プロローグ
デレルバレルにて要人警護の依頼を受けた探究者達は、対象と共に小型艇へ乗り込み、目的地である浮島へと移動していた。
対象の名は「桜礼(おうれい)」。
世界統合宗教Worlds(ワールズ)のシスターである。
彼女は宗教旅団カンナカムイの慈善活動として【遠隔地】と呼ばれる地域へと赴き、教義を広める傍ら病人の治療等を行っていた。
今回もその活動の一環だという彼女は、探究者達に深々と頭を下げる。
「皆様、此度は私めの為に、遠い所までご足労頂きありがとうございます」
遠隔地とは、巨大空挺都市の支配力の外側・外周に当たる地域を意味する言葉だ。
小さな旅団や浮島と呼ばれる空に浮かぶ大地等、地域には多種多様な生活が根付いている。
その大半は、巨大旅団の庇護を直接必要とはしない資源を領土に持つ場合が多い。
だが、限られた領土と限られたコミュニティーの中では、どこかで文字通り限界が生じてしまうもの。
「そうした人々の為に、我々は教育や医療を無償で提供しているのです」
桜礼は伏し目がちなまま旅の目的を話す。
修道着とベールによって個性を隠された中でも、その穏やかで、憂いを帯びた瞳は目立って見えた。
「目的は理解した。しかし、今回の目的地である浮島付近で空賊に一度襲われたことがあるのだろう? 奉仕といえども危険が過ぎるのでは?」
一人の探究者がそう疑問を口にする。
彼女はそれに一言、こう答えた。
「そこに手を差し伸べるべき人がいるのなら……ただ、それだけなのです」
小さく微笑む彼女の背後の窓からは、小さな浮島が3つ並んで見えてきていた。
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浮島へ到着した一行。
「東西へ連なった浮島の内、この一ノ島は船の発着や物資の受け渡しを行う為の場所になっております」
桜礼は初めての来訪である探究達に説明をしつつ、先導する。
いくつかの木箱が放置され、人通りが少ないこの場所は、だだっ広く寂しい印象を与えてきた。
「この島と三ノ島は気嚢植物で作られた人工の大地。お疲れになられても、決して武器等は地面に突き立てないで下さいね」
浮島は、遥か昔世界の崩壊を免れた古代の大地と言われている。
当然その面積には限りがあるため、その打開策として重宝されているのがこの気嚢植物。
体内に空気よりも軽い機体をため込み浮揚するこの植物の上に、何層もの腐葉土を重ねて固めることで人工の大地を作り出す事が出来るのだ。
この人工大地は浮島の大地に比べれば、農作物の生産には向くものの、圧倒的に脆弱。
もし地面がえぐれるような出来事が有れば、気嚢植物が破裂しこの仮初めの大地は空の藻屑と消えるだろう。
「さて、こちらです」
全長10m程の橋を渡り、西へと進んだ一行が着いたのは二ノ島。
3つの内真ん中にあたるこの浮島だけが過去の大地であり、1つの小さな町程の大きさはあった。
田舎、とでもいうようなこじんまりとした集落だ。
辺りを見回していた1人の探究者は、中心部にある大きな建物を見つける。
「どこか懐かしい雰囲気がある場所だが、あの屋敷だけは不釣り合いだな」
「あそこは空での生活に嫌気がさした商人が、自費でこの島に立てた別荘だった……と聞いております」
それもかなり昔の話で、持ち主を失った今はこの島の集会所として扱われていると桜礼は続ける。
「それでは、しばらくあの屋敷にて奉仕活動を行わせて頂きます。皆様にもお手数ですが少々ご助力を賜りたく思います」
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屋敷へ入った一行を迎え入れたのは、正に老若男女。様々な人達が笑顔で彼女を待っていた。
マッドドクターである桜礼は、順に体調不良を訴える人々の診察を行っていき、それが終わったかと思うと中年の人々からの肥料の配分について相談に乗る。
「そして、空挺都市バルジでは堕落が頂点に達し、人々に対立と混乱が広がっていったのです」
「先生~! だらくってな~に?」
「ふふっ。まだこの言葉は難しすぎましたね。皆さんで言うと、お父さんやお母さんのお手伝いをしなくなった……という事です」
「うわ、俺やべーじゃん!」
『アハハハハ!』
子供達の笑い声が屋敷に響く。
気づけば桜礼は休む間もなく、絵本の読み聞かせを行っていた。
内容は旅団に住む者なら知らない者はいないであろう【バルジの教訓】。
ワールズが節制と調和を思想として謳う理由の1つともいえる物語だ。
「神の言いつけを守らなかった人々は、バルジと共に空の底へと沈んでしまいました……めでたしめでたし。とは言えませんね」
彼女が本を閉じると、子供達は怯えた様子で尋ねてくる。
「あたし達も、島と一緒に落ちちゃうの……?」
「ふふっ。皆がちゃんと協力し合っていれば、いつか必ずアレグリアの大地へとたどり着けるはずです。大丈夫ですよ」
疲れた顔も見せず、穏やかに優しく人々を包んでいく彼女。
ずっとこうして人々に尽くしてきたからこそ出来る事なのだろう。
だが、それを快く思えない人々もいた。
「そんな大地なんて、何処にもありはしないよ!!!」
大きな声に振り向く子供達。
視線の先には同じ位の年の頃に見える少年がいた。
少年はその視線に気圧されたのか、逃げるようにその場を去っていった。
「また弥陸(ミロク)君だ……」
「放っておけよ。あんなの、空捨人(ハネナシ)の遠吠えだよ」
「こら。二人共、彼も大切なお友達ですよ。そんな言い方してはいけません」
『は~い』
空捨人?
