「こちら、羊飼いバニラ=ランジェリー!SOS!!お願い、誰かぁっ!!」
絹を切り裂く悲鳴。
彼女-ウサギケモモであるランジェリーの絶叫が暗雲渦巻く天空に響き渡る。
彼女を包む純白のレースやフリルなどであしらえたパイロットスーツは官能的だったが、今はその全身が汗ばみ細かな傷と血をも滲ませていた。
彼女と共に行くのは一面の真白い飛び羊達。
雲のような浮力と羊の姿に、倍速の推進力を併せ持つ神秘の獣。
彼らをシティに供給できれば、エスバイロなどリベレーターの足りない市民への心強い救いになるに違いない。
その為に一族の救世の悲願を大志と彼らを、ランジェリーは故郷に託されたのだった。
しかし、長い長い旅路の終点に待っていたものは強大且つ巨大なる絶望。
念には念を押し戦場となる死角の航路を逐一の通信ナビゲートを欠かさずに選んだはずだった。
しかし眼前の虚無の暗雲から突如として飛び出したものは、あろうことかヴァイレスの群れ。
「ヒッ……!?」
もう1つ恐ろしいのは、そのヴァイレス達はあまりにも異形だった。
奴等の体の至る所は腐食し、その一部を機械で覆っている。
ランジェリーには、それらのパーツに見覚えがあった。
エスバイロのパーツでヴァイレスを改造したに違いない。
そんな凶悪な想像を実現してあまりあるメタルフォルムと武装だった。
機械化ヴァイレスの口からは炎が、指先から機銃の弾が、角からはレーザーが放たれ、
ランジェリーの機体と飛び羊達に襲いかかる。
「だめエッ!」
その幾らかを自らの機体を盾として受け止める。
爆風と爆発に次ぐ爆発。
このままではシティに飛び羊と一緒に
ヴァイレスをも引き付ける事態を招き入れてしまいかねない。
最初は逃げ惑うばかりの飛び羊の群れだったが、一匹、また一匹と何とヴァイレスに向かっていった。
ランジェリーを守る為だろう。
「全部誰かにあげちゃう為に、せっかく全員に情が移らないように、なるたけ機械で育ててきたのにな……」
恐怖一色だったランジェリーの頭が冷えていく。自分への怒りと彼らへの悲しみに。
子供の飛び羊が怪我をしたり、病気をしたりしては飼育小屋の扉を一番乗りで開きながら彼らの全てを育ててきてしまった。
ランジェリーの頬を熱いものが流れる。その想いと行動は彼らにちゃんと届いていたのだ。
「そうだよ、君達全員に私、本当は名前までつけたりしてたんだから!!」
飛び出した飛び羊をエスバイロから伸ばしたマジックハンドでヴァイレスの攻撃を受けながら、
全員捕まえてシティに向かって放り出した。
「ここから先はアナタ達だけで先に行きなさい!」
ランジェリーは機体を操作してマニピュレーターでムチを取り出し、飛び羊を打った。
だが、そこから動こうとする飛び羊は一匹もいなかった。
「行きなさい!早く……っ」
獲物を喰らうべく、唾液の糸を引かせてヴァイレスの顋(あぎと)が大開きになる。
ランジェリーは吠えた。
「やらせるもんかあっ!この子達も、皆も、世界だってー!」
彼女の機体が反転し、一直線に機械化ヴァイレスの群れに向かう。
その横を一陣の風が吹き抜けた。
「諸行無常ー」
ヴァイレスの口内に深々と突き刺さるのは一振りの刀。
「下天の闇にうらぶればー」
その刀に天からの稲妻がありったけに集まり落ちる。
「夢幻のー如く也」
有り得ない光景だった。
全身黒炭と化した機械化ヴァイレスが、
浮力を失い落下していく。
「一体何が……!?」
侍兜型エスバイロの上に、背に無数の刀を背負う武者鎧の男がいた。
その足元から、包帯で巻かれた子羊が飛び出した。
その子が自分の機体のコクピットでへたりこむランジェリーの胸に飛び込むのを見届け武者は抜刀した。
「我が名はヨモツ=キヨマサ……、悪鬼斬断の志士を募る者。
かかる眼前の外道を祓う為、何卒御助力を願いたい」
武者ラストエイジであるキヨマサの後方に、
更にランジェリーと飛び羊を守るように次々と到着したエスバイロの編隊が鶴翼の陣を築いた。
さあ、反撃はここからだー!!
