けるよ!

地域住民を説得し安全に遠ざける事が出来たなら(また教団員を処理出来次第)
急いで仲間がいるであろう体操室へ向かおう。
遅くなってごめん!誰か怪我してればファストヒーリングで回復するよ!
さ、ここからが俺達の本気…ってね。

ナナさんは人質でも取られたのかな?
もしそうなら、その件も助けてあげたいけど…。
まずは話を聞こう!
 アリスイデア・クロックラビット  ( ヤマネ
 ケモモ | マーセナリー | 18 歳 | 女性 
【正面】
武器は携えながら、外見と出身地で…騙させていただき、ます
あんまりこういうの得意じゃないけれど
正面の一般市民の方に
「アカディミア出身の学生、です。…あの、微力ながら……
 問題解決に力を尽くさせていただいております」
ぺこぺこ頭を下げて
「場が、えっと…もう少し衛生的になるまで……こちら、の、先生方共々
 おそうじ…させていただきますので……」
アビスメシアの一層をしっかり、しないと……
裏口の皆が気になりますが…
見張りに立たせていたアニマのヤマネからアビスメシアの来訪を聞いたら、本領発揮、でも、あります
そこらへんの遊具をへし折った鉄の棒を振り上げて、素早く接近しアビスメシアの方々の腹部を狙って殴っていきます。
【ウェイ】さんに引き寄せられてくれるなら、狙うのは…楽です。
【デュエルブラッディ】を使用するので、五月蠅いかも、しれません。私の方が、怖いかも…ですね……?
 ニンバス  ( ガスト
 ドワーフ | ハッカー | 18 歳 | 女性 
裏口からの突入、味方を誘導しつつ教団員との戦闘にはいったらスキルによる妨害と、全体的な火力をみて攻撃力不足ならマジックミサイルによる攻撃も行う。
ナナと遭遇した場合、敵対するフリをして他の敵を処理する 本人的にはワケあってそういう行動をとった、と思っている(エスバイロが近寄る事で教団を刺激しないように等)
説得ができるなら説得する
 ナーシャ・べスべレム  ( レリー
 ケモモ | スナイパー | 15 歳 | 女性 
お兄さんお姉さんの心情なんて知ったこっちゃないですけど凄く面白そうですねぇ…?
正面入り口に近づいてるのがいるみたいなんで現れたら教団員の頭をスナイパーライフルでぶち抜いてやりますよぉ?
で、あとはあっちからも撃って来やがるでしょうし他のメンツと一緒に行って現れたのは二丁拳銃でハチの巣にしてあげますよぉ…
「的に当てるなんざ簡単ですしねぇ…?」
「…あ、わたしを子ども扱いしたり下に見た時点でも撃ちますからね?」
 ウェイ・ゴーイング  ( マイ
 ケモモ | ガーディアン | 25 歳 | 男性 
【正面】にて協調行動。他メンバーが市民を説得しているのを見守り敵や攻撃が来たらわが身で守る。説得に従わない市民がいたら脅しつつ実力行使で追い払う。敵に、敵対者だと勘付かれたら大声で注意を引き続ける。
裏口組みが時間がかかったり、手間取っていたら正面仲間を応援にいくよう頼み込む。敵が来ないようだったら自身もいく。
敵には片手盾と片手剣、クラススキルを使いつつ対処。戦闘時は一番に突っ込み、乱戦に持ち込む。
子どもたちの救出や現場からの離脱等あったら殿を務める。
 メルフリート・グラストシェイド  ( クー・コール・ロビン
 ヒューマン | スパイ | 14 歳 | 男性 
教団の奴らは碌な事をしないな。
子供を狙ったか、或いは人質に何かを…
いずれにせよ決め手となる情報に欠ける。少し探りを入れてからでも遅くはあるまい。

正面側の誘導に合わせ、注意がそちらに向いた隙に音を立てぬよう(サイレントムーブ)裏口より潜入。
他の潜入班はしばらく待機していてもらおう。
職員室の敵人員が少なければ一気に攻めてもいいが…まずは数を確認する。
会話をしているようならば有用な言葉が出てこないか聞き耳を立てるのもいい。

そのまま体操室に潜入できるならば園児達の無事を確認したい。
見張りがいるならば速やかに戦力を排除。
職員から状況を聞き出す。

その後、或いは体操室への潜入が難しい場合には職員室内にて裏口と離れた場所で物音を立て
敵の注意を惹くと同時に待機している者への突入の合図とする。
職員室の安全を確保次第、裏口より囚われている者たちの脱出を試みるものとする。

参加者一覧

 有馬 芽依  ( 星玲奈
 ヒューマン | ハッカー | 16 歳 | 女性 
 イツカ・クロフォード  ( レ・フィ
 エルフ | 魔法少女 | 14 歳 | 男性 
 彩月  ( 壱華
 デモニック | マッドドクター | 21 歳 | 男性 
 アリスイデア・クロックラビット  ( ヤマネ
 ケモモ | マーセナリー | 18 歳 | 女性 
 ニンバス  ( ガスト
 ドワーフ | ハッカー | 18 歳 | 女性 
 ナーシャ・べスべレム  ( レリー
 ケモモ | スナイパー | 15 歳 | 女性 
 ウェイ・ゴーイング  ( マイ
 ケモモ | ガーディアン | 25 歳 | 男性 
 メルフリート・グラストシェイド  ( クー・コール・ロビン
 ヒューマン | スパイ | 14 歳 | 男性 