おやつの時間で子供達から解放された桜礼に、探究者は問いかける。
「ここで話すには余り好ましくない内容なのですが……こうした浮島に永住されている方々を、そう呼ぶ心無い方々がいるのです」
アニマ・マシーナリー・アレグレアへの夢……こうした空の世界で生まれた思想や技術に頼らず、原始的方法で生活を続ける人々。
人類としての生存や進化を諦めた人々。
空で生きる事に疲れた人々……。
様々な事情の違いはあるものの、それを肯定的に思わない人々からは、一緒くたに呼ばれている俗称。
「子供は不思議なものです……。言葉の意味は分からずとも、その内に秘められた思いを感覚だけで掴み取ってしまうのですから」
うっすらと涙を浮かべる桜礼だったが、それを隠すように探究者達へ笑顔を向ける。
「何十年も続く迫害も、きっともうすぐ終わりを迎えるはずだと……私めはそう信じております。貴方達探究者(ラストエイジ)がこの世界の未来を信じて下さっている限り」
その時、突然屋敷の扉が開け放たれる。
「動くな! 桜礼シスター、大人しく出てこい!」
そこには、銛で武装した島民の姿があった。
「皆様……一体なぜ?」
桜礼の言葉に、1人の青年が反応する。
「悪いなシスター。アンタには感謝してる。だが、俺達にも事情ってもんがあるんだ」
「お父さん!?」
どうやら読み聞かせに参加していた一人の父親らしい。
桜礼は子供を後ろに下がらせると、探究者と共に屋敷の門から姿を現す。
「……」
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「早くなんとかしないと……!」
その頃、弥陸は町のはずれにある自身の家へと走っていた。
「兄ちゃん……俺、一体どうすれば……」
一ノ島へ降り立とうとする小さな船。
以前にも夜遅く、星の光を避けるように降りたっていたその船に、彼は見覚えがあった。
町外れだからこそ見えていた、怪しい影の存在に。
あれは……空賊船なんだ!
降りてきた5人の男達の顔も確かに覚えている!
悩める少年はとにかく走る。
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さぁ、こうして舞台は最悪の形で整ってしまいました。
貴方達はこの浮島で、一体何を為すのでしょうか。
解説
これは宗教旅団カンナカムイに焦点を当てたエピソードです。
なお、今回は参加者とNPCの移動の都合上、PCが所持するエスバイロは使用できません。
今回の目標は桜礼を無事に守り旅団へ連れ帰る事です。
浮島の人々に関しては護衛対象に含まれてはいません。
この浮島列島は東西に3つ連なっており、東から一ノ島~三ノ島と呼ばれています。
各島は、気嚢植物によって作られた大地で地続きではありますが、足元に不安があるためか、その上に橋をかけて繋がれています。
それぞれの特徴は以下の通りです。
一ノ島:船の発着場所として広いスペースがあります(サッカーコート程度)。
空賊の船がこのまま接近してくれば、皆様が乗ってきた小型艇は危険を避けるため一旦離陸します(運転に必要な人員は残っています)。
なお、小型艇には旧型のエスバイロ(機動力がかなり低いが防御力は高い)が3艇搭載されています。
二ノ島:居住スペースや屋敷のある浮島の中心地です。
屋敷は3階建てで、中には子供や動けない病人が多数います。
屋敷の入口には村人が十数人程、武装して集まっています。
東西それぞれの島へ行くには、少々の距離がありますが、充分走り抜けられるでしょう。
この島の端には弥陸が一人で住む家があります。
三ノ島:大規模な農作スペースです(一ノ島3つ分)。
一ノ島以上に足場は脆く、一度にこの島へ入れる人数は島民でも制限がかけられています。
ですが今の時間人はほぼいないです。
ここには以前、空鯨漁で使われていた見晴らし台があり、付近の空が良く見えます。
エピソードのスタート時、最低2人は護衛として桜礼と共に行動している状態とさせて頂きます。
桜礼と共にいない場合、この浮島列島内であればどこにいても自由です。
今回は相談掲示板を覗かせて頂きますので、出発時までにそちらで決めて頂けていれば、プランでの
記載は必要ありません。
特殊な性能の物でなければ、武器以外の持ち物は自由です。
ゲームマスターより
プロローグに興味を持って頂きありがとうございます。
私のエピソードに関する注意点は個人ページにございますので、お手数ですがそちらをご覧下さい。
リニューアル大攻勢、私の三本目のエピソードはこの世界の宗教観に少し触れてみる物語になります。
宗教といっても、所謂考え方や心情の一種だと個人的には思っております。
考え方が違えば衝突する部分もあるかと思いますが、相手を思いやった上で、自分の思いの籠った行動をぶつけてみるのは決して悪い事ではありません。
やりたい事、伝えたい事を自由にプランに記載してみて下さい。
このエピソードではPCのステータス差はあまり意味を成しません。
(プランによる補正を強めにかけております)
ですのでpbw初心者の方も、のとそらの世界は今回が初めてという方も大歓迎です!
困った時は相談掲示板で質問すると、仲間達が応えてくれると思います。
それでは、リザルトにてお会い出来る事を楽しみにしております。
心空輪舞曲~ハネナシ・ソライズナ~ エピソード情報
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担当 |
pnkjynp GM
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相談期間 |
5 日
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ジャンル |
冒険
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タイプ |
ショート
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出発日 |
2017/10/15
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難易度 |
普通
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報酬 |
通常
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公開日 |
2017/10/25 |
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えっと…あの…その…患者さんの治療をしにきたんですがあれは…どうしましょう… うえーん…その…痛いのは駄目ですよぉ… な…なんとか武装してる方々を説得してさ…三階に行かせてもらえるように… でも…本当に戦闘とか痛いのは…うう…
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・目的 空賊を落とすか、帰って貰うかしないとな ・動機 島とシスターの問題は知らん ヴァイレスや空賊からの護衛は依頼されちゃいるが、島民からの護衛は依頼されてないからな。 島民と空賊が癒着していて…空賊を落とすとシスターの身の保障ができないとしてもだ、 空賊に制圧された島で俺達探索者がどういう扱いを受けるかなんて決まっているからな。 って訳で、空賊はどうにかするから島民もどうにかしろよ、他の連中! ・行動 一ノ島に居た俺はエスバイロを借りて空賊の迎撃に向かう あのデカさの空賊船なら船の真下に潜り込めば対抗手段もないだろ、フルテの援護をアテにして突っ切る。 空賊といえ殺しはしたくないんだがな…そうも言ってられないな。
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【目標】 桜礼さんを無事に旅団へ 【事前に】 空鯨の鳴き声や好む匂いを調べて、音声データや香料を持っていこう あと行きの小型艇内で、桜礼さんに前の襲撃について聞くよ 襲撃は頻繁にある?、相手の特徴は?など 【行動】 建前は、屋敷まで来れない人の為、島中で訪問治療 空賊の拠点かもしれないし、村人同士の話には注意しよう 走る弥陸くんを見たら、こっそり追いかける 人目が無くなったら話しかけてみよう 家に招かれたら、中の状態(家人、装飾品など)から身の上を推察しながら話をするね 弥陸くんは村人への刺激になるかな 情報は共有、みんなと協力して解決を目指そう! 【交流】 GMさんが把握中の方のみです アドリブ大歓迎!