のとそらの世界における、神秘の獣浮き羊。
その中でも人が乗る事が可能な飛び羊と呼ばれる群れと、彼らの主であるケモモ、飛び羊飼いバニラ=ランジェリー(彼女のアニマ、キャミソールは現在彼女のエスバイロと融合して、ダメージの大きい機体の機能を保持回復しています)。
彼女達を救い保護する為、武者ラストエイジであるヨモツ=キヨマサと出陣します。
ランジェリーの機体と飛び羊の脱出は、まだできていません。
彼らを迎え入れて連携を取り、行動を共にする事ができれば、より心強い力が人類に加わるでしょう。
彼女達をガードしながら謎のヴァイレス軍団を討つわけですが、機械化ヴァイレス達の体の一部は腐っていますが、どうもエスバイロのパーツを使って補填され強化改造されているようです。
奴等に注意しながら乱戦になった時の要救助者(ランジェリーと飛び羊達)へのフォローも悩ましい所です。
このエピソードはグランドプロローグ「崩壊の始まり」の連動エピソードです。イベントで起きた様々な大事件の陰で、隠された物語をエピソードにしています。
歴史の狭間、真実の隙間を埋める物語へ参加してみてください。
なお「崩壊の始まり」にて選んだ選択肢と関係ないお話でも参加可能です。
援軍に来たヨモツ=キヨマサは白拍子型アニマ、コダチを融合させた刀を持ち、天の利に通じた秘策があるようですが必殺技の威力が広範囲に渡る為、乱戦での連携に苦戦しているようです。
救助プランの対象である飛び羊達は、同じく対象である羊飼いランジェリーの指示を受けて逃げ回っており、今度は彼女の話をちゃんと聞いて動いてくれそうです。
機械化ヴァイレス達は機動力や攻撃力は確かに上がっていますが、改造に無理矢理エスバイロを組み込んだ事によるデメリットはどこかにありそうです。
はじめまして。ようこそ「のとそら」の世界へ。GMの一人、EXITと申します。
是非ご一緒に、あなたと、この空の冒険とお嫁さん、同じくラストエイジの皆と時空間をかける新たな物語を楽しみながら紡ぐ事ができればと思います。宜しくお願いします。
【隠れた真実】天に迷える子羊達 エピソード情報 | |||||
---|---|---|---|---|---|
担当 | EXIT GM | 相談期間 | 10 日 | ||
ジャンル | --- | タイプ | EX | 出発日 | 2017/7/6 0 |
難易度 | 難しい | 報酬 | 多い | 公開日 | 2017/7/16 |
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参加者一覧
ミクシィ ( ミヤビ ) | |
デモニック | マーセナリー | 20 歳 | 女性 |
クロカ ( 雪月 ) | |
ヒューマン | マーセナリー | 23 歳 | 男性 |
キミシア ( フリーオウ ) | |
ケモモ | アサルト | 21 歳 | 女性 |
カーディナル ( ウォルフィス ) | |
デモニック | 魔法少女 | 16 歳 | 女性 |
エティア・アルソリア ( メルファ ) | |
デモニック | 魔法少女 | 14 歳 | 女性 |
ソル・グラディウス ( クロウ ) | |
ドワーフ | スナイパー | 26 歳 | 男性 |
ニンバス ( ガスト ) | |
ドワーフ | ハッカー | 18 歳 | 女性 |
エクセル=クロスワード ( ソーラー ) | |
ヒューマン | マーセナリー | 32 歳 | 男性 |
リザルト
「おいでなすったか、メカヴァイレス! その装甲ひんむいてやるよ!」
「覚悟決めろガラクタ共、アンタらに俺らは止められねぇぜ!!」
「賑やかな茶会になりそうね。何よりだわ」
「戦闘後の事を言っているんだよな、ミクシィ」
「ケガはないか、ランジェリーちゃん! 今すぐ全身にくまなく生体スキャンをスミズミまでかけるから服をまとめて脱いで……(バキッ)ぎゃあ!?」
「ハアハアハア……! あっちも、こっちもモフモフモフ! モフモフモフの羊たんでいっぱいだよカーディナルう! 天に迷える羊ちゃんたち……いま、助けに行くからねー! エ……カワイイうさぎちゃんともふもふに仇名すモノは神の敵も同然、腐ったヴァイレスども覚悟なさい!」
「聞いて『ウォルフィス』、またエティアが変なの異常なのおかしいの。だって私にはポテがいるのに…………。違うのよポテ、今の間は心の迷いじゃないの錯覚なの気のせいなの。……さぁ、踊りましょう」
「きゃっほーい☆ ヨモツ君、ランジェリーちゃん、来たよーん☆」
エスバイロのハッチをパカンと開けて大手を振るクロネコケモモの『キミシア』。
『ソル・グラディウス』が嘆息する。
「まあ軍とは違って突貫の召集だとこうもなるか……。ヨモツ機、ランジェリー機! 今俺達のプランを送った! 状況に応じて、より最適なプランに更新して連動連携させていくから自前のアニマにアップロードさせてくれよ!」
「承知」
「…………」
「ランジェリー? おい、返事くらいしてくれよ。頼むぜ?」
力強く頼もしい通信がスピーカーから入り乱れる。
機内のランジェリーは膝を抱えて包帯姿の浮き羊を抱き締めて震えていた。伸ばした手が、やがて虚空をさ迷う。
「ランジェリー、そなたに問おう」
「? え、あ、ハイ」
ヨモツの甲冑下からのくぐもった声がランジェリーの耳を打つ。
「そなたの使命を」
「わ、私の……使命……!」
?