リザルト


●エスバイロ墜落
 よろめいたエスバイロから搭乗者の男がバランスを崩し転落した。
 一斉に男の元へ集まった。
「俺は大丈夫だから、早く救助を……」
 そう言って男は意識を失った。それほど高さはなかったが、腰から落ちたのが良くなかったようだ。
 アランの混乱は極限に達した。
(ナナがこんな事をっ!)
「おい! 死ぬな! つっ……!」
 恋人を殺害犯にしたくない一心で思わず男の肩を掴んだが、アランの全身を痛みが貫きその場で意識を失った。

●体操室
(どうしてこんな事になったんだろう……)
 ナナは、両手を見つめた。この手が……。当てるつもりなどなかったが、リーダーからは褒められた。
「せんせ?」
 女児がナナの顔を覗き込んだ。
 その顔は恐怖で強張っている。当たり前だ。安全な筈の園内に武器を手にし黒いフードを被った大人たちが押しかけてきたのだ。
 そうなる事を知っていたナナですら、恐怖心を拭えない。
 しかしまだアニマを持たない小さな子供達が、今頼りにできるのはナナだけなのだ。
「心配しなくても大丈夫よ」
 そう言って女児の手を握った。
(何が大丈夫よ……)
 子供達を、こんな状況に追い込んだのはナナ自信なのだ。
 体操室には予定通りやって来た教団員が10名武器を持って子供達を見張っている。
(あのエスバイロ、アランでなければ良いんだけど。子供達を助けないと……。爆弾どこに仕掛けたんだろ……。助けてアラン……)
 色んな思いが一気に吹き出し、思わず溢れた涙を子供達に見られないように、黒いフードを目深に被った。

●正面玄関前
 この園が避難所であることは相当周知されているのか、次々と避難民が集まっている。
(それにしても多すぎる。今襲撃を受けたら大変な事になるわ)
 『有馬 芽依』は、向かってくるであろう教団員の気配を探した。
「お姉ちゃん! エスバイロが数台こっちに向かってる」
 芽衣のアニマ『星玲奈』が園に向かう教団員を捉えた。
「教団員が複数こちらへ向かっています」
 芽衣から報告を受けた『ナーシャ・べスべレム』がスナイパーライフルに装填をした。
「私にまかせて下さい」
 ナーシャが言い終わらないうちに、黒いローブ姿の教団員の乗ったエスバイロが一台姿を現した。
 刹那。
 教団員はエスバイロから転落し、搭乗者を失ったエスバイロが緊急停止した。
「さすがですね」
 芽衣の言葉にナーシャは少々得意げな顔になった。
「的に当てるなんざ簡単ですしねぇ…?」
 その様子を目の当たりにした避難民が建物の中へ避難しようと我先にと園に向かって走り出した。
 中には転倒する者もいる。
 正面玄関から少し離れた場所では『彩月』が手早く怪我人の応急処置をしている。その中には意識を取り戻したアランの姿もあるが、到底戦える様子ではない。

 玄関前は次々押し寄せる避難民でごったがえし、益々混乱していた。
「ねぇ、どうして中に入れてくれないの?」
 小さな子供を抱いた母親が『アリスイデア・クロックラビット』に迫った。 
「アカディミア出身の学生、です。あの、微力ながら……問題解決に力を尽くさせていただいております」
 アリスイデアが、詰め寄る避難民にペコペコと頭を下げるが、耳を貸さない。
「問題って何!」
「ここは避難所よ! どうして入れないの!」
 その時、辺りを警戒していた『ウェイ・ゴーイング』の大きな声が響いた。
「来たぞ!」
 叫ぶと同時にエスバイロに飛び乗り、黒い集団に向かって行った。
 飛び去るウェイを横目に彩月がアリスイデアに詰め寄る避難民の視線を集めるため両手を上げた。
「もうここはアビスメシアに支配されていて、騒ぎを聞きつけた教団員が来るかもしれないんだ。だから……一刻も早くここから離れて!」
 避難民が一瞬にして静まり返った。
「場が、えっと……もう少し衛生的になるまで……こちら、の、先生方共々おそうじ……させていただきますので……」
 アリスイデアの言葉をきっかけに避難民が慌てて玄関前から離れ始めた。
「万が一教団員が来ても皆さんを守る為に俺達は戦うよ。だから……皆さんも逃げる事に集中して欲しい」
 彩名が諭す様に言うと、どうすべきなのか迷っていた避難民が園を後にし始めた。
「あの……、ここに居てはいけませんか?」
 若い女の避難民が芽衣にすがった。
「ここはわたしたちが何とかします。テロリストの増援が来るかもしれません。危険なので退避してください」
「でも……」
 それでも女は引き下がらない。
「チッ、面倒くせー」
 入力端末を駆使し、星玲奈と共に園に向かうエスバイロの情報を集めていた芽衣は、作業を邪魔され思わず本心が口から小さくこぼれた。
「お姉ちゃん、この人、中に居る子のお母さんみたいだよ」
 星玲奈は一瞬にして女の素性を調べてしまった。
「え? お母さん!?」
 女がこくこくと首を縦に振った。
 怪我人の応急処置を終えた彩月が、女に歩み寄る。
「ここは危険だよ。もし子供達の事が気になるなら、俺達の仲間が別ルートで向かってるから! 必ず……皆さんを助けるよ!」
 まだ納得できない様子の女だったが、ウェイの叫び声に身体を固くした。
「おいらはウェイ! ケモモガーディアンのウェイ・ゴーイングだあ!! てめぇら卑怯だぞ! 正面からかかってこーい腰抜ー!!」
 エスバイロから撃ち落とされた教団員数人が、その母親を標的にしたのだ。
 教団員の注意が母親からウェイに移ったその瞬間、すでに教団員達はウェイの一撃を喰らってい地に伏していた。
「死んでも自己責任だし、流れ弾に当たったりしても文句言わないでよね」
 芽衣の言葉に驚いた母親が大きく目を見開いた。
「ほら、今のうちに早く逃げて」
 芽衣の囁きに、母親は弾かれた様に逃げ出した。

