【隠れた真実】レッツゴー空のデート鳴海 GM) 【難易度:とても簡単】




プロローグ


● 二人きりになれる場所

 エスバイロに二人乗り~
 行きつ戻りつ、二人道~
 そんな歌がはやったのはいつからだろうか。
 そんな甘い歌を歌ったのはどのアイドルだったろうか。
 君たちは雲を突っ切って上昇を続けていた。
 目に当てたゴーグルの水滴が。強い太陽光で一気に乾く。
 君のアニマが抗議の声を上げた。
 視界の端に映し出されるのはあなたの嫁。
 しかし、文句を言いつつも君たちの嫁は少し楽しそう。
 とうぜんだろう、今日は休日だった。
 最近仕事が立て込んで、君たちを助けるためにアニマも働きづめだったのだ。
 そんな生活に嫌気がさして、君たちは気が付くとエスバイロに乗って空に飛びだしていた。
 抜けるような青空。僅かに浮かぶ雲。
 しっているか? 曇って水でできてるんだ。
 そんなことは知ってる。
 そう何気ない会話をしながら、君はアクセルを振り絞る。
 もっと高く、もっと空へ、もっと誰もいないところに。
 君と大切な人と二人だけの時間を。
 そう、今だけ噛みしめるために。


●状況確認
 これは大規模作戦が起きる少し前のお話です。
 なので平和でのどかな雰囲気全開です。
 まぁ、この後皆さん酷い目に合うことになりますが。

 基本的には会話文メインですが。この空には何もないわけではありません。
 ちょっとしたスポットがあるので紹介します。

・入道雲
 とてつもなく大きな雲が常時ある場所です。  
 放電現象のせいで雲内部に突っ込むと危険ですし、周囲に雷を発しているので、デート向きではありませんが。エスバイロの操縦テクを磨くために来る人もいるとかいないとか。

・カタワラビーチ
 ビーチとは名ばかりのヤシの木一本映えたりくちです。
 小さな浮遊装置の上に土が盛られて木が生えているだけですが。いい感じに日差しが遮られますし、エスバイロを操縦する必要もないですし、風が合って気持ちいいです。
 ただ、昼寝する時は注意。畳五畳分くらいしかスペースが無いので。落ちると奈落にまっさかさまですよ。

・パスカルピット
 高度の高い場所に浮遊する腰掛けられる程度の四角い箱です。
 何のために存在するのか全く分かりません。
 ここは空気が大変薄いのですが、地球を見下ろすことができますし空が近いのですごく幻想的です。

・レーヴァテイン外殻、忘れられた場所

 鉄骨やら何やらが付きだしている場所です。ここはみなさんの秘密基地みたいになってます。
 狭いですが、青い空がよく見えるので素敵です。 



● 会話内容

 会話内容に困る方向けに会話トピックを作ってみました。
 使う必要はありません、参考程度にしていただければと。

・これからの未来どうしたいとかある?
 皆さんは夢追い人です(ないかもしれませんが)未来は不確定ですが、逆にどこにでも行ける可能性を持っているのです。
 今後、アニマと皆さんがどの様に生きていくべきか。落ち着いた今だからこそお話しできるかもですね。

・過去にあんなことがあったけど、今はどう思ってる?
 アニマと皆さんは長い付き合いです。だからこそ、過去の記憶で忘れてしまっている物があるかもしれません。それは大事な記憶ですが、確かめるために口に出すにはちょっとためらわれるような、そんなお話が今ならできるかもしれません。

・大好きなところ、大好きになった瞬間。
 皆さんとアニマは絆で結ばれているでしょう、しかし最初からそうだったのでしょうか。どこかのタイミングで強く惹かれるようになったのではないでしょうか。
 その瞬間を認識しておくことは皆さんにとって、いざという時の活力になるとおもいます。

・もし自分が死んだらどうするの?
 
 誰しも、形を持っている限り、その形は必ず崩れます。
 死や、別れは、マスターとアニマをいつかは別つことでしょう。
 その時の話は絶対必要ですが、いつもは裂けていると思います。
 いつか起こった不測の事態のために、その日の話、してみるのはいかがでしょうか?