フラッシュバック。
視界の影に一振りの刀が目に入る。
「生きる事……です」
冷たく見下ろすヨモツの瞳と、その背後の自分を追う憎き仇ヴァイレスに力を持って向き直る。
迷いは消えた。
「浮き羊、この子達と皆で守る為に……戦う為に!! 私はー来ました!!」
「各機、オープン・コンバット!!」
『了解!!!』
全員の声が重なった。
さあ、反撃はここからだー!!
「『フリーオウ』、ルートの指示をお願い! ニンバス!」
キミシアのアニマのフリーオウから提示された最短ルートが『ニンバス』の手甲の端末を通り、彼女の電脳術師としての指が軽やかに踊り、各機に再計算して転送される。
一方は浮き羊を引き連れ踵を返し、もう一方は怪物の真っ向へと。
交戦と撤退を正面に構えて浮き足だち、撤退側を狙おうと武器を構えた瞬間に弾幕を放たれたあげくに、ダメ押しに離脱組の『エクセル=クロスワード』機に自らの装甲を拡散パージして視界を覆い隠され、動体範囲感知ソナーセンサーをソル機に狙撃されて獲物の半数が雲の向こうにかき消えた。
「きゃるーん☆」
「テンペストおっ!」
銃口は辛うじてランジェリー達の方角を向かうも生身のヴァイレスの目玉は感情を揺さぶられる魔法波動に幻惑され、仕掛けてきた『エティア・アルソリア』と『カーディナル』が二人の魔法杖を合わせて出来たダブルエスバイロ魔法陣に体が浮き立ち飛行を乱す。
やがてエスバイロ達は雲海の飛び魚となり周囲を廻り、包囲を狭まれメカヴァイレスはその行方の定まらぬ機動性を互いにぶつけ合い、もつれ合う様に一つに絡まるメカヴァイレス目掛けてニンバス機が新たに魔力陣を形成してフタをする。
メカヴァイレスの体内腐蝕がより進行して装甲が一枚、また一枚とはがれ落ちたところの逆鱗がはみ出た瞬間目掛けてキミシアがエスバイロから飛び出しナックルで態勢を崩したメカヴァイレス達を乱発殴打して一つの場所にまとめる。
『クロカ』と『ミクシィ』がエスバイロの装甲上に躍り出て愛剣を鞘走らせた。
刀身が気を帯びて紅に燃える。
「はあああ……デュエル……!!」
「つぁあっ!! ブラッディあーーっ!!!」
「今!!」
「かたじけない、まさに千載一遇!」
和風兜エスバイロからメカヴァイレスの集団へと跳ぶヨモツ。
「風よ嵐よ、稲妻よー!!」
圧巻の連携連動迅雷轟雷、雷電の斬断絵巻。
「めぇー、めぇー。ささ、アナタ達はこっちに……」
カーディナルにつられて鳴こうとした浮き羊達が、しーっと指先を立てるカーディナルを見て揃って前足で口を隠した。
◇◇◇ー
「後詰めの心配はなさそうだな、エクセル」
ソルはスナイパーライフルのターゲットスコープから目を離した。
「エクセル?」
「それはつまり、前衛に援軍が集中するかもしれないって事だな」
「まあ……な。俺達はとどのつまり、故郷の帰り道から、あいつらの待ってる戦場の帰り道に戻るだけで、いつものあれだ」
「了解、色々仕入れとくとするさ」
「あの、それって、つまり!!」
たまらず、ランジェリーが二人のブリーフィング通信に割って入り、ソルとエクセルが目を丸くする。
「私達を助ける為に残った皆さんが、今度は危ないって事になりますよね」
ソルが舌打ちし、エクセルがしまったと自分の口を塞いだ。
「あー、その……。なんだ、ほら。あれよ」
「あのヴァイレスは人造兵器です。前例はありませんが組織的な勢力の可能性は高い。そうですよね?」
ランジェリーの的確な解析にソルがこめかみを押さえた。
「待て……。いや待ってくれ。せっかく助かったんだぜ? それでいいじゃねえか。自分が何を言おうとしてるか分かってるか?」
「分かっています。自分の使命を」
ランジェリーがソルの言葉にキッと噛みつく。
「たはは……。こりゃ一本取られたかな?」
「民間人が屁理屈を言ってんじゃねえ!!」
ソルがコンソールに拳を叩きつけた。
「自分の命を粗末にするな、これはシミュレーションでも遊びでもねえ。分かれよ。こちとら命がけの戦争に体を張ってんだ」