 彩月、アリスイデア、ナーシャの三人が建物内に進入し、ウェイと芽衣は正面玄関前で向かってくる教団員を迎え討つ。
「何か大きな変化や情報があれば必ず伝えます」
 芽衣の言葉に、中へと向かう三人が頷いた。

 コメ粒ほどだった黒い集団が、じわじわと大きくなり一目でそれと判断できるまで近づいた時、ウェイのエスバイロが唸りを上げた。
 同時に芽衣も端末を操作し敵の防御力を下げ、敵エスバイロの動きを制御し始めた。
  
●トイレ
 正面玄関から真っ直ぐに進むと、トイレだ。
 彩月、アリスイデア、ナーシャの三人は、先ずそこの個室に身屈めて中の様子を伺う。
 建物の中は、子供達へ目を行き届きやすくするためか、非常に開放的に作られており、内部の敵の目を盗んでこれ以上移動するのはスパイしか不可能だった。
 玄関外からはウェイが大暴れしてる音が聞こえている。
「さて、どうしましょうか」
 彩月が真面目な声でささやくが、アリスイデアとナーシャからは笑い声が漏れている。
「なんですか? こんな時に笑うなんて」
「だって……」
 ナーシャが立ち上がると、トイレの個室から頭を出した。
 いや、頭だけではない、上半身が丸見えだ。
 彩月とアリスイデアも立ち上がった。
 二人とも丸見えである。
 三人は、子供用の小さな個室に身を隠したつもりだったが、隠れられてはいなかったのだ。
 子供用の正面には、見覚えのある大きな個室が一つあった。扉は中から鍵がかかっているようだ。
 慌てて三人は再び小さな個室に身をかがめた。
 息を凝らしていると、聞こえてくる戦闘音に交じって、すすり泣くような声が聞こえてきた。
「お掃除開始だよ!」
 アリスイデアのアニマ『ヤマネ』が告げた。
 びくっと体を震わせたアリスイデアが、再びすくっと立ち上がった。
「おそうじです……いたくします……怖くします……でも逃がしま、せん……!」
 そして鍵のかかった大人用個室の扉を、その怪力で音を立てることもなく開けてしまった。
 そこには、黒いローブ姿の女が居た。
 瞬間、ナーシャが二丁拳銃を構えるも、相手が何も武器を持っていない事に気付いた。
「お願い、殺さないで……。教団員じゃないの……」
 黒いフードを取った顔は、涙でぐしゃぐしゃになっていた。
「どう言う事……」
 ナーシャが銃を下した。

●職員室裏口
 裏口に最初に到着したのはスパイの『メルフリート・グラストシェイド』だ。
 窓さえ気を付ければ、建物内から存在に気付かれることはない。
 そっと、裏口の扉から様子を伺うも、中からは物音ひとつしない。
 『ニンバス』が、その後ろで園内の制御システムに進入しようとしている。
 さらに、その後ろからニンバスの端末操作を見ている『イツカ・クロフォード』が、おや、っと表情を変えた。
 セルフリートも、ニンバスの端末を覗き込んだ。
 正面玄関で避難民の誘導と、負傷者の手当にあたっている彩月からのメッセージだ。
 ――先ほどエスバイロを打った教団員らしき者は、ここに居る負傷者アランの婚約者ナナである。なお、ナナはこの園の教諭――
 全員が困惑した表情になった。
(園の教諭が、子供を人質に……?)
 その時、ニンバスが制御システムへの侵入に成功。少々時間がかかったのは、どうやら敵側にもハッカーがいるらしく、気付かれないように進入したためだった。
 職員室の防犯カメラの映像には、部屋の中所狭しと座っている黒いフードを被った教団員の姿だった。中には椅子がないのか、床に直接うずくまっている者の姿も確認できた。
 武器を持っている者は……。
 ニンバスのアニマ『ガスト』が瞬時に映像の解析を行った。
「一人だよ」
 ガストの報告を受けたニンバスが、末端に表示して見せた。
 ――武器を持っているのは一人だけ――
(だったら、大丈夫)
 メルフリートが、ニンバスに目配せをした。
 扉をあける合図だ。

●職員室
 静かに職員室へとトイレからフードを被った女入って来た。
「戻ったか、余計な事はしてないだろうな」
 武器を持った教団員が、女に武器を突き付ける。
 項垂れていて表情は見えないが、女は頭を縦に振った。