解説


目標 アニマとの一時を楽しむ。
 今回はアニマとPCの関係性というか、日常風景をはっきりさせるための回となるでしょう。
 実際に動かしてみてからじゃないとキャラクターを固められないという人が大勢いるかと思いましたので。
 なので結局はアニマとPCの会話がメインとなるはずです!
 リザルトでは個別に描写していく形になりそうです。
 それではみなさんの楽しい会話描写お待ちしてます。


ゲームマスターより


 今回はアニマと皆さんの関係を整理するお話です。
 やはり、このゲームはキャラクターの性格が定まってないと楽しむのは難しいですからね。
 なのでみなさんの助けに慣れればと思いこのようなシナリオを作ってみました。
 楽しんでいただければ幸いです。



【隠れた真実】レッツゴー空のデート エピソード情報
担当 鳴海 GM 相談期間 7 日
ジャンル --- タイプ EX 出発日 2017/7/3 0
難易度 とても簡単 報酬 ほんの少し 公開日 2017/7/13

 エルマータ・フルテ  ( アル
 ドワーフ | スナイパー | 18 歳 | 女性 
エスバイロに乗り、レーヴァテイン外殻、忘れられた場所へ向かう。
ここで見る空はとても綺麗で.、.自分を見つめなおすにはいい場所だからだ。
空を見上げながら、自らのアニマ、アルに話しかける。
「ねえ、アル。あたしたちが工房を出て、探求者になった時のこと...覚えてる?」
『...覚えてるよ。エルさん、昔からやるって決めたら行動は早かったもんね。』
「...父さんと母さんには、悪い事しちゃったかな。」
『大丈夫だよ。エルさんのことを信じてるからこそ、送り出してくれたんだから。』

このような感じで、エルマータは昔を思い返す。
そして、改めて、もっと素晴らしい銃を作るため、探求者として経験を積もうと決意を固める。
 Luxuriaちゃん  ( アマリリス
 デモニック | アイドル | 18 歳 | 女性 
大空へ飛び出しながら次のライブ会場までの一時をアニマのアマリリスと一緒に過ごすよ!「次の会場入りまであと50分よ。喉のウォームアップは済ませた?」なーんてお節介なマネージャーさんね。「うっわ!忘れてた!」って私もだらしないんだけど。どうせお空だし、飛んでる人なんかそんなにいないよね?ちょっと恥ずかしいけど歌っちゃえ!「あーしたーもーいいひーあさってもー」もし聞かれてたらどうしよ、怒られちゃうかな?でもきっと大丈夫!こんなに綺麗な空に居るんだもん、誰だってちょっとくらい歌いたくなるよね!アカペラなのが不安だけど……うん!気にしない気にしない☆「空気薄いんだから自重しなさいよ」なんてアマリリスの小言も無視しちゃえ!歌ってる瞬間はどこだって私のステージ!「きょうーもーあしーたーもーきっとひかりがみちていてー」うん、仕上がってきたかも!待ってて私のファン達!今回も最高のライブにしちゃうんだから☆
 マッキントッシュ・ホリールカ  ( アップルジャック・B・ドリーマー
 ヒューマン | アサルト | 25 歳 | 男性 
バイトが終わって今日は休日だ
だからやるべきことをやる、清掃や洗濯を片付けたら内職の為にPCの作業だ
眠気はまだないから通しでできるだろう…栄養ドリンクやゼリーも十分にある

作業の途中、アップルジャックが話しかけてきた
また働いているのかと、てめーはまたサボってんのかよ
PCのデータ整理しとけっつったよなあ?あれが整理か
雑すぎるんだよおめえの作業は…きっちりやれ

二本目のドリンクを開けようとしたら
AJが奪い取って離さない
退屈だから外につれてけだあ?
……っち、準備しとけ、出るぞ。(無視したら隣でやかましく喋り続けるだろうからな)

外は正午間近だったようで日差しか強い
目が慣れないのと、思わず伸びをしてしまう
それを見ていたAJは満足したように頷いた
流石にこれで、こいつ自身が外出したいんじゃない事がわかった
どうでもいいことはべらべら喋る癖に…女…いや、アニマはよくわからん。
 ベリル・トレフォイル・リコリス  ( Marine
 ドワーフ | スナイパー | 22 歳 | 男性 
大空を飛び回りながらレーヴァテイン外殻、忘れられた場所を目指していきます。忘れられた場所についたら鉄骨の上に寝転がってアニマと2人で会話をします。もちろん目指している途中も会話をします。
空中(大まかなイメージ)
Marineがどこに行くのか聞く
ベリルが息抜きできる場所と答える
Marineがいつもの場所だと気づく