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まゆゆ
( ゆゆゆ )
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ヒューマン | ハッカー | 15 歳 | 女性
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●事前 双眼鏡のような遠くのみえるものと 端末にインストールできる対空センサー それと、みなさまと連絡の取れる通信機を用意したいのです ●監視 見張り台から裸眼で広く見渡しつつ あやしげなものが見えましたら、双眼鏡で確認していくのです 端末のセンサーは、アニマのゆゆゆにモニターしてもらって こちらも、なにかありましたらすぐに教えてもらうのです 空賊を確認しましたら、すぐにみなさまに連絡 飛行コースなどを算出したデータを伝えて 一ノ島の迎撃戦を有利に戦えるようにしたいのです ●戦闘 参加できるなら、魔法射撃戦、したいと思うのです エクステリアメルトを使って弱点を共有 そこをマジックミサイルで攻撃していきますですね
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私は二ノ島に潜入 潜入する時はサイレントムーブを使い、出来るだけ気づかれないように! 潜入できたら二ノ島に怪しい(空賊につながってたり、その一員だったりな感じの)人がいないか様子を探ります。 そういう人がいたら仲間にこっそり連絡、また、そういう人がこちらの仲間と戦闘中だった場合はこっそりアンチニードルで狙って攻撃。 そのままこちらの仲間と共闘し、仲間や桜礼さんを助けます。 戦闘中ではなかった場合は、怪しい人が単独ならアンチニードルで奇襲をかけ、KOさせます。 複数の場合は単独になったり、こちらの仲間と接触したタイミングを計って上記の行動に移ります。 また、監視中のまゆゆさんからの連絡も聞いて行動します。
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◆担当 シスターの護衛 ◆行動 「シスター…目をつけられたかもね」 フィールと一緒にシスターの護衛 島民と…恐らく空賊から 「私の考えはシスターと異なる…けど、あなたたちには一層賛同できない 人を売るような輩はね」 この絶空の孤島で、誰と何を取引してたの? …以前に桜礼を襲った空賊との繋がりは濃厚ね 「イースター、来て!」 戦闘時はセンシブル 前衛として気を引き、派手に武器を振るって接近させないように 島民の殺害は極力避け、峰打ちや石突で無力化狙い(空賊は容赦なし フィールと連携し、空賊に備えて、桜礼や子供たちを島民から守り逃す 仲間と連絡を取り、1と3島で敵のない方を指示 できればエスバイロを確保して空へ逃がしたいけど…
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一ノ島の小型艇からエスバイロを借りて出撃。 他の探空者と協力して空賊の迎撃に当たる。 旧型のエスバイロにレールガン等の武装がついていればそれで射撃、動き回るよりは固定砲台として戦う。 武装がついていない場合、エスバイロの制御をアニマのアルに任せ、身を乗り出してモノ70による狙撃を行う。 空賊船の動力部分を狙い、スキル「フラッシュエイム」、「パーファレイト・ショット」を併用したのち射撃。
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・フィール うーん。武器を持った人いっぱい。 怪我させたらまずいし、敵さんいっぱいいる時は、(使えるなら)きゃるーん☆テンペストで怒らせて、攻撃の命中率を下げさせてから皆で一緒に逃げよう! 「魔法少女フィールは伊達じゃない……なーんてね!」 ・アルフォリス 最短の逃走経路を割り出し。逃走開始のタイミングを見計らって、皆に通信をいれるぞい。 そうそう、逃走経路にある障害物や道具も、我らが通り過ぎたタイミングでばら撒いて時間稼ぎできんか計算じゃー。 逃げてる最中のフィール達は通信も面倒じゃろうから、我が変わりにやるぞい。 「ファイトじゃ~。あんな素人に負けて任務失敗したら秘蔵の恥ずかしい写真ばらまくぞーい?」
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参加者一覧
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まゆゆ
( ゆゆゆ )
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ヒューマン | ハッカー | 15 歳 | 女性
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リザルト
●空にこぼれた黒点が1つ
「……はわああぁぁぁ! 舞鶴さん舞鶴さん! 空が、とーっても広いのですー!」
「ま、【まゆゆ】さん!? 気をつけないと落ちちゃいますからー?!」
遠隔地に浮かぶ小さな浮島。
そこは大型旅団の影響もほとんど及ばない未開の大地。