●職員室裏口
 メルフリートの合図で、ニンバスが裏口の扉を音もなく開けて見せた。
 制御システムは今や完全にニンバスの手の中だ。
 職員室の中の誰一人扉が開いた事に気付いていない。
「裏口からは、やはり地味ですね」
 イツカのアニマ『レ・フィ』が愚痴る。
「正義に地味も派手もありません。それに本番はこれからですよ」
 イツカがレ・フィをたしなめた。
 ニンバスの合図で、メルフリートが職員室に滑り込んだ。
(おかしい……)
 フードを被った教団員のほとんどが、下を向き気力と言うものが感じられない。今まで戦ったことのある教団員とは対照的だった。
 先ずは武器を持った教団員を倒そう。
 メルフリートは計画通りに対象の敵へと進もうとしたとき、隣で静かにうずくまっていた教団員に腕を掴まれた。
「!」
 驚いたメルフリートは、攻撃態勢に入ろうとしたが、フードの下に隠れていた顔に見覚えがあった。
 腕をつかんだのはナーシャだった。
 トイレで泣いていた母親とナーシャは入れ替わってナーシャが職員室に入っていたのだ。
 ナーシャは、自分の被っていた黒いフードをメルフリートに被せ、突然立ち上がった。
「ちょっと、そこの人」
「あ?」
 教団員がナーシャの方を見たのと、メルフリートが音もなく教団員の背後に回ったのとどちらが早かったのか、若しくは同時だったのか。
 武器を持った教団員がメルフリートの一撃で崩れ落ちると、裏口からニンバスとイツカが駆け込んだ。
「もう大丈夫ですよ」
 ナーシャがそう言うと、職員室にいた教団員全員が黒ローブを脱ぎ捨てた。
 そこに居たのは教団員ではなく、園児を迎えに来た母親たちだった。黒いローブは教団員に強制されたのだと言う。
「教団の奴らは碌な事をしないな」
 メルフリートがつぶやいた。
 廊下側の扉が静かに開いて、彩月とアリスイデアが入って来た。
「うまくいきました」
 ナーシャが二人にささやいた。
「お子さんたちは私たちが必ず無事に救出しますから、お母さん方もここから無事に脱出してください」
 彩月がそう言うと、母親たちは物音ひとつ立てずに、立ち上がった。
 その間にもニンバスとイツカは職員室から体操室へとつながる扉を見張り、ナーシャがいつでも戦闘開始できるように二丁拳銃を構えていた。
(現れたのは、二丁拳銃でハチの巣にしてあげますよぉ…)
 玄関前に芽衣を残し建物内に入っていたウェイが母親達の殿を務める。
 母親達は我が子の居る体操室を心配そうに振り返りながら、アリスイデアに誘導され正面玄関から建物の外へと向かった。
 最後の母親が、思い切ったようにナーシャに駆け寄った。
「あのね、お嬢さん……」
 その瞬間、ナーシャが銃口を母親に向けた。
「……あ、わたしを子ども扱いしたり下に見た時点でも撃ちますからね?」
「ご、ごめんなさい。実は伝えたい事があって……」
 そこにいた全員が母親に注目した。
「私達にローブを強制したのはナナ先生なの……」
 それだけ言って母親は、職員室を後にした。

●救出
 体操室からは、興奮した教団員の話声が聞こえていた。
「……、これだけの人数を救えば、私達も確実に救っていただけますね!」
 子供のすすり泣く声が聞こえると、
「怖がらなくて大丈夫よ、お母さんと一緒に救われましょうね」
 防犯カメラの映像では、10名ほどの教団員が何の警戒もせず興奮している姿が見て取れた。
 子供たちは体操室の隅に集まって座り、そこに教団員が一人力なく座っていた。
「ねぇ、ナナ。あなたもそう思うでしょ」
 ナナと呼ばれた教団員が顔を上げた。
「あら、ナナ! 泣いてるの! 感動してるのね!」
 他の教団員の興奮は益々高まり、恐怖を感じたのか子供達がナナの側へにじり寄った。中にはナナの着ている黒いローブを握りしめている子供もいる。

 ガシャン!

 遊具室で大きな音がした。
 体操室にいた教団員達が一斉に音の方を見た瞬間、職員室と体操室を繋ぐ扉が開きメルフリートが滑り込み、近くにあった小さな運動用具の影に隠れた。