「ごめんなさい。それは分かってます。ワガママなのも。それでも!」
ランジェリーは引かない。いや引けない。
「私も探求者です! 助けに来てくれた仲間の命の危機に装備を整えて戦います!」
(プラン外のイレギュラーだ。許せよ、茶会の皆)
ソルはランジェリーから目を離してエクセルに送っていたランジェリーのパーソナルデータを再確認する。
エクセルは既に苦笑いで彼のオーダーにメールで答えていた。
「彼女はミクシィやヨモツ達と同じマーセナリーだ。予備のエスバイロと装備一式を彼女と、それから彼女の子供達にオペレーターに言ってオマケに手配してもらうとしよう。ちょっと秘策もあるしな」
かつての戦場に熱源反応が無数に減っては増える。まだ戦力はいる。
ソルは飛行中の浮き雲からバランスを崩す浮き羊の一匹をワイヤーアンカーで捕まえて固定して助けると、今日何度目かのため息をついた。
「天に迷える子羊ちゃんとは……、よく言ったもんだ。頼むぜ、ランジェリー」
「ヨモツと俺達を助けてくれ、お願いね。ランジェリーちゃん」
「ハイっ☆」
「チッ……動物に好かれるような性格してねぇが……しっかり付いて来いよ! オイ!エクセル、ランジェリー! そっちに行った羊の誘導頼む!」
戦士二人の嘆願にウサギな新探求者は輝く笑みで即答する。その表情は確かにススと傷と血で少し汚れてはいたが、その美貌が損なわれる事はない。
それと同時にカーディナルと残りの浮き羊達の姿がようやく追いついた。
「遅れてごめん、めぇー♪」
「カーディナルちゃん、俺達には羊語で話さんでオーケーよ?」
「あ、新しいです!? 羊飼い文明開化革命ですね☆」
『マジで?』
驚きのあまり思わず、その場の全員が声を重ねてしまった。
◇◇◇ー
真白い雲の波を突き破り、黒い機龍がいななく。
その大群に押し出されるように、討伐隊もクロカが先導した指揮隊列を組んで大空を旋回する。
ニンバスのエクステリアメルトでメカヴァイレスの逆鱗を包むエスバイロの装甲と武装を剥がし、
エティアのテンペストがその注意を惹き付け、
愛機から舞ったキミシアが、メカヴァイレスの四肢を拳撃で乱れ打つ。
「はい、キミはこっち向いて? で、キミはそっち。うーん、もうちょっとこっちかな。
はいはい、押さないで押さないで、並んで並んでー♪」
バキバキどかっ、かあん、キーン♪
えげつない肉と骨を打つ音にミクシィは笑いこけ、クロカは青ざめつつ得物を構える。
無言でヨモツもその太刀筋を真似た。
「デュエル・ブラッディ!!」
三人がかりの赤い斬光が固まって逆鱗を剥き出しにした急所のそこに殺到し
激しい爆発を巻き起こす。
「ねね、さっきのすごいのもう1回できる?バリバリ、どかーんってヤツ」
キミシアが背中合わせにヨモツに問いかける。
ヨモツがふと見上げる。
キミシアも視線のその先を追う。雲一つなく照りつける太陽。
(あっちゃー。そういう事かあ……)
キミシアは得心が言った。あの無尽蔵とも思われた落雷の大技は、恐らくは雷雲を利用した禁断の武器・オーパーツの裏技によるものだったのだろう。
「今は天の利の加護が無いとおっしゃりたいのね」
「ふにゃあー!?」
キミシアを背中から抱き締めてスリスリ頬擦りしながらミクシィがため息をついた。
爆発の向こうでメカヴァイレスの姿が更に無限とも思われる数で、その影を現す。
クロカが手のひらに拳を打つ。
「このままじゃ、じり貧ってわけか。やくいな」
ニンバスが機内で爪を噛みながら、イライラと指でコンソールを空鳴りさせて戦況を睨み付ける。
(メカヴァイレスには勝ってる。
ただし頭の悪い、今回の物語の作者は数で押し負けさせようとしている)
画像をスライドさせて皆のプランを次々と速読する。
(この状況で、わたし達に足りないものは何だ?
何か、怪しいものを見落としてる?
だとしたら、それは何だ?何だ?)