大昔の痕跡が残るその場所には、古くから受け継がれた生活と木々の命が芽吹いていた。
三ノ島、そこには見晴らし台の上で感動を叫ぶまゆゆと【舞鶴 冬花(まいづる ふゆか)】の姿があった。
桜礼から『護衛の際に手の空いている人は是非この島の生活を見てもらいたい』と言われていたこともあり、舞鶴の提案で2人は一番見晴らしの良さそうなここへ遊びに来たのだ。
結果から言えば作戦は大成功。
普段自宅に引きこもりがちなまゆゆにはこの景色はいい刺激になったようで、彼女が本来持つ元気で明るい部分が存分に発揮されていた。
「まゆゆさんが喜んでくれたようで良かったですっ」
「わたしは舞鶴さんとのお出かけというだけでも嬉しかったのですよー? でも普段見る空よりも、ここはずっと綺麗だったのです! 感謝感激なのですよっ!」
目線を下げれば一ノ島から三ノ島をほのかに包む白い雲が見え、周りを見渡せば旅団の影すらもない大空が広がっていた。
空の世界での暮らしが当たり前の探究者にとっては、案外こうした何もない空というのは珍しいものだ。
しばし解放感と自然の素晴らしさを堪能していた2人だが、舞鶴が遠い上空に小さな黒点を見つける。
「まゆゆさん! あれ、何でしょうかっ?」
「むむっ、確認してみるのです! 【ゆゆゆ】!」
彼女は自身のアニマに命じて持ち込んでいた双眼鏡の感度を上げさせる。
見えてきたのは小さな飛空艇と見慣れない旗印。
こんな辺境に来られる者はかなり限られているだろう。
「舞鶴さん……多分あれ、空賊なのです」
「ええっ!?」
「皆さんに伝えないとですね。取り敢えず桜礼氏に……」
まゆゆが通信機を操作し始めた丁度その時、他の探究者からの通信が入ってきた。
どうやら集音モードで拾われた音声の様だ。
『シスター、アンタを差し出せば俺達島民は今の暮らしを維持出来るんだ。大人しく捕まってくれないか!』
「あうう、何だかマズい状況みたいですね……」
「で、では! 私が桜礼さん達の様子を見て来ますっ!」
「ならわたしは舞鶴さんのサポートと、一ノ島に残っている人にこの事を連絡するです!」
いち早く異常を常察知した2人の少女は、それぞれの得意分野で事態の解決へと動き出す!
●見定めし者共は
今回の任務は護衛。
桜礼も含め、無事に旅団へ帰り着くためには乗ってきたこの小型艇は絶対の生命線。
そう考えていた【スターリー】と【エルマータ・フルテ】は一ノ島での警備に当たっていた。
勿論彼等にも舞鶴達が聞きつけた通信は届けられる。
「スターリーさん、今の聞いた?」
「ああ」
「どうしよう? あたし達も助けに行った方が……」
「放っておけ。俺達の任務はシスターの護衛だが、島民とのいざこざをどうこうしろとは言われてないからな……」
「そんな言い方しなくたって!」
「待て、話は最後までだ。シスターは既に何度かここを訪れている。それまで何も問題が無かったのに急に奴らに襲われる理由はなんだ?」
「そっか、空賊!」
「そういう事だ。こういう勘は外れて欲しいのは山々なんだが……」
その時、スターリーとエルマータの通信機にまゆゆからの通信が入る。
「大変なのです! 怪しい船が現在接近中なのです!」
「あー、まゆゆだったか? アンタはもう少し落ち着いて喋れ。耳が痛い」
「むぅ……スターリー氏はちょっと手厳しいのですぅ……」
「まゆゆちゃん、船がどうしたの?!」
「え、エルさん! 今三ノ島にいるのですが……!」
まゆゆは双方と面識があったものの、基本的に人前では内気気味になる彼女。
親しくなりきる前は他人を氏付けで呼んでしまう時があるのだ。
そんな彼女から件の船が空賊の物ではないかとの情報を得た2人は、小型艇に備え付けられた旧型エスバイロで出撃する事を決めた。
(スターリー。このエスバイロ、私達の持っている物より機動力がかなり劣ります。普段通りには行きませんから気をつけて)
「分かってはいるがやるしかない。オーバーチューンを頼むぞ、【フォア】!」
(……はい!)
「舵の感じはかなり重いね。装備はどう? 【アル】」
(シールドエネルギーはたっぷりあるよ、エルさん。でも他には何にも……)
「うそ、レールガンもついてないの?!」
「となると自力の勝負だな。フルテ、アンタそのライフルに自信はあるか?」
「勿論。 銃工房出身の娘を舐めないでよね」
「なら俺が前に出よう。直接的な攻撃は得意じゃないが、何かあったらアンタが狙いを定める時間くらいは作ってみせる」
「了解! 背中は任せて!」
エルマータは愛用のゴーグルをしっかりと装着すると笑顔でグーサイン。
作戦を確認した2人は、各々のアニマに命じてエスバイロを発進させる。
「空賊はどうにか抑える……そっちもどうにかしろよ、他の連中……!」
●己の誓し想いを胸に
少し時は遡り。
二の島では、シスターの護衛についていた【ヴァニラビット・レプス】と【フィール・ジュノ】が屋敷の前で島民達に囲まれていた。
「うーん、武器を持った人が一杯だね! あははは……皆さーん、ちょっと目が怖いですよ~……?」
「フィール。……冗談言っている場合じゃないわ。相手は本気よ」
何とか場を明るく取り持とうとするフィールに対して、ヴァニラビットの分析は冷静だ。
ケモモとしての感だろうか。彼女は島民に気づかれないよう注意を払いつつ、通信機の集音装置を起動させる。
「シスター、アンタを差し出せば俺達島民は今の暮らしを維持出来るんだ。大人しく捕まってくれないか!」