「もう爆発したの?」
「いや、こんな規模じゃない」
 教団員達数名は不思議そうに廊下へと出た瞬間、廊下にはまだ逃げ切れていない母親と殿を務めるウェイの姿があった。
「あ! 逃げる!」
 一人がパニックになった母親に襲い掛かろうとした瞬間、職員室から廊下に飛び出したイツカが現れた。
「そうはいかないです」
 そう言うと、軽やかに魔法を繰り出し教団員の足元を後ろから払った。
 すてーんっ! ゴンッ!
 教団員は見事に足を払われそのまま頭部を強打したのか鈍い音と共に床へ伸びた。
 音をさせないようにゆっくりと靴を履き替えていた母親達が、この騒動で慌ててそのまま外へと飛び出した。
 最後の母親を外へと逃がしたウェイが、再び建物内へと戻った。
 武器を持って廊下に飛び出した教団員は、現れたウェイの大きさに一瞬ひるんだ。
 その隙に、職員室で様子を伺っていたメルフリートが廊下へとつながる扉に鍵をかけた。
 これで、体操室の教団員はナナを含めた5人に減った。
 廊下で教団員を伸したイツカは、職員室から体操室へと移動し怯える子供達の前に颯爽と現れた。
「こんにちは、みんな! もう、こわくないからね!」 
 突然目の前に現れた男の娘の魔法少女の姿に、子供達と教団員は唖然とイツカを見つめた。
 子供たちは、興味を示し表情から少しづつ恐怖が消え始めたが、教団員は一斉に武器を構えた。
「あなた、だれ……教団員……?」
 ナナがポーズを決めて見せるイツカを見上げ、ナーシャが教団員に向かって二丁拳銃をぶっぱなし、メルフリートがしなやかな身のこなしで子供達の元へ移動した全てが一瞬で起こった。
 次の瞬間、メルフリートはナナの身を拘束し、イツカはその決めポーズで子供達から大喝采を受け、教団員はナーシャの銃弾に倒れていた。
 イツカのパフォーマンスに目を奪われていた子供たちは、教団員の無残な様子を見てはおらず、ニンバスがガストと協力し瞬時に教団員の亡骸を園庭へと移動させた。
 ニンバスは仕事を終えると、ナナの目を捉え言った。
「あんたそういう事する人じゃないでしょ、たぶん」
 ナナもニンバスの目をしっかりと捉えた。
「子供達をお願いします」
 ナナがメルフリートとイツカに子供達を託した。
「みんなは、先生のお部屋から外に出て下さい。外には、お母さんが待っています」
 メルフリートに拘束されたまま、ナナが子供たちに言った。
「せんせいは?」
 近くにいた女の子がナナにしがみついた。
 拘束されているナナには、抱きしめてあげる事すらできない。
「先生も、直ぐに行くから、先に行って。駆け足で!!」
 子供達がすくっと立ち上がり、駆け足で職員室の裏口から外に出た。

●職員室裏口
 建物の外では、裏口で待っていた母親達が我が子を見つけると抱きかかえ、芽衣と星玲奈が用意したエスバイロに乗り次々と飛び去った。
 ただ、女の子が一人、母親の姿が見えないのかポツンと立ち尽くしていた。
 芽衣はにっこりと女の子に微笑みかけた。
「どうしたの? お母さん、いないの?」
 女の子は不安そうに、こくんと頷いた。
「お姉ちゃん、さっき玄関で追い払われた母親の子供かもしれないです。まだアニマが適応されていない年齢なので確定は出来ません」
 星玲奈が芽衣に語り掛けた。
「あー……」
 子供が解放されたと聞けば、間違いなく迎えに来るだろう。
 芽衣は、女の子の顔を覗き込んだ。
「じゃぁ、お姉ちゃんとここでお母さんが来るのを待ってよう」
 そう言って女の子の手を握った。
 小さな手は、芽衣の手をぎゅっと握り返した。
「良いなぁ。私もお姉ちゃんと手を繋ぎたい」
 星玲奈がヤキモチを焼いた。

●戦闘
 遊具室で音を立てたのはアランだった。
 ナナに会いたいが為、大きな遊戯で塞がれた扉を開けるために、遊具を破壊した音だ。
 しかし、アランの体力はそれ以上続かず、様子を見に来た教団員に捉えられてしまった。
 アランを連れた4人の教団員が廊下に姿を現した。
 ウェイが襲い掛かろうとしたが、
「勇者さんたち、この人の頭が吹き飛んでも良いんですか」
 長身の教団員がアランの頭に武器を押し付けた。
(こいつがリーダー……)
 ウェイが足を止めた。
「さぁ、体操室のドアを開けて下さい」
 ニンバスが操作しドアの鍵が開いた。
「有能なハッカーが仲間の様ですね」
 教団員がニヤリと笑った。
「アラン!!!」
 ぐったりとしたまま教団員に連れてこられたアランを見たナナが絶叫した。
「大丈夫だよナナ。彼はまだ生きている。一緒に死ねば一緒に救われる」
 そう言ってナナに手を差し伸べた。
「さぁ、今度はナナの拘束を解いてあげてくださいね」
 拘束を解かれたナナは、縋りつくようにアランの元へと行った。
 ナーシャは何とか狙撃の機会をうかがうが、アランに突き付けられた武器が躊躇させた。
 彩月は職員室でアランの容体をうかがっていた。
「アランが危ない」
 ニンバスにそっと耳打ちした。
「さぁ、あともう少し、もう少しでみんな救われるのだ。子供達が逃げてしまったのは仕方がないけれど、ここに居る勇者の皆さんと救われるのなら功績も大きいでしょう!」
 リーダーらしき教団員が叫んだ。
 ナナが、今にも命を落としそうなアランを抱きしめ泣き崩れた瞬間、教団員の武器がアランから離れた。
 一瞬の出来事だった。
 体操室の隅に子供が置き忘れた、喋るお人形がニンバスの端末操作で突然しゃべりだした。
 教団員が気を取られたその隙に、彩月はアランをナナから引き離し職員室へ、メルフリートは素早くアランに向けられていた武器を強奪、ナーシャは二丁拳銃を教団員に向けた。
 