レーヴァテイン外殻、忘れられた場所
これからのこと
ベリル このままずっとMarineと相棒として一緒に仕事をしていけたらと思ってる
Marine いつまでもベリルと一緒にいたいと思ってる

小さな頃
ベリル 最初はアニマのくせに生意気なこと言いやがってと言ったことを言う
Marine 私がいないと何も出来ないくせにと返したことを言う
ベリル 思えば喧嘩が絶えなかったねと言う
Marine 同意して結局何で和解したのか聞く
ベリル 昔のことだから忘れたと言ってとぼける
 先魁ハルカ  ( ノゾミ
 ドワーフ | スナイパー | 18 歳 | 女性 
 エルヴィス  ( ケーナ
 エルフ | ハッカー | 21 歳 | 男性 
「あの・・・エルヴィス様。・・・エルヴィス」
エスパイロで移動中、ケーナに呼ばれる。
「・・・どうした、ケーナ」
「その・・・今日は依頼もないので・・・その・・・」
最近休みをあまりとっていなかったことを言いたいのだと察し、「今日ぐらいは空を楽しむか」と言う。

いままでしっかりとみる暇がなかったので、改めて見る空の風景はエルヴィスの知識欲を刺激し、そのエルヴィスを見るケーナも幸せそうになる。
エルヴィスの知識によって助けられることが幾度もあり、彼にとって知ることはすべてである。だから彼が知識を得るのはケーナにとっても嬉しいことだし、何より思考しているエルヴィスはカッコイイから。

エルヴィスもまた、ケーナといることはとても心がやすらぐ、いやそれ以上の何かを感じている。


ああ・・・
ああ・・・

――こんな幸せな時間が、いつまでも続けばいいのに――
 リロ・L・スインガー  ( ピピー
 ケモモ | ガーディアン | 17 歳 | 女性 
【場所】  レーヴァテイン外殻
【話題】 リロの昔の話
【行動】

ピピーったら、さっきからずっとだんまりなんですもの。
休憩がてら話をしたいと、アニマを指定場所まで連れて行く。隣に座るように促し、優しく声をかける。
ピピーには話したことのなかった昔の話をぽつり、ぽつりと語り始める。

私には一緒に生まれてくるはずの妹が居たの。……けれど、彼女はこの美しい景色も知らぬまま死んでしまった。
私は願ったわ。『妹が欲しい』 多くは望まない、ずっと側に居てくれる笑顔の素敵な女の子が良い、って。
そしたら貴方が来てくれた。とても嬉しかったわ。

こう言ってもアニマはいつも通り「あっそ」と興味のなさそうな返事を返すだけ。
出会ってから数年、未だに笑顔が見れないのは少し寂しい気もするけれど、彼女は私が望んだ通り出会ってから片時も離れずに居てくれた。
お姉ちゃんは、それだけで充分。
 クラーク  ( カゥル
 ヒューマン | ハッカー | 27 歳 | 女性 
時には忘れられた場所で
忘れものを思い出すのも、良いと思いませんか

懐かしい本を持って来ました
まぁ、そう言わないでください
僕にとってはとても大事なものなのです

それは遠い昔の話
君と出会って数年の頃
思えば僕も君も、まだ僕と言う性格を理解しなかった
君が何かの拍子に言った言葉がきっかけで
僕は僕を知り、同時に苦しんだ
その頃に、見つけた本
今はない、古い本屋で君が見つけた物語

タイトルがないので、僕は魔女の日記と呼んでいる
僕と同じ性格の、悩みを持った魔女が妖精を連れて旅する話
気づけば僕も影響を受けて同じ名前を名乗…
…いじけないでくださいな
僕が語りたいのはね、君に感謝してるという事
あの日君が僕を励まそうとしてる姿がとても嬉しくて
だから大事な思い出なんですよ