「……何があったかは存じ上げませんが、それが皆様の望みであるならば受け入れましょう」
「ええっ? 桜礼さん即答しちゃうの?!」
「シスター桜礼! この状況でその選択は私達が承服しかねるわ! あなた達。彼女を捕えてどうする気なの? もしかして、空賊絡みなのかしら?」
「……ああそうだよ。別に俺達がどうこうしたい訳じゃない! だがこのままじゃ、ここで生きていく事が出来ないんだ……」
シスターを誘拐しようとした集団のリーダー格の男がこの島の状況を語り出す。
浮島というものは、その全てが過去の遺産である。
ここで生きる彼らにとって、この小さな島と踏み出せない空が人生の全てであり、それはある種の孤独の形でもあるのだ。
二ノ島に残された田畑を耕し、遡る事も出来ないほど昔から続く伝統的な鯨漁を行い彼等は生きる。
子供達の楽しみと言えば時折流れてくる空の雲を数え、田畑の成長を見守り、近くの小さな洞穴でほんのちょっぴり冒険気分に浸る事。
そんなある日、この島にある商人の飛行船が流れ着いた。
それ以降、商人は人々に沢山の品々を持ち込み遊びを教えた。
空には色々な伝説があって、見た事もない遊び場や施設があり、多種多様な食べ物にありつける。
そんな探究者達にとって当たり前な何かの話は、この島の人達には魅力的に聞こえていたに違いない。
島へささやかな豊かさをもたらした商人に、島民は心ばかりの御礼を捧げた。
狩った空鯨の肉を与え、土地を提供し、洞穴の中に光る赤に近いオレンジ色の鉱石を彼のために採掘する。
「2年位前だったか……商人が死んだといって、この島に空賊達がやってきたんだ。俺達にはもう島の資源だけで生きる力は残っていない。奴らの言いなりになるしかなかったんだよ……!」
「そうだったのですね……」
俯く桜礼。
空賊もこの土地を確保しておくのが目的なのか、時折しか来ていなかったため今までは何も起きなかったが、前回のボランティアの際に桜礼が出入りしている事が知られるところとなったのだろう。
「なるほど。シスターの船はカンナカムイの旗印……目をつけられたのかもね。けど……。人を売るようなその考え、同じ人として賛同出来ないわ!」
ヴァニラビットが一歩前へと歩み出る。
「私の考えはシスターとは異なる……多分あなた達とも。正直言って私はアレグレアの大地なんてユートピアは信じてないし、浮島だっていつか堕ちてしまうものだと思っている。でもね、大切なのは今いるこの世界を精一杯生き抜く事じゃない?」
彼女はハンドアックス【エルリック】を島民達へと向ける。
「大地だけが全てじゃない……この空でだって人はまっすぐに、人らしく生きられる! それを私が証明して見せるわ」
「お待ち下さい! この島の人達を傷つけるのだけは……!」
「落ち着いてヴァニラビットさん! 見てほら、子供達も怖がってるし!」
フィールの指さす先では、屋敷の入り口からこちらを伺う子供達が不安そうに覗き込んでいた。
中でも人一倍目に涙を浮かべているのは探究者の【ネリネ・アランドロン】だ。
「うぇく……ひっく……その……痛いのは、駄目ですよぉ……」
「どうしてネリネが一番泣いてるのよ!? でも大丈夫、私は冷静よ。こうして時間さえ稼げれば……」
ヴァニラビットと島民達はしばしの硬直状態であったが、突如近くの茂みから少女が姿を現す。
「皆さん、武器を置いて下さい! ここを監視していた空賊さんは倒しましたからっ!」
その少女は舞鶴であった。
彼女はまゆゆの見つけた屋敷の様子を見張る不審人物に接近、【アンチニードル】で無力化に成功していた。
「ずっと通信している人がいたので変だと思って聞き耳を立てていたら、空賊さんの仲間みたいだったので眠ってもらいましたっ。この辺りにはもう怪しい人は居ないそうですから、安心してもらえれば……!」
「おおっ、冬花ちゃん凄ーい! ナイスだね」
(ちっ、素人とは言え……魔法少女をひんむ……サービスシーンの一つも提供できんのかこの下っ端モブどもめ!)
「ちょっとー!?【アルフォリス】、何言ってるのさ?!」
(未開の島で男達にせくちーな女子が2人も囲まれたのじゃ。しかもおぬしは魔法少女じゃし、ヴァニラビット殿はウサギ系ケモモ。当然そのような展開がお約束に決まっておるじゃろう?)
「一体どこの世界にそんなお約束があるのよ!」
(ヴァニラ。貴女が卑猥な妄想の対象になっている事を感知しました)
「大丈夫よ【EST-EX(イースター)】、オープンモードでこれだけハッキリ言われたら、聞こえない方がどうかしてるわ」
「そうですね……って、そうでした! 今こちらに空賊の船が向かってきてるみたいでっ?!」
冬花の話を聞いた桜礼と探究者一行は、迫りくる空賊へ対応するため一ノ島へと走り出した。
●夢を信じて
一方、屋敷ではなく訪問医療という形で二ノ島を散策していた【アクア=アクエリア】は、どこかに走っていく弥陸を追跡していた。
「わー来るなぁーーー!!!」
「ちょ、ちょっと待って! お願いだからっー!」
(あくあんはちょっと悪戯好きなヤンチャっ子なだけだからー! 心配しなくていいよ~♪)
「注射は嫌だぁぁぁーーー!!!」
「ああ、ゴメンね! 【フォブ】! 早くその注射しまってってば!」
(え~、これがウチの本体みたいなもんだしな~。アイデンティティとかがさーあー?)