 銃口を向けられた教団員はじりじりと廊下にまで追い詰められた。
「そんな事をしたって、もう時間はないんだ」
 リーダーが顔を引きつらせた。
「くそぉ!」
 一人の教団員が廊下で待ち構えていたウェイにとびかかったのをきっかけに乱戦が始まった。

 職員室では彩月がファストヒーリングでアランの体力を回復させたが、アラン容体は深刻だった。
「きゃるーん☆テンペスト!」
 廊下からはイツカの声が聞こえてくる。
 ナーシャに銃口を向けられたナナが、職員室にやって来た。
「アランは?」
 誰も返事をしなかった。
「アラン! アラン!」
 ナナの叫び声に、アランの表情が動いた。
「生きてる! 生きてるのね! ごめんなさい、私、本当にごめんなさい」
 ナナが喜びの声をあげた。

 アリスイデアは自ら攻撃を仕掛ける事はない為、教団員の攻撃をかわしながら、じわじわと廊下の隅に追い詰められていた。
 がしゃん!
 教団員の繰り出した攻撃が、飾られていた子供の創作物を破壊した。
 その瞬間アリスイデアの表情は一変し、ガラスの割れた窓枠を易々と引きちぎりそのまま教団員の頭上に振り上げた。
「いつもながらの過剰防衛だよ」
 ヤマネがそう言ったが、既に教団員の頭上に振り下ろされた後だった。
 残った教団員は一人、リーダーだけだ。
 ウェイの「シールドアタック」でよろめいた瞬間、アリスイデアの「デュュエルブラッディ」がさく裂し轟音が轟く。
「しまった!」
 ナーシャが叫ぶのと、リーダーが崩れ落ちながら攻撃を放ったのが同時だった。
 その攻撃は、アランを守るかのように覆いかぶさっているナナの頭に向かっていた。
 やられた!
 誰もがそう思った時、突然ナナの目の前にぐにゃりと空間に歪が生じ、リーダーの放った攻撃はその中へと吸い込まれて行った。
 同時にリーダーは絶命した。
 建物内教団員殲滅を確認したウェイが裏口から飛び出した。
(まだ外に隠れているかもしれない)
 しかし、そこに居たのは女の子と芽衣だけだった。
「うわぁぁぁぁぁん!」
 突然飛び出してきた大きな身体のウェイを見た女の子が泣き出してしまった。
「参ったな……」
 ウェイがちょっと悲し気に頭をかいた。

「爆弾があるよ」
 教団員側のハッカーはリーダーだったのか、隠されていた爆弾の存在をガストが発見した。
 最初に体操室でメルフリートが身を隠した小さな運動具に、爆弾は仕掛けられていた。
 時限装置はニンバスによってあっさりと解除され救助は成功となった。

●その後
 突然あらわれた歪は暫くそこに留まっていたが、じわじわと小さくなり消滅した。
 その頃には、人々は日常を取り戻した。

『アビスメシア教団員幼稚園立てこもり事件報告書』
 ナナは随分むかしにアビスメシア教団と知らずに集会に参加してしまい教団員に。
 当日まで、活動履歴なし。
 混乱に乗じて以前から計画されていた幼稚園乗っ取り計画に、無理やり参加。
 エスバイロへの狙撃を含む全ての事は、リーダー教団員に強制されての事で処罰対象にはならず。
 アランは順調に回復。挙式は予定通り行われる。
 なお披露宴には園児と事件解決に貢献した者が招待され、イツカ・クロフォードがパフォーマンスをする予定である。



依頼結果

成功


依頼相談掲示板

【隠れた真実・歪】取り残された子供達を救え! 依頼相談掲示板 ( 39 )
[ 39 ] アリスイデア・クロックラビット  ケモモ / マーセナリー  2017-07-13 23:06:10

でも、それなくても以外と一緒に行動してることある人いるので、だいじょうぶ、かもです
死ぬことはないと…しんじて、ます

締め切り、おわりました、ね
……皆さんのご無事を祈り、ます!  
 

[ 38 ] アリスイデア・クロックラビット  ケモモ / マーセナリー  2017-07-13 23:05:04

単独行動…!?
えっと、【】をつければ同じ行動が出来るはず……
間に合いません…でしたか……すみません…  
 

[ 37 ] ニンバス  ドワーフ / ハッカー  2017-07-13 21:27:24

あちゃー 単独行動になっちゃったな・・・
で、でもなんとかなるかな?たぶん  
 

[ 36 ] アリスイデア・クロックラビット  ケモモ / マーセナリー  2017-07-12 19:45:18

すみません、早めに話し合いに…参加しているべきでした……
えっあっあのっほら、……威嚇できるの大事、です!

とにかく頑張り、ましょう…なんとか、なります…!  
 

[ 35 ] ウェイ・ゴーイング  ケモモ / ガーディアン  2017-07-12 19:31:45

怖いってハッキリ言われた!?な、慣れてるから気にしないしぃ!?

【正面】諒解だ!敵少なくて、市民なかったらおいらに任せて園内に行っちまってもいいからな!
子どもを狙う卑怯者どもにかましてやろうぜー!  
 