ニンバスの頭にふと閃く結論が電灯となり光輝いた。
「ガスト、
おまえが思う
一番怪しくない
と思うところをわたしに教えろ」
彼女のアニマが各種センサーを通して答えを届ける。
ニンバスの口許に抑えられない笑みが浮かぶ。
センサーに何も捉えられない空域のイレギュラーポイント。
この世にあるはずなのに感知できない事象、完全なる異常であり完全なる正常。それこそが今回のゴールに違いない。
◇◇◇ー
「私は」
「アナタの使命は……なんですか」
「生きて守る為に……戦う事……です。
あ、アナタと同じです」
幼いランジェリーの頬に朱が一面に飛び散る。彼は懐から刀を取り出し彼女に手渡した。
「は、はい……」
「僕の刀と対になる刀です。持っていて下さい」
(どうしよう、私達はまだ子供なのに、この子はこんなにも年下なのに)
胸の鼓動が抑えられない。そしてそれを今失うのには耐えられない。
それでもお互い戦場を背負う身。
ワガママは許されない。
伸ばした手が虚空をさ迷う。
「私はまだ、子供でこんなにも悩んで迷ってばかりで」
「迷うことは考える事です。本当はアナタも、アナタだからこそ、それをたくさん分かってます」
「だから、それをキミが言うのはズルいんだぞっ……!」
「だ、だって僕は……」
「分かった。私も迷う勇気を持つ」
「……!」
「だからキミも、もう迷わなくていいよ」
ランジェリーは彼をかき抱く。
うつ向く彼がポツリポツリとすすり泣く。
結局ランジェリーももらい泣きをしてしまう。
二人の涙に促され夜の空も泣く。
◇◇◇ー
「っっー!! きゃあああああーーっ!! い、いやああああーーっ!!!」
ランジェリーの絹を裂く乙女の悲鳴。
「エクセル、最低っ!!」
「んぎゃあ!?」
カーディナルが後ろを歩いていたエクセルに平手打ちを見舞う。
「ち、ちょっと待てよ。カーディナルちゃん。キミの前を歩くランジェリーちゃんが叫んでんのに、何でキミの後ろを歩く俺が張り倒されるんだよ!?」
「あら? そう言えばそうなの。どうしたのなの、ランジェリー?」
「うわあああ、そうかそうか、どうしよう。
あの子絶対あの子だよおお!
何で忘れてたの私い!?
もう、いやああああーーっ!?」
「やっぱり何となくエクセルが悪いという結論に達したからもう一回ひっぱたいておくの」
「い、いやああああーーっ!? まず、何となくってなんだーーっ!?」
「イレギュラー三昧か……。
クロカのやつ、絶対嫌がりそうだなあ……」
ぱあん!
「あは、いてえ!?」
閑話休題。
◇◇◇ー
「あああもう、やっちゃった、やっちゃった!
やらかしたわ私もう、いやああああーーっ!?」
「頼むランジェリーちゃん。お願いだから、もう帰ってくれ」
「エクセル、往生際が悪いの」
「ちーがーうって言ってるじゃんか」
「静かにしろ、お前ら!
ったく、状況分かってんのか?」
『はい……』
ソルが一喝し、三度の嘆息のうち観測ソナーの範囲を凝視する。
メカヴァイレスのおびただしい残骸が背景にある。
だがクロカ達が見当たらない。
しかして彼ら個別の生体シグナルの点灯している座標軸に彼ら自身がいない。
「クロカーっ! ミクシィーっ! エティアーっ! キミシアーっ! ニンバスうーっ! ヨモツうーっ!」
カーディナルがいよいよ血相を変えて通信機に叫ぶ。
顔を赤から青に変えて、ランジェリーが刀を握り締める。彼の刀を。
◇◇◇ー
ヨモツが一歩一歩クロカ達に近づく。
ヤツは、黒幕は待っていた。
メカヴァイレスの巣で。時空の歪みの扉の向こうで。
この世の最悪として。
「やろう、どんなトリックを使いやがった……」
「目を覚ましなさい、ヨモツ君!」
「ど、どうしよう……」
宙に空いた時空の歪み。
その向こうに奴はいた。
ヴァイレスの巣を陣取り、空賊のエスバイロを埋め込む悪魔の工場に。
「お初にお目にかかる、我が名はエスカルゴ。
空賊にして教団の幹部、そして祝え。
我こそは今日より名誉教祖」
ローブの男はそう、嘯(うそぶ)くとランジェリーの喉元にナイフを突きつけたままヨモツに小石を投げる。
「何をモタモタしている。
この役立たずめ。早く連中を始末しろ」
ヨモツの眼光が燃える。刹那の凶刃をクロカとミクシィが愛剣で止める。
本来のエスカルゴは自らのアニマを横抱きにして薄ら笑いを浮かべている。
「ヨモツ君に何をしたの?」
「くくく、心を覗いてやれば初陣の新兵ではないか。その割に、たいそう目をかけているな」
「うそ、ヨモツ君が新兵?」
「う、初陣だったってのか」
エスカルゴは、かんらかんらとよく笑う。
「おうとも。
そこもとの坊やは生まれたての探求者の卵よ。
おそらくこの女の危機を聞きつけて師のところから無断で飛び出したのであろ。二つの世界をまたにかけた、この私に敵うものなぞ何もない!