「いいから早く~!!!」
(ぶー。あいあいお~)
第一次成長期を迎えるような年頃の少年だ。
自分より背の大きな人間が、それよりも大きな巨大注射器を持っていればそりゃあ逃げる。
勿論フォブはアクアのアニマであるから注射器は妄想であるのだが、そんな事は弥陸の知るぶぶんではない。この浮島では普段の常識が通じないのだ。
フォブをプライベートモードに切り替え、何とか弥陸に追いついたアクアは、彼の家を訪れる。
家の中は、ごく普通のリビングが1つと部屋が1つ。生活感があるところには多少散らかっている部分もあるが、基本的には整頓されたこじんまりとした様子だった。
隣の部屋には二段ベットが置かれているが、古い物なのであろう。所々痛んだ部分や傷があった。
幼い子供が1人暮らしをするには妙な点が所々に感じられる。
「弥陸くん、良かったらボクとちょっと話をしてみない?」
弥陸から島の状況や屋敷であった事を聞くアクア。
「あいつらが変な事言ったから……兄ちゃんは空に飛び出して……」
空で生きる事を誓った者。
この世界では彼等を天空依存症候群(ソライズナ)と呼ばれている。
空に惹かれ、空に生きる事を楽しむその姿は、大地に根付く人間には度し難い部分が大きい。
だが、弥陸にはそれはあまりなかったという。何故なら自身の兄が熱狂的なソライズナであったからだ。
大好きな兄が信じる不可思議な想い。
弥陸がそんな想いを信じられなくなったのは、兄が空で行方不明になってしまったから。
「そんな事があったんだ……」
「だからおれは空が嫌いなんだ。希望の大地なんてどこにもないのに、幻ばっかり見せてきて!」
「弥陸くん。君が嫌いな空が見せるものは……本当に幻なのかな?」
「どーいう意味だよ!」
「ボクは医者だし、探究者としても最近色々なところに行ってるんだけど、空は本当に広いんだ。ボクら探究者はそんな中でアレグレアの夢を追い続けてる」
でもね、と弥陸に笑いかけるアクアは照れくさそうに頬をかく。
「正直ボクも希望の大地なんて何がなんだか全然分かってないし、実はそんなに探してないかも! えへへ。 でもさ。楽しい事も辛い事も一杯溢れてるこの空なら、ボクは楽しい事をたくさん見つけていきたいなーと思うんだ。おなかいっぱいご飯を食べて、沢山笑って、よく眠って……それって楽しいって思わない?」
「……思う」
「ボクもまだまだ子供だけど……アレグレアって楽園は、誰かにとっての未来を目指すための道標なんだと思うんだ。大事なのは、諦めずに楽園を……未来を目指す意思や覚悟のある生き方じゃないかな?」
今度は温かな笑顔をたたえて、アクアは目の前の少年に手を伸ばす。
「弥陸くん。君は今、どう生きたい?」
少年はしばし、差し出されたそれをじっと見つめていた……
●空を駆ける
「ちっ! 最近は運が悪い事ばかりだな!」
その頃、一ノ島の上空ではスターリーとエルマータが空賊船と戦闘を行っていた。
当初、空賊から情報を聞き出そうとしたスターリーだったが、空賊は彼らを捉えると迷いなく攻撃を仕掛けてきていた。
どうやら探究者達もしっかりと排除の対象に含まれていることを把握した2人は、行動を交渉から迎撃へと切り替える。
「フォア! もう少し出力を上げてくれ!」
(駄目です! これ以上出力に回したらシールドが持ちません!)
「オラァ! 堕ちちまいなぁーー!!」
「させるかっ!【きゃるーん☆テンペスト】ッ!!!」
きゃるーんとした流れ星が、空賊の駆るエスバイロのミサイルを打ち落とす。
少し距離があるとはいえ、もし敵の攻撃が一ノ島に落ちてしまえば崩落は免れない。
自身のエスバイロが発するシールドと魔法でなんとか捌いてきたスターリーだが、このままでは持ちそうにない。
「フルテは……まだ無理かっ!」
他方エルマータは、エスバイロ上で器用に寝そべると狙撃姿勢を確保する。
アニマであるアルが必死に機体制御をし、空賊の攻撃を避けようとするものの、敵の数はエスバイロ3機と小型船1機の総勢4機。
2人の協力で何とかエスバイロ2機は小型船へ引き上げさせたものの、消耗は激しかった。
スターリーの処理し損ねた攻撃は、エルマータの方へ流れ命中した弾が機体を揺らす。
「あああっ?!」
(ゴメン、エルさん! 大丈夫?!)
「大丈夫! でも、このままじゃ……」
「エルさーん! 一旦地上へ戻って下さーい!」
「あ、フィールさん!」
エルマータが眼下に視界を移せば、手を振るフィールと残された最後の1機で飛び出してくるヴァニラビットの姿があった。
「遅くなってごめんなさい。エルマータは下でフィールと変わって。私達で敵のターゲッティングを引き受けるから、キミは狙撃に専念を」
「ごめん、宜しくねっ!」
降下するエルマータを庇うように陣取ったヴァニラビットは、島民から借り受けた銛に魔力を込めると、追撃する空賊の攻撃を薙ぎ払う。
(銛に過重な負荷を確認。魔力も込めているとはいえ、このような使い方ではあまり持ちませんよ、ヴァニラ?)
「分かってるわよ。でもあそこまで啖呵を切った手前、島の人達にカッコ悪いところは見せられないでしょ? 力だけが空に生きる証じゃないと思うけど……今は空賊にだって立ち向かっていけるって姿を示したいじゃない」
彼女にしか見えない誰かへ、ヴァニラはそっとウィンクで合図する。
(はぁ……。その判断は非合理かつ危険です……が。やるなら止めません、是非どうぞ)
「ありがとイースター! 来て!」
センシブルを発動させたヴァニラビットは銛を頭上で回転させる。
魔力を集中させ生まれたエネルギーの粒子がそれに合わせて丸く形どられていく……。
「さぁ、魅せるわよっ!!!」
彼女の作り出した【エネルギーブレード】は残された空賊のエスバイロのシールドにぶつかって火花をあげる。
「スターリー、あなたはあっちを!」
「すまん、任せる!」
スターリーは戦っていた敵をヴァニラビットに託し、空賊船の対応に向かう。
こちらでは、フィールが特大サイズの【きゃる~ん☆テンペスト】で船の視界を奪っていた。
「ほらほら~! そっちじゃないぞー!」
「ちきっしょこのアマ! ちょっと胸がデカいからっていい気になりやがって!!!」
「むむ、胸は関係ないでしょうがー?!」
(ファイトじゃフィール~。こんなのに負けて任務失敗したら秘蔵の恥ずかしい写真をばらまくぞーい?)