[ 34 ] イツカ・クロフォード  エルフ / 魔法少女  2017-07-12 19:09:31

土壇場でポジションの変更があったので、なんとか1からプラン練り直してきました。
一応案は取り入れたはずだと思います…。  
 

[ 33 ] アリスイデア・クロックラビット  ケモモ / マーセナリー  2017-07-12 15:20:47

お手伝い、微力ながらできているなら、よかったです
裏口は…ハッカーの方の先導
ナナさんに何か起きる場合、魔法少女の方がヘイト集中と攻撃
スパイの方は身を潜めて時を見計らって…ナナさんを拘束……です?  
 

[ 32 ] アリスイデア・クロックラビット  ケモモ / マーセナリー  2017-07-12 15:16:12

有馬、さん…この中で一番魅力が高いので……
一般市民の方への説得、説得力が出ます。
ガーディアンのウェイさん、マッドドクターの彩月さん、アカディミアの私、魅力の高い有馬さん
正面、4人いれば負けません  
 

[ 31 ] アリスイデア・クロックラビット  ケモモ / マーセナリー  2017-07-12 14:56:16

スナイパーさん、ナナさんが何かをしようとした時とか、狙って、ください
武器を狙って撃ち落とすの、できると思うんです。

裏口突入の皆さん…子供たちの事、ナナさんのことお願いいたします。  
 

[ 30 ] アリスイデア・クロックラビット  ケモモ / マーセナリー  2017-07-12 14:54:10

が、外見につきましてはごめんなさい!こわいです!

私、も、表で待ち構える方に回り……ます
他の方、連絡つかないので…【正面】【裏口】っていれて、連携をとるの、おすすめします  
 

[ 29 ] イツカ・クロフォード  エルフ / 魔法少女  2017-07-12 08:17:37

元々正面希望なので問題ないですね。
どこまで耐えられるか不安ですが…。  
 

[ 28 ] 彩月  デモニック / マッドドクター  2017-07-12 02:38:53

すっかり発言出来ずでごめんね。
アリスイデアさんはいろいろ纏めありがとー!
そーゆー理由ならまぁ、正面に行って説得してみるよ。ウェイさんはよろしくー。  
 

[ 27 ] ニンバス  ドワーフ / ハッカー  2017-07-12 01:04:37

りょーかーい、じゃあ裏で胡散臭い連中の妨害をするぞ~  
 

[ 26 ] ウェイ・ゴーイング  ケモモ / ガーディアン  2017-07-12 01:02:02

外見での……威圧感……!?おいらぁ、そんな威圧感あるのかぁ……!
正面了解だぜ!増援がきたら食い止めらぁ!そんで、この威圧感と大声とで保護者どもを説得するぜ!説得に失敗したら説得(筋力)になるがな!  
 

[ 25 ] アリスイデア・クロックラビット  ケモモ / マーセナリー  2017-07-11 23:15:53

理由は
どちらもいることでここで事件が起きていることがわかるのと
お医者さんいる、まだ避難場所として機能している、とかの安心感…があると思う、のと
外見での威圧感……あ、あの、ごめんなさい。ある、かと  
 

[ 24 ] アリスイデア・クロックラビット  ケモモ / マーセナリー  2017-07-11 23:14:23

正面と裏、心強いです…!

今回、VIT10の人思っていたより多いから
耐久の低い正面に、ウェイさんお願いしちゃダメ…でしょうか……?
現状、一番話に説得力が出るのがウェイさんと彩月さん、かな、と  
 

[ 23 ] 有馬 芽依  ヒューマン / ハッカー  2017-07-11 19:40:14

ハッカーだけど
 正面なら一般人対策+増援警戒
 裏口なら支援メイン+周囲警戒
って感じ?
 戦闘能力考えると、わたしより耐久力あるニンバスさんが裏で、わたしが正面ってのが良さげな気がするけど、どう?  
 

[ 22 ] ニンバス  ドワーフ / ハッカー  2017-07-10 23:34:40

うーん・・・どっちかというと索敵+支援な感じだから・・・
正面と裏でハッカー一人ずつにするー?  
 

[ 21 ] アリスイデア・クロックラビット  ケモモ / マーセナリー  2017-07-10 22:13:20

■正面
一般人を落ち着かせ、退散してもらう…もしくは、アビスメシアから守る

■裏口
ナナさんの真意とかを…聞きながら、とか、アビスメシアから子供たちとナナさんを助ける

こう、でしょうか  
 

[ 20 ] アリスイデア・クロックラビット  ケモモ / マーセナリー  2017-07-10 22:05:04

体操室を目指せばいい、の、ですね…
囮と、いうより正面は一般の方をアビスメシアから…守らないといけないのも、あり、ます。
いずれアビスメシアが到着する、と、あります…要注意、だから、えっと  
 

[ 19 ] メルフリート・グラストシェイド  ヒューマン / スパイ  2017-07-10 21:21:58

そう器用に障害物だけを取り除くのは難しいだろう。最終的にどうするは任せるが撃ち落される可能性もあるしな。
僕は裏口より潜入するつもりだが敵の数が多いようだし、さてどうするかな…  
 

[ 18 ] アリスイデア・クロックラビット  ケモモ / マーセナリー  2017-07-10 21:18:22

たしかに……乗り物で突っ込めば、壊せる
けれども、建物の倒壊が…気になります。
ちょっと、まっててください
(んしょんしょ)  
 

[ 17 ] ウェイ・ゴーイング  ケモモ / ガーディアン  2017-07-10 08:51:27

囮班にいくことに異論はねぇが、どこで囮になるかだなあ。
あと思ったんだが、遊具室の障害物ってエスバイロで突っ込めば壊れるし、侵入できそうじゃねぇか?!
そうすりゃ救出班のリソースは最低一人で済むぜ!
 