まして、人を斬った事もない探求者風情には……な」
見合わせたクロカとミクシィは笑った。
「?」
「それを聞いて安心しましたわ」
「最初見た時はいけすかない厨二病侍かと正直思ったが……」
「私達は!」
「絶対こいつを、ヨモツとランジェリーを助け出すことに決めたぜ!」
一閃。
赤と稲妻の刃が交差する。天には雨と稲妻が最後の戦いの舞台を演出した。
◇◇◇ー
刀の阿修羅と化したヨモツの高速剣技を代わる代わる受け止めるクロカとミクシィ。
「助けてヨモツ君!」
ランジェリー……!
エスカルゴにナイフを突き付けられ叫ぶランジェリー。甲冑の下で絶望する。絶叫する。
なぜ、そなたが、アナタが。
どうしてこんな事に。
このままでは僕は父のように、母のように、愛していた民草のいた大地とともにアナタさえ失うと言うのか。
運命のあの日、あの時のように。
そんなの嫌だ。あんまりだ。
もし、やり直せるのなら。
「ヨモツ!」
「ヨモツ君!」
「キー君!」
あの愛しき世界に帰りたい。
皆のいた世界に。
ああ。
ああ。
あああそうさ、帰れるとも。
その方法ならある。
聞いた事がある。
世界の生まれ変わり。
大転生。
そう、それは完全なる破壊にして絶対の再生。
無限の幻想にして、
絶対真実のカタストロフ。
我が神の教え。我こそは教団の使徒。
我が名はヨモツ-
「キー君の……」
キヨマ……サ?
キー君?
「バカああああっ」
上空の新品エスバイロから落ちる白い稲妻。
それは、囚われているはずの彼女?
「ま、そういうこった。
クロカ、ミクシィちゃん☆ おまたせ♪」
エクセルの投げた救急キットを受け止めるクロカとミクシィ。
ランジェリーの稲妻の一太刀を受け止めるヨモツ。
その純白の電撃が刃を通じて全身を包み込むと、彼はガックリと膝をついた。
ランジェリーが倒れる彼を全身で受け止める。
「キー君! 私はここだよお!」
「ランジェリー……ラン姉ちゃん?」
「そうだよお! 助けにきたよお!
もう何してるのよお!しっかりしてよ、
私の羊毛津清正(ヨモツキヨマサ)あ!」
ヨモツの兜が割れ、幼い少年の顔が現れる。頭には羊の角。
彼は羊のケモモだったのだ。
脂汗を流してジリジリと後退するエスカルゴ。
ランジェリーに化けていた彼のアニマも慌てて姿を消す。
中身が空になった救急キットを棄て、回復したクロカとミクシィが骨を鳴らしながら立ち上がると剣をエスカルゴに突き付ける。
「さてと、覚悟は当然決まったよな?」
「お茶でもかぶって反省しなさいってトコロかしらね♪」
「あんたに俺らは……」
『止められないぜ!!』
クロカ、ミクシィ、ヨモツ、ランジェリーの4人同時に放つデュエル・ブラッディ。
赤の剣圧の光の嵐がエスカルゴを消し飛ばしたのだった。
◇◇◇ー
「ここだ、もうここ以外考えられない」
ニンバスは時空の歪み側にいるアニマのガストに、そろそろ到着するであろう。
ソル達へここの、この世界の座標軸と新プランを送信させて。
対峙するエスカルゴをクロカ達に任せて避け、別行動で潜入していたメカヴァイレス工場の自爆システムを起動させた。
暗黒のメカニックエリアが火柱に包まれる。
◇◇◇ー
「あなたたちにもカワイイ魅力を教えてあげるわ!
きゃる~ん☆テンペスト!
って、こっち来たー!?