「それって最早脅迫じゃないの!」
「もういい付き合ってられるか! こうなったら一ノ島に爆薬を落とせ! あそこは最悪無くたっていい!! 野郎ども!」
『うっす!』
(マズいぞ、フィール。早く始末をつけんとあやつら島ごと我らの船を吹き飛ばす気じゃ。下降し船の下を取るのじゃ)
事態を察知したアルフォリスは、撮影していたカメラを折りたたむと(映像はアニマの視覚を通して撮影されているものの、勿論カメラはイメージである)フィールに指示を出す。
「そんな事言ったって……」
「行け! きゃる~ん☆なら俺だって使いこなせる!」
「わわ、じゃあ宜しく!」
今度はスターリーとフィールがチェンジ。
恐らくスターリー至上、今までで最高の大きさにまで拡大したきゃるーん☆で彼女の役目を請け負った。
視界を遮られた空賊達はセンサーで爆雷を誘導投下しようとしたが、何故かセンサーにジャミングが入る。
『こんな事もあろうかと!』
フィールが振り返ると、そこには【キュービー】というイルカのような生き物に乗ったアクアと弥陸の姿があった。
アクアとフォブの声が重なっている。
「この野郎……!!!」
痺れを切らした盗賊は、回頭し船の下腹部を一ノ島に向ける。
一ノ島からは、空賊船のシールドが薄いエンジン部がさらけ出された。
「爆薬投下!」
(今じゃ! エスバイロのシールドを前面に集中展開、全力で押し退けぃ!)
「おおおっりゃぁぁぁぁーーー!!!!」
フィールはその身とエスバイロで投下された爆薬を押し退ける。
「魔法少女フィールは伊達じゃないっ……なーんてねっ!!」
爆薬が一ノ島と船の間から無くなれば、もう彼女を遮るものはない。
スコープから赤い魔力の煙を立ち上らせるエルマータは、とっておきの貫通弾をライフルに込める。
「アル、いつものあれ行くよ! 照準補正お願いっ!」
(照準……よし、視界良好。行けるよ、エルさん!)
「っけけけけぇぇぇぇーー!!」
エルマータの全力の【バーファレイト・ショット】は、見事空賊船のエンジン部を打ち抜いたのであった。
●未来に希望を描きながら
「はわ、はわわ! ズルいのです。この可愛さは舞鶴さんとアクアさんにも引けを取らないのですよっ……!!」
「まゆゆさん! いつも言ってますがボクは男の子なんですが……」
「アクアさんはこれだけ多くの人に可愛いと称されるのですから、もう女の子みたいなものなのですっ」
「そ、そんな~!」
(あくあん可愛い、ラブリーアクア!)
「フォブ!」
「あ、アクアさん、そんなに怒らないで下さい! アクアさんが可愛いのは本当ですのでー!」
「舞鶴さん、それフォローになってないです!」
舞鶴の楽しそうな姿を【プラチナスノウ】は優しい微笑みで見守る。
どうしてこんな事になっているのかと言えば、島の平和を守り切った一行は、二ノ島の屋敷にて団欒の時を得ているのだ。
屋敷では弥陸が家で隠れて育てていた、キュービーが島中の子供達に愛でられている。
「まさか生き残りがいたとはな……俺達が全部あの商人にうっぱらっちまったかと思っていたが」
「へー、こんな生き物がいたんだ。浮きイルカの一種かな?」
エルマータが物珍しそうにのぞき込む。
「ああ。こいつらや空鯨は超音波らしきもので会話するようなんだが、そいつが普通の機械の挙動に影響を及ぼすらしくてな。空鯨漁に使えるって言うんで、商人が嬉しそうに買っていったよ」
「これは、お兄ちゃんが育ててた子なんだ。俺が、いつお兄ちゃんが帰ってきてもいい様にって……」
少ししんみりとした空気になる中、3階で治療のボランティアに当たっていたネリネが階段を転げ落ちてくる。
「ふぇ……ふえーーーん!!!」
「わわっ、大丈夫?!」
エルマータと舞鶴が泣き出すネリネをあやす。
齢10歳ほどの見た目ながら傭兵団の治療担当も務めるマッドドクターな彼女。
そんな姿は少しドジで泣きじゃくる姿からはとても想像できないが、それもまた愛嬌というものだろう。
彼女のアニマ【コラプター】が代わりにネリネの降りてきた説明する。
(見てみて~! ネーリネンとボクでみつけたんだけさー、この屋敷にのどっかにある金庫の暗号みたいだよ!)
彼女が指さす先では、ネリネが何か古びた紙を握りしめていた。
どうやらこの島にはまだ残された謎があるようだが、それはまた別のお話。
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旅立ちの前、スターリーは屋敷で弥陸に暴言を吐いたという子供達に謝らせる。
『ごめんなさい』
「いいよ、本当に気にしてないから! おれも強がって変な事言って……ごめんなさい」
「それでいい。考え方は人それぞれだ。相手と違う意見を持っていても良いが、それを盾に相手の考えを頭ごなしに否定する事は相手の人生も否定する事だ。相手を害する考えじゃなけりゃ共存しろ。いいな?」
『うん』
こうして人々に小さな炎を灯した一行は無事に旅団へと帰還した。
依頼結果
MVP
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まゆゆ ヒューマン / ハッカー |
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作戦掲示板
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[1] ソラ・ソソラ 2017/10/10-00:00
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おはよう、こんにちは、こんばんはだよ! 挨拶や相談はここで、やってねー!
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[14] アクア=アクエリア 2017/10/14-22:42
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組分け表、更新です。 まゆゆさん、舞鶴さん、よろしくお願いします。 出来るだけ浮島に被害を出さず、桜礼さんを守りきりたいですね!