そしてこの性格は僕達だけの秘密です
…おっと、口が勝手に
そんな僕ですが…此れからも仲良くして下さると幸いです

参加者一覧

 エルマータ・フルテ  ( アル
 ドワーフ | スナイパー | 18 歳 | 女性 
 Luxuriaちゃん  ( アマリリス
 デモニック | アイドル | 18 歳 | 女性 
 マッキントッシュ・ホリールカ  ( アップルジャック・B・ドリーマー
 ヒューマン | アサルト | 25 歳 | 男性 
 ベリル・トレフォイル・リコリス  ( Marine
 ドワーフ | スナイパー | 22 歳 | 男性 
 先魁ハルカ  ( ノゾミ
 ドワーフ | スナイパー | 18 歳 | 女性 
 エルヴィス  ( ケーナ
 エルフ | ハッカー | 21 歳 | 男性 
 リロ・L・スインガー  ( ピピー
 ケモモ | ガーディアン | 17 歳 | 女性 
 クラーク  ( カゥル
 ヒューマン | ハッカー | 27 歳 | 女性 


リザルト


●世界を眺める日『エルヴィス』の場合
 地面が落ちてしまってから、どれだけの年月が流れたのだろう。
 そして、その歳月空は変わらずこの青さを抱き続けていたのだろうか。
「あの……エルヴィス様。……エルヴィス」
 そう戸惑いながら主人の名前を呼ぶ『ケーナ』彼女の声にふと我に返るエルヴィス。
「……どうした、ケーナ」
「その……今日は依頼もないので……その……」
 口ごもるケーナ。少し考え込みエルヴィスは彼女が何を伝えたいのかすべてを察した。
 最近休みをあまりとっていなかったことを言いたいのだ。
「なら……」
 そうエルヴィスは告げるとエスバイロのハンドルを切る。
「え? え?」
「今日ぐらいは空を楽しむか」
 そう告げてエルヴィスは目的地へのルートを外れて空を飛んだ。
 いい風が吹く。
 今日は絶好の散歩日和と言えるだろう。
 エルヴィスとしては、ケーナの気分転換になればと思っての提案だったが、現状ケーナはその状況を飲み込めず混乱している様子。
 そんな穏やかではないケーナの胸中。それでもケーナはデート……であればいいなぁと思っていた。
 しばらくの時を二人は無言で過ごす。
 目的もない空の探索だった。ただただ風景を眺めるエルヴィス。だが。いままでしっかりとこの世界の風景に視線を巡らす暇がなかったので、改めて見る空の風景はエルヴィスの知識欲を刺激することになる。
 遠くを眺めるエルヴィス。その横顔を眺めてケーナは幸せそうにため息を漏らした。
「ん?」
 その吐息に気が付いたエルヴィス。だが一つ目を向けただけで再び空へと視線を戻す。
 深い水色の瞳、その表情には知性が見て取れる。ケーナはエルヴィスの知識によって助けられることが幾度もあった。
 彼にとって知ることはすべてである。
 だから彼が知識を得るのはケーナにとっても嬉しいことだし、何より思考しているエルヴィスはカッコイイので見ていて飽きない。
 エルヴィスもまた、心安らいでいくのを感じていた。
 ケーナといることはとても心が穏やかになる、いやそれ以上の何かを感じている。
 
 ああ……

  その時二人の想いまで重なる。

 ああ……

 ――こんな幸せな時間が、いつまでも続けばいいのに。
 その願いを引き連れて、エスバイロは空に飛行機雲を作った。
 長く伸びていく二本の線が二人の歩んできた歴史そのものなんだろう。