ふ、私の魅力にめろめろのようね。でもゲテモノはお断りなの、ごめんなさいね!」
ヨモツ達の戦闘に介入しようとする新手のメカヴァイレス達をまとめて幻惑して玉突き事故とドミノ倒しに果敢に持ち込むエティア。
エスバイロの操縦は自身のアニマに任せて大立ち回りを展開させている。
「……さぁ、踊りましょう
めぇー、めぇー。
エティア、今
……戻った。
ダンスはまだ続いてるわね……
ロンドロンド……ポルカは早い……せっかちは嫌われる。
アンコールは無いわ。
あるのは貴方達のグランドフィナーレ」
「あ、おかえりー♪ めぇー、めぇー?」
「フフフ、ジツハシャベレルノモ、イッピキクライ、イタリシテ?」
『マジで?』
「コンカイハヒミツデス、めぇー♪」
エティアの魔術詠唱に合流参加したカーディナルが、連れてきた浮き羊達を媒介して増幅詠唱をかける。
角を光らせた浮き羊の大群があたりを取り囲んで円陣を空で組み上げて、そこから新魔法陣を光線を繋げて生み出す。
二人の魔法少女が大羊魔法陣の上で舞い踊る。
それに習い羊達も天に踊る。
踊る魔力の大舞踊の最中に影響下のメカヴァイレス達は、終わらない感覚思考混乱の中、お互いを狙って一斎に武器弾薬をまとめて撃ち込み爆発四散した。
◇◇◇ー
「みーつけたー。ははあ、これがニンバスの言ってた……しかし、なんか何だか、あれだにゃあ……」
同じく別行動組のキミシアが巨大な機関部に到達する。
工場のトイレに、やけに巧みに偽装しているが、キミシアの皆のいる世界に自由に往き来する為の時空の歪みの扉を開く試作型相転移ゲートだろう。
すれ違う護衛のメカヴァイレスを急所を打って転倒させて、キミシアは段取り通りに手にした携帯信号弾を空に発射させた。
◇◇◇ー
「クソ……臭ェ害虫が……こっちに集(たか)って来やがった……!」
ライフルのスコープ越しに近寄るメカヴァイレスの逆鱗を
ソルがスナイパーライフルを連射して漏らさず撃ち抜く。
時空の歪みの向こうに仲間がいる。
彼らを待っている。
ニンバスから送られた新プランには、潜入した彼らがメカヴァイレスの大元を破壊し脱出した瞬間にキミシアが見つけた転移ゲートの狙撃依頼が明記され、時空の歪みを抹消して新手を未来永劫封印するというパーフェクトプランだった。
キミシアの信号弾からゲートの位置は確認した。後は……。
後ろでアニマがクスクスと笑う。
「何か言いたそうだな、『クロウ』」
『うふふ。あんさんもいつか、あの子達みたいに素直になれたらいいなと思うたんよ』
「ほっとけよ」
『! 来たで、皆や!』
「了解!
焦らしやがって、かなり待ってたぜ!!」
時空の歪みから浮き羊と仲間達のエスバイロが次々と飛び出す。
それを確認するとゲートに向かい、ソルは引き金を引いた。
完全に消失した時空の歪みとメカヴァイレスの反応を確認すると、探求者達は世界的な歓声に包まれたのだった。
◇◇◇ー
祝勝会を兼ねたミクシィの開催する探求者の茶会に気まずい沈黙が満ちていた。
中央のテーブルでは真っ赤になったドレス姿のランジェリーの隣に、鎧を脱いだ幼い羊ケモモ少年ヨモツがこれまた真っ赤になって座っていた。
「うんうん♪ それからお二人はどうなったのかしら?」
ミクシィが自分の胸元でごろにゃんするキミシアの喉元をくすぐりながら、ソファで足を組み、ウィンクで二人に続きを促す。
「わ、私は浮き羊のあの子達と牧場で色んなことを話ながら育てるのが日課で、お忍びでキー君が羊ケモモの頭を利用して潜り込んでストーカーしてる事知らなくて」
「だ、だからあれは誤解で!
前も言ったと思うけど、ストーカーじゃなくて昔からの遊び場で昼寝してたら勝手にラン姉ちゃんがペラペラと何だか嬉しそうに変な歌を歌いながら」
「か、勝手って何?変な歌って何?
それって、あんまりだよね?」
「その必死な姿が可愛くて、あの夜僕は……眠ってるラン姉ちゃんに……」
「バカあああっ!! キー君のバカバカバカあっ、最低最低最低っ!
調子に乗って何で素直にあの事まで話そうとしてるの!?」
「だ、だってこうなったら迷惑かけたし包み隠さず皆に全部話そうって、ラン姉ちゃんが」
「全部って、そういう事じゃないの!
私達の家柄とか特技とかまだまだいっぱいあるでしょおお!?