 

[ 16 ] アリスイデア・クロックラビット  ケモモ / マーセナリー  2017-07-09 14:32:53

あの、勝手な割り振りでした、けれど
各々重要な役割があると、おもいます
子供の誘導も大事だから…そっちにも人員が必要になる、から
わけるなら3つ、子供・囮・裏口突破……に、なりますか?
C+…?  
 

[ 15 ] アリスイデア・クロックラビット  ケモモ / マーセナリー  2017-07-09 14:30:19

スパイ、と、ハッカーの先導で進む、こと
ナナさんの手を狙う、など、部位攻撃で彼女を止めるのにスナイパー
いざという時、ナナさんを含めたみなさん…の回復をマッドドクター
これで、火力…たりるでしょうか?  
 

[ 14 ] アリスイデア・クロックラビット  ケモモ / マーセナリー  2017-07-09 14:28:01

囮……を、ガーディアンの方に、やってもらう…のを、推奨します
魔法少女の方も、目立ってしまうので……そこ、かな、って。

遊具の破壊、するなら、私が破壊…できると思います
でも、裏口のその先  
 

[ 13 ] 有馬 芽依  ヒューマン / ハッカー  2017-07-08 08:45:55

全員判明
【スパイ】
メルフリート
【マッドドクター】
彩月
【マーセナリー 】
アリスイデア
【ガーディアン】
ウェイ
【ハッカー】
ニンバス、有馬
【魔法少女】
イツカ
【スナイパー】
ナーシャ  
 

[ 12 ] ナーシャ・べスべレム  ケモモ / スナイパー  2017-07-08 00:46:37

はいはい呼ばれて飛び出てじゃじゃじゃじゃーんってやつですよー。
スナイパーやってるナーシャですよー、適当に正面玄関に来そうな信者を撃ち殺そうと思ってまーす。  
 

[ 11 ] 有馬 芽依  ヒューマン / ハッカー  2017-07-07 19:31:11

参加者リストがないままだと効率悪そうな気がしたから調べてみたわよ。
(あと1人まだ不明っぽい)
面倒だし何とかならないかしらね。  
 

[ 10 ] 有馬 芽依  ヒューマン / ハッカー  2017-07-07 19:28:20

参加者一覧(仮)
【スパイ】1
メルフリート
【マッドドクター】1
彩月
【マーセナリー 】1
アリスイデア
【ガーディアン】1
ウェイ
【ハッカー】2
ニンバス、有馬
【魔法少女】1
イツカ  
 

[ 9 ] イツカ・クロフォード  エルフ / 魔法少女  2017-07-07 07:15:29

魔法少女のイツカです。よろしくお願いします。
正面は教団員も向かってきてるでしょうし、住民の避難はした方がいいでしょうね。  
 

[ 8 ] メルフリート・グラストシェイド  ヒューマン / スパイ  2017-07-06 22:04:46

ふむ…そうだな、僕も一ヵ所に固まるよりは2手に分かれるくらいでちょうどいいように思うが…
どちらかといえば正面を囮に後方から突入する方が好みではあるな。  
 

[ 7 ] 有馬 芽依  ヒューマン / ハッカー  2017-07-06 19:47:31

攻め方を考えてみたけど
A 遊具破壊
B 裏口から強行突入
C 囮班(裏口)と突入班(正面?)の2手に分かれる
ぐらいかしら。

わたしはこの中ではC推しだけど、他にいい案あればそれに乗るつもりよ。  
 

[ 6 ] ニンバス  ドワーフ / ハッカー  2017-07-06 12:08:00

おーっす、ニンバス ハッカーですよー
たまにはマジックミサイルで火力支援しようかな  
 

[ 5 ] ウェイ・ゴーイング  ケモモ / ガーディアン  2017-07-06 00:48:11

ようー邪魔するぜいー!
ケモモガーディアンのウェイ、ウェイ・ゴーイングだ!よろしく頼むぜ!
頑丈なことしか取り柄がねぇから、おいらを存分に肉盾として使ってくれぇい!  
 

[ 4 ] アリスイデア・クロックラビット  ケモモ / マーセナリー  2017-07-05 21:44:50

はじめ、まして…?
アリスイデア、ケモモのまーせなりー、です
ヤマネと一緒に、がんばります………

遊具破壊はかわいそう、だから…裏口から…教団の人、たくさん、殴ります……?  
 

[ 3 ] 彩月  デモニック / マッドドクター  2017-07-05 15:48:29

どーも初めましてー。
(メンバー一覧無い?から初めましてじゃない人も居るかもわからないけど!)
俺は彩月。クラスはマッドドクター、アニマは壱華ちゃんね。
よろしくねぇー。  
 

[ 2 ] 有馬 芽依  ヒューマン / ハッカー  2017-07-05 15:05:58

はじめまして。
ハッカーの有馬芽依です。
よろしくね。  
 

[ 1 ] メルフリート・グラストシェイド  ヒューマン / スパイ  2017-07-04 20:18:48

諸君、僕の名はメルフリート・グラストシェイド。
此度の件、考えねばならん事は多いが協力し事に当たりたいと思う。
宜しく頼む。