●世界を眺める日『ベリル・トレフォイル・リコリス』の場合
 エスバイロに乗って空へと飛びだす。螺旋を描くようにレーヴァテイン周囲を走ると『Marine』が楽しそうにくすくすと笑った。
 打ち捨てられた秘密基地。レーヴァテイン外殻、忘れられた場所。最初に建設したときの名残だろうか。鉄骨やら空白のスペースやらが残っており、自分たちの秘密基地にしている場合は多い。
 よってベリルもその秘密基地を目指しているわけだが。
「どこにいくの?」
 ベリルは行き先を告げていなかったのだろうか。Marineはそう尋ねる。
「息抜きのできる場所に」
 そう唇に指を沿えてベリルが告げると、少し思い悩むMarineいくつかベリルがヒントを与えつつ。何度か回答ミスを繰り返してMarineは、あの場所だと気が付いた。
「私も好きだよ、あそこ」
 そう告げMarineはなお上機嫌となった。ベリルはさらに加速する。
 流星のように孤を描いてたどり着いたのは鉄骨が伸びた止まり木のような場所。
 そこにエスバイロを停泊させて二人は鉄骨の上に寝転がった。
 ここは日陰になっていて、太陽光が当たらないからとても涼しい。
 ベリルは眠気を感じて目を閉じるがMarineが暇そうなので、再び目を開いた。
「これから……」
 ベリルはおもむろに口を開いた。
「え?」
 思わず聞き返すMarine。ベリルの顔を見下ろして不思議そうに首をかしげた。
「おれは、このままずっとMarineと相棒として一緒に仕事をしていけたらと思ってる」
 そうぶっきらぼうに、唐突に告げられた言葉で、一瞬ぽかんと呆けた顔を見せたMarineだが、その意味を噛みしめるように笑うとMarineはベリルの言葉に笑顔で答えた。
「私も、いつまでもベリルと一緒にいたいと思ってる」
「昔はこんなことを言えるようになるなんて思ってなかったな」
 Marineがそう苦笑いを浮かべて告げた。
 小さな頃、遥か昔。お互いに幼く、まだ年月も重ねていない頃。
 ベリルはMarineの事を良くは思っていなかった。
 最初はアニマのくせに生意気なこと言いやがってと。
「昔はよく言ってたな」
「あ、覚えてたんだ」
 Marineはその言葉に、私がいないと何も出来ないくせにと返したことを思い出す。
「売り言葉に買い言葉だったね」
 そう言ってMarineは小さく笑う。
「思えば喧嘩が絶えなかったな」
「そうだね、結局どうして和解したんだっけ」
 そうMarineが問いかけた。するとベリルは。
「昔のことだから忘れた」
 そう言ってとぼけて、小さく微笑んだ。

●世界を眺める日『エルマータ・フルテ』の場合
 空に行く本もの軌跡が走る。船体に張り付いた水滴が急速に蒸気に変わって、蒸気が雲に変わる。
 飛行機雲と呼ばれる現象だが。それを『アル』は遠くから眺めていた。
 その、空に浮かぶ線を眺めて指さし、おいしそうだね。なんていって笑うアル。
 そんなアルを引き連れてエルマータもまた。エスバイロに乗って、レーヴァテイン外殻、忘れられた場所を目指して空を飛んでいた。
 そこで見る空はとても綺麗で……自分を見つめなおすにはいい場所だからだ。
 だからエルマータはたまにそこに来る。
 道中特にトラブルはなかった。アルが上機嫌なくらいか。
 そんな二人はエスバイロをすぐ近くに停泊させて鉄骨の上に寝転んだ。
 空を見上げながら、エルマータは自らのアニマ、アルに話しかける。
「ねえ、アル。あたしたちが工房を出て、探求者になった時のこと……覚えてる?」
 エルマータはドワーフで、ドワーフの例にもれず、エルマータの家は工房を抱えていた。
 銃を生み出すための工房。
 だからエルマータも銃職人をめざすことに何のためらいもなかった。
「……覚えてるよ。エルさん、昔からやるって決めたら行動は早かったもんね」
 そんなエルマータも自分の道を真剣に考え始めた時。世界をもっと見て、自分の力を試したい。そんな欲求が湧いてきたのを覚えている。
 決断してからのエルマータは早かった。
「……父さんと母さんには、悪い事しちゃったかな」
「大丈夫だよ。エルさんのことを信じてるからこそ、送り出してくれたんだから」
 同じ空の下。エルマータは思う。両親も元気に暮らしているだろうかと。
「いつか、立派になって帰ろう」
 二人はそう誓い合うと、また同じ空を見上げた。
 
 