もう信じられないい……っ!!」
「ははあ、一生懸命で天然さんで空回りしてるランジェリーちゃんにもヨモツ君は」
「だ、大好きで……、だ、だだだから夫婦の契りとしての刀を恥ずかしがる彼女に……」
「いやああああーーっ!」
あなたの嫁の空に今日も無限の祝福のあらん事を。
天に迷える子羊達は、もうその迷いを恐れない。
<了>
依頼結果
大成功
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依頼相談掲示板
【隠れた真実】天に迷える子羊達 依頼相談掲示板 ( 47 ) | ||
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[ 47 ] ソル・グラディウス
ドワーフ / スナイパー
2017-07-03 02:17:28
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[ 46 ] クロカ
ヒューマン / マーセナリー
2017-07-03 01:52:19
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[ 45 ] エクセル=クロスワード
ヒューマン / マーセナリー
2017-07-03 01:24:38
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[ 44 ] エクセル=クロスワード
ヒューマン / マーセナリー
2017-07-03 01:20:37
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[ 43 ] エクセル=クロスワード
ヒューマン / マーセナリー
2017-07-03 01:17:09
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[ 42 ] エティア・アルソリア
デモニック / 魔法少女
2017-07-02 23:45:29
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[ 41 ] エティア・アルソリア
デモニック / 魔法少女
2017-07-02 23:30:35
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[ 40 ] エティア・アルソリア
デモニック / 魔法少女
2017-07-02 23:27:45
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[ 39 ] カーディナル
デモニック / 魔法少女
2017-07-02 22:40:33
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[ 38 ] カーディナル
デモニック / 魔法少女
2017-07-02 18:13:35
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[ 37 ] キミシア
ケモモ / アサルト
2017-07-02 17:13:17
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[ 36 ] ミクシィ
デモニック / マーセナリー
2017-07-02 11:58:29
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[ 35 ] ミクシィ
デモニック / マーセナリー
2017-07-02 11:54:37
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[ 34 ] ミクシィ
デモニック / マーセナリー
2017-07-02 11:52:23
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[ 33 ] ミクシィ
デモニック / マーセナリー
2017-07-02 11:50:22
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[ 32 ] キミシア
ケモモ / アサルト
2017-07-02 00:42:19
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[ 31 ] クロカ
ヒューマン / マーセナリー
2017-07-01 22:36:18
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[ 30 ] ソル・グラディウス
ドワーフ / スナイパー
2017-07-01 16:33:28
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[ 29 ] エクセル=クロスワード
ヒューマン / マーセナリー
2017-07-01 05:12:56
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[ 28 ] エクセル=クロスワード
ヒューマン / マーセナリー
2017-07-01 05:09:24
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[ 27 ] エクセル=クロスワード
ヒューマン / マーセナリー
2017-07-01 04:42:05
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[ 26 ] エクセル=クロスワード
ヒューマン / マーセナリー
2017-07-01 04:38:18
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[ 25 ] エクセル=クロスワード
ヒューマン / マーセナリー
2017-07-01 04:31:28
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[ 24 ] カーディナル
デモニック / 魔法少女
2017-06-28 22:46:49
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[ 23 ] ニンバス
ドワーフ / ハッカー
2017-06-28 15:34:53
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[ 22 ] クロカ
ヒューマン / マーセナリー
2017-06-27 23:51:09
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[ 21 ] エクセル=クロスワード
ヒューマン / マーセナリー
2017-06-27 20:52:35
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[ 20 ] エクセル=クロスワード
ヒューマン / マーセナリー
2017-06-27 20:49:29
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[ 19 ] ミクシィ
デモニック / マーセナリー
2017-06-27 20:46:21
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[ 18 ] エクセル=クロスワード
ヒューマン / マーセナリー
2017-06-27 12:23:19
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[ 17 ] クロカ
ヒューマン / マーセナリー
2017-06-27 01:07:02
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[ 16 ] エティア・アルソリア
デモニック / 魔法少女
2017-06-26 23:50:02
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[ 15 ] エティア・アルソリア
デモニック / 魔法少女
2017-06-26 23:45:03
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[ 14 ] エクセル=クロスワード
ヒューマン / マーセナリー
2017-06-26 21:48:48
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[ 13 ] エクセル=クロスワード
ヒューマン / マーセナリー
2017-06-26 21:47:19
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[ 12 ] エクセル=クロスワード
ヒューマン / マーセナリー
2017-06-26 21:45:56
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[ 11 ] キミシア
ケモモ / アサルト
2017-06-26 07:36:06
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[ 10 ] ソル・グラディウス
ドワーフ / スナイパー
2017-06-26 00:06:37
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[ 9 ] クロカ
ヒューマン / マーセナリー
2017-06-25 22:00:24
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[ 8 ] カーディナル
デモニック / 魔法少女
2017-06-25 21:54:45
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[ 7 ] クロカ
ヒューマン / マーセナリー
2017-06-25 21:53:24
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[ 6 ] エクセル=クロスワード
ヒューマン / マーセナリー
2017-06-25 18:53:08
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[ 5 ] エティア・アルソリア
デモニック / 魔法少女
2017-06-25 18:37:21
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[ 4 ] ニンバス
ドワーフ / ハッカー
2017-06-25 18:28:24
|
||
[ 3 ] カーディナル
デモニック / 魔法少女
2017-06-25 18:08:05
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[ 2 ] エクセル=クロスワード
ヒューマン / マーセナリー
2017-06-25 17:55:12
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||
[ 1 ] ミクシィ
デモニック / マーセナリー
2017-06-25 17:10:51
|