〇空賊迎撃 [一ノ島] スターリー(魔法)、エルマータ(狙撃) 〇桜礼さん護衛 [二ノ島/屋敷] フィール(魔法)、ヴァニラビット(万能) 〇調査・護衛援護 [二ノ島/屋敷] 舞鶴(間者) 〇弥陸くんフォロー [二ノ島/居住ブロック] アクア(医者) 〇監視 [三ノ島] まゆゆ(電脳) 〇未定 ネリネ(医者) (以上敬称略)
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[13] 舞鶴 冬花 2017/10/14-21:56
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アクアさんは組み分けまとめありがとうございます! 流石に監視に2人は必要ない、でしょうか? では私は二ノ島でサイレントムーブを使用しつつ、村人の中に怪しい人…特に屋敷の中にそういう人がいるかどうかをこっそり調べてみようと思います。
場合によっては護衛班の援護にも回りますっ!
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[12] まゆゆ 2017/10/14-21:37
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アクアさん、まとめありがとなのです。 それではわたしは三ノ島から、監視メインでいきますですねっ。 よろしくお願いいたしますのです-!
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[11] アクア=アクエリア 2017/10/14-09:55
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連投で失礼します。
現在の組分けです。 結構バランスはよさげ!
〇迎撃(一ノ島) スターリー(魔法)、エルマータ(狙撃) 〇桜礼さん護衛(二ノ島・屋敷) フィール(魔法)、ヴァニラビット(万能) 〇弥陸くんフォロー(二ノ島・居住ブロック) アクア(医者) 〇監視(三ノ島)または戦闘(二ノ島) まゆゆ(電脳)、舞鶴(間者) 〇未定 ネリネ(医者) (以上敬称略)
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[10] アクア=アクエリア 2017/10/14-09:41
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いよいよ今夜出発。
現状、可能性が高いのは「空賊がこの島を拠点に(しようと)してる」なんですよね。 既に屋敷内に紛れ込んでたり…。 時間的にも文字数的にも厳しいと思いますが、護衛組に怪しい村人のチェックお願いできますか?
後、ここでは今もクジラ狩りしてるのかな? してるなら、きっとあの生物がいるね。 村人と協力できれば、空戦力が跳ね上がるかも。
全然関係ないけど、ワールドガイドの宗教欄で「バルジの教訓」が「バジルの教訓」になってました。 「うかつにバジルを植えない」っていう話を思い出し、なんだかホッコリしました。
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[9] ヴァニラビット・レプス 2017/10/14-09:29
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そろそろ行動を決めないといけないわね。 『シスターの護衛は最低2人』だそうだし、私もシスターの護衛に回ろうと思うわ。 たぶん、接近戦が一番避けられないところでしょうし…
>フィール 武器は銃(じゅう)じゃなくて、銛(もり)じゃない? 空鯨漁で使われていた、ってあったし。
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[8] フィール・ジュノ 2017/10/14-04:54
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遅れた遅れた、ごめんなさーい。魔法少女フィールです。
うーん、桜礼さんの護衛役はまだ決まってないのかな? だったら、私が護衛役に立候補するよ~。
銃器で攻撃を受けそうなんだったら、テンペストで命中率を下げてからだったら移動もしやすくなるかな?
私は護衛に専念するねー。
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[7] 舞鶴 冬花 2017/10/12-22:07
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スパイの舞鶴 冬花です。よろしくお願いしますっ! とりあえず私も監視か二ノ島担当を希望したいと思いますっ。 詳しい行動指針とかはも少し考えてから決めることになっちゃうのはごめんなさいー!
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[6] スターリー 2017/10/12-21:58
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監視はハッカーにやって貰うのが良さそうだな。
早い所行く場所を決めておこう。俺も一ノ島から出て空賊を迎撃する。
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[5] まゆゆ 2017/10/11-22:07
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おはようございますのです! ハッカーのまゆゆです。みなさまよろしくお願いいたしますのですー!
うん、三ノ島にいくなら空賊監視かなってわたしも思いましたのです。
シスターが島の人に襲われたのは、 空賊かお屋敷に何か隠されているかその両方か、という感じでしょうか?
PT希望としましては、監視か二ノ島での戦闘班でいけたら、と思っていますのですっ。
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[4] エルマータ・フルテ 2017/10/11-00:54
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こんばんはー。スナイパーやってるドワーフ、エルマータです。よろしくね!
島の人達、桜礼さんには感謝してるって言ってたし…何か事情がありそうだね。 何かの誤解ならそれを解きにいけばいいし、空賊が弱みを握ってるっていうならあたし達が何とかするけど。それ以上の込み入った話だと、簡単には行かないかも…
とりあえずあたしは、一ノ島周辺での空賊の迎撃に手を挙げとこうかな。相談してくれれば移るけどね。
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[3] アクア=アクエリア 2017/10/10-18:41
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ドクターのアクアです、よろしく!
三ノ島は見晴らし台? 空賊伏兵の察知や戦況把握しつつ指示とか。 二ノ島の屋敷には、抜け穴や隠し倉庫などビックリな仕掛けがあったりして。(願望
大体、なんで空賊に狙われてるんでしょうね。 シスターなら誰でもよいのか、桜礼さんだからなのか…謎です。 前回の襲撃の時、目立つ特徴がなかったか聞いておきたいですね。
ボクは弥陸くんが気になるので、居住スペースをうろついていようかな。
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[2] スターリー 2017/10/10-01:13
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スターリーだ。
・シスターが何故島民に連れて行かれるのか 大人の思想と、シスターが教える思想が違うから都合が悪いのかどうか。 もしくは、島民が弱みを握られていて空賊にシスターを差し出す気なのか。
・PTの分断 戦闘が可能なのは二ノ島だけだ。他の島でおっ始めたら島が沈む。 一ノ島で空賊を迎撃するならエスバイロに乗って島から離れた方が良いだろうな。 三ノ島は…避難場所にも使えねえし、居る意味はあるか?
シスターの護衛と、空賊の迎撃(飛べるのは3人まで)のメンバーを先に決めたい所だな。
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