●世界を眺める日『リロ・L・スインガー』の場合
 吹きすさぶ風は強く、その華奢な体を巻き上げようとする。
 遠くに大きな雲が見えた。雨が降るのだろうか。こちらに迫ってくる。
 そんな大きな空を抱くように、仰ぎ見るようにリロはせり出したレーヴァ―テインの外殻に腰を下ろしていた。
 不服そうにリロは自分のアニマに語りかける。
「ピピーったら、さっきからずっとだんまりなんですもの」
 その言葉にきょとんとした視線を返す『ピピー』。
 作業の休憩が少し話でも、そう思ってアニマを連れ立ちここまでやってきた。
 普段の生活する町の中では拝めない空と広大な世界。
 隣に座るようにピピへ促してから十数分ほど経過していた。
「ねぇ、何か話したいこととかないの?」
 その言葉にピピーは答える。
「だったら任務内容の確認でもしようか?」
 そうピピーはヘの字に曲げた口をぱくぱく動かして無感情に告げた。
「……いや、それはいいかな」
 困った……そう頭を悩ませるリロ。そう言う話がしたいわけではない。
 やがて考えること数分リロは、ピピーの様子を見ながらとある話しを始める。
 ピピーには話したことのなかった昔の話をぽつり、ぽつりとピピーの様子を確かめるように。
「私には一緒に生まれてくるはずの妹が居たの」
 ピクリとピピーは反応を見せる、だが言葉は返さなかった。
「……けれど、彼女はこの美しい景色も知らぬまま死んでしまった。私は願ったわ。『妹が欲しい』、多くは望まない、ずっと側に居てくれる笑顔の素敵な女の子が良い、って」
 その時やっとピピーは振り向いてくれた、動揺の色を瞳に浮かべて。その瞳を見据えるリロ。
 そして首をかしげて微笑んで告げた。
「そしたら貴方が来てくれた。とても嬉しかったわ」
 その言葉に目を見開くピピー。
 けれど視線を迷わせ、戸惑いに好調くする頬をこすり。
 ただただそっけなく「あっそ」とだけ告げた。
 興味のなさそうな返事を返すだけ。
「しっぱいしちゃったかな」
 そうリロは苦笑いを浮かべる。
 出会ってから数年、未だに笑顔が見れないのは少し寂しい気もするけれど、彼女は私が望んだ通り出会ってから片時も離れずに居てくれた。
(お姉ちゃんは、それだけで充分だよ)
 そうリロは心の中でつぶやいて立ち上がる。風が背中を押しても揺れない確かな足取りを見せ。
 そしてピピーに手を差し出して見せる。
「いこう? ピピー」

●世界を眺める日『Luxuriaちゃん』の場合
 穏やかに続く日常、対して空を爆音を奏でながら疾走する。慌ただしい影もある。それがLuxuriaのエスバイロである。
 それは時に螺旋を描くように飛び。時に重力加速度を味方につけて降下する。
 彼女たちは急いでいた。次のライブまで残り時間が少なかったのだ。
「次の会場入りまであと50分よ。喉のウォームアップは済ませた?」
 そうアマリリスが告げるとLuxuriaはぽんと両手を打ち鳴らす。
「うっわ! 忘れてた!」
 お節介なマネージャーさんのおかげで、準備運動を忘れずに済む。自分のだらしなさに苦笑いをうかべつつ、ウォーミングアップをどうしようか迷っていると。
 Luxuriaは一つ妙案を思いつく。
「どうせお空だし、飛んでる人なんかそんなにいないよね? ちょっと恥ずかしいけど歌っちゃえ!」
「え!」
 驚きの声を上げるアマリリス。だが止める間もなくLuxuriaは歌い始めてしまった。
「あーしたーもーいいひーあさってもー」
「他の人の迷惑になるよ?」
 曲の間奏部分にそう断りを入れるアマリリス。
「あ、聞かれてるかも? 怒られちゃうかな? でもきっと大丈夫!」
 そうLuxuriaは汗を煌かせ、笑顔でアマリリスに告げて見せるLuxuria。
「こんなに綺麗な空に居るんだもん、誰だってちょっとくらい歌いたくなるよね!」
 やがてLuxuriaの声は大きく、苛烈に、よりリズミカルに、熱を帯び、感情を乗せ。空に響き渡る。
 一通りの曲を歌い終えてLuxuriaは満足そうに一つため息をつく。
「アカペラなのが不安だけど……うん! 気にしない気にしない」
 そう語尾をハントーン高く、誰にでもなくウインクをして可愛さをアピールするLuxuriaである。
「空気薄いんだから自重しなさいよ」
 そんなアマリリスの小言を無視して。Luxuriaはなおも息を吸いこむ。
 到着までまだ時間がある。であれば喉を傷めない程度の発声練習はとても大事である。
「歌ってる瞬間はどこだって私のステージだよ!」
 Luxuriaはエスバイロの舞台演出も含めて再度空に歌を響かせた。
「きょうーもーあしーたーもーきっとひかりがみちていてー」
「あ~、くらっと来ても知らないんだから」
 そんなアマリリスの言葉に少し笑ってLuxuriaは天高らかに指を突き上げた。
「うん、仕上がってきたかも! 待ってて私のファン達! 今回も最高のライブにしちゃうんだから」
 Luxuriaが会場入りしたのはそれから十数分後の話、開園ギリギリでの到着で少し怒られたのだが。それでも彼女の笑顔は絶えず。
 ライブも大成功だったという。



●世界を眺める日『マッキントッシュ・ホリールカ』の場合
 暮すというのはとても大変だ。
 仕事をしながら、家事をこなす。一つでもおろそかにすれば誰かからお小言を言われ、疲れているとか、時間に余裕がないとかそんな言い訳は通用しない。
 マッキントッシュはその日バイトの無い日。つまり休日だった。
 幸いにして晴天。
 こんな日にやるべきことといえば……そう掃除である。
 マッキントッシュは朝からせっせと働いていた。清掃や洗濯を片付けたら内職の為にPCの作業だ。眠気はまだ感じられない。だから通しでできるだろう……。
 そうマッキントッシュは机の上に並べられた栄養ドリンクやゼリーを横目に眺める。備蓄も十分である。
 そんな作業の邪魔をするようにアニマである『アップルジャック』がゴロゴロと床を転がってマッキントッシュの目の前に現れた。
「また働いているのか!」
 アップルジャックがマッキントッシュを嘲笑うように告げる。
「てめーはまたサボってんのかよ」
 呆れて溜息しか就けないマッキントッシュである。
「PCのデータ整理しとけっつったよなあ? あれが整理か」
 そう机回りを指さすマッキントッシュ、たしかに彼の主張の通り一時間前から様子が全く変わってない。
「雑すぎるんだよおめえの作業は……きっちりやれ」
「そう言うあなたはカリカリし過ぎ……これでも飲んでおちついたら?」
 そう栄養ドリンクを投げ渡すアップルジャック。
「ああ、気遣いどーも」
 そうそっけなくマッキントッシュは答えるとアップルジャックをどかして掃除を再開した。
 そのうち太陽が高く上る。
 ピカピカになった部屋を眺めながらマッキントッシュは満足そうに嘆息、二本目の栄養ドリンクに手をかける。
 その時である。
 栄養ドリンクを握るマッキントッシュの腕に絡みつく腕があった。
 アップルジャックだ。
「退屈だから外につれてけだあ?」
 まるでとろけそうになりながらアップルジャックはマッキントッシュに懇願する。
 そこでマッキントッシュはすべてを察した、無視したら隣でやかましく喋り続けるだろうということを。
「……っち、準備しとけ、出るぞ」
 二人は外に出た。正午の日差しは照りつけるように強い。
 目が慣れないのと、眠気で思わず伸びをしてしまうマッキントッシュ。
 それを見ていたアップルジャックは満足したように頷いた。
(なるほどな……)
 そこで全てを理解するマッキントッシュ。
 つまりはアップルジャックが外出したいんじゃなかったってこと。
(どうでもいいことはべらべら喋る癖に)
 女……いや、アニマはよくわからん。そう思いながらマッキントッシュは歩みを進めた。

●世界を眺める日『クラーク』の場合
「時には忘れられた場所で。忘れものを思い出すのも、良いと思いませんか」
 そうクラークはたおやかなスカートを靡かせて、口をあける遺跡の淵から空を見渡していた。
 レーヴァテイン外殻に開いた穴。忘れ去られた場所、二人だけの秘密基地。
 ここを訪れようと思ったのは本の些細なきっかけ。
「懐かしい本を持って来ました」
 そうクラーク座りが本を広げるとカゥルがその膝に手をかけ、身を乗り出した。
「えーっまたその本かよ。クラも好きだなぁ」
 そうカゥルは呆れ交じりにクラークへと告げた。
「まぁ、そう言わないでください。僕にとってはとても大事なものなのです」
 クラークは苦笑いを浮かべながらそっと、その本のページをめくっていく。
 そこにかかれていた文字は独特で、印刷されたモノではなく一品ものであることがうかがいしれた。
「それは遠い昔の話。君と出会って数年の頃」
 そうクラークは物語を読み上げていく。
「思えば僕も君も、まだ僕と言う性格を理解しなかった」
 その言葉が、声が心地いいからカゥルは口を出さなかった。
 クラークの優しい眼差しが本の上を滑る。
「君が何かの拍子に言った言葉がきっかけで。僕は僕を知り、同時に苦しんだ」
 その頃に、見つけた本だった。
「今はない、古い本屋で君が見つけた物語」
 それは全くの偶然の出会い。だがそれは運命でもあったんだろう。
「タイトルがないので、僕は魔女の日記と呼んでいる」
 そう告げてクラークが本を閉じると、カゥルが不服そうな視線をクラークに向けてきた。
「僕と同じ性格の、悩みを持った魔女が妖精を連れて旅する話……なんだけど」
 その瞳に宿る色、真意に気が付けずクラークは途方に暮れてしまう。
「気づけば僕も影響を受けて同じ名前を名乗……。……いじけないでくださいな」
 やっとわかった。そうクラークはカゥルの頭を撫でた。
「いいかい? カゥルさんは放置されると拗ねるからな? 本の虫相手に拗ねるからな」
 その可愛らしい抗議に笑いながら
「僕が語りたいのはね、君に感謝してるという事」
 そうクラークはカゥルを抱き上げて膝の上に乗せた。
「あの日君が僕を励まそうとしてる姿がとても嬉しくて。だから大事な思い出なんですよ」
「ふっふっふ! そーゆー事なら仕方ないな!」
 頭を撫でられるカゥル、するとカゥルは小さく微笑んでクラークを見あげた。
「そしてこの性格は僕達だけの秘密です……。おっと、口が勝手に」
 そう口を押えるクラーク。
「そんな僕ですが……此れからも仲良くして下さると幸いです」
「おぅ! あったりまえさ!」
 そう元気に返事をするカゥル。
 二人の穏やかな時間は続く。
 その時二人の髪を巻き上げるくらいの強い風が吹いた。

 ――あら、私も貴方に感謝くらいはしておりましてよ?

 その風に紛れてクラークの口が動く。
 ただ。
 その声は風に吹かれ飛ばされて、カゥルの耳には、入らなかった。

 エピローグ
 空に伸びる飛行機雲、それを街中から見上げて『先魁ハルカ』体を伸ばした。
 きっと自分と同じように今日を謳歌している人がいる。
 そう思うと少し楽しくなる。
 ハルカは自分の後ろをついて歩く『ノゾミ』の手を取って人ごみの奥を目指した。



依頼結果

成功


依頼相談掲示板

【隠れた真実】レッツゴー空のデート 依頼相談掲示板 ( 4 )
[ 4 ] マッキントッシュ・ホリールカ  ヒューマン / アサルト  2017-06-26 22:27:58

マッキントッシュ・ホリールカだ、……よろしく。
生きていく為に仕事するだけだ、それ以外は何もねえな。  
 

[ 3 ] クラーク  ヒューマン / ハッカー  2017-06-26 21:30:44

クラークと言います。アニマ共々、よろしくお願いいたしますね。
僕はアニマと昔の事でもお話ししようかな、と。
お互い、良き時間となりますよう願っております。  
 

[ 2 ] Luxuriaちゃん  デモニック / アイドル  2017-06-26 03:14:14

やっほー!(自称)大空のアイドルLuxuriaちゃんだよー☆
私は大空をびゅーんって飛びながら歌うつもりだよ。
いいよ!って言ってくれる人がいたら、その人の所にも歌声が届いたとか、あったらいいなぁ。  
 

[ 1 ] エルマータ・フルテ  ドワーフ / スナイパー  2017-06-25 23:04:54

こんにちはー。あたしは、エルマータ・フルテって言います。アニマのアル共々、よろしくね!
今回は戦うわけじゃなさそうだし、挨拶程度に顔だしたって感じかな。
ちなみに、レーヴァテイン外殻に行くつもりだよ。