プロローグ
君たちは、ブロントヴァイレス討伐の最前線……では無いが、討伐における重要な箇所について戦っていた。
そんな中、君たちの目の前に一組のカメラクルーが倒れていることに誰かが気がつく。
「す、すみません、助かりました……」
ここは、倒れていたところからほど近い診療所。しかし、この混乱で診療所に人はおらず、ベッドに寝かせているだけの状況である。
君たちが助けたこのカメラクルーは、とある民間放送局の報道チームで、今回のブロントヴァイレス討伐を最前線で撮影しようとしたところ、戦闘に巻き込まれ負傷してしまったようだ。
「わ、私たちが…… ブロントヴァイレスの状況を…… 戦況を伝えなければ……」
そういうのはこのカメラクルーの代表、ディレクターのマコー。
しかし、そう言いながら起き上がろうとすると激痛が走る。
他のカメラ、音声、レポーターも、撮影に参加することが出来ない状況である。
「す、すまないが、私たちの代わりに、ブロントヴァイレスの様子を撮影してきてくれないか……?」
マコーを初めとして、撮影クルー一行が、君たちに頭を下げる。と言っても、ベッドに横になっているのだが。
「この番組を見ている、人々のために、ブロントヴァイレスの様子や、この都市の様子を、リポートしてくれないか……!」
そう言って、マコーたち一行は、君たちに撮影機材一式を託し、正式に君たちに依頼をするのであった。
解説
皆様には、撮影クルーとなってブロントヴァイレスの今の様子や弱点、戦地となっている都市の様子を報道して頂きます。
しかし、そのためには、元々の撮影クルーから道具の使い方を聞かなければなりません。が、彼らも襲撃を受けて満足に動けない状況です。彼らを看病してあげれば、撮影の仕方を教えられるぐらいには回復するのでは無いでしょうか。
撮影クルーは
カメラ:イッシー(足を負傷)
マイク:コーイチ(腕を負傷)
レポーター:イッペー(ショックで声が出なくなっている)
ディレクター:マコー(全身打撲)
の4人。
そして、撮影の仕方が分かれば後は、ブロントヴァイレスの様子などを撮影です。スパイ活動、偵察の要領で、気づかれないように撮影をしなければ、襲撃を受けた撮影クルーの二の舞になりかねません。しかし、上手く撮影することが出来たら、ブロントヴァイレスの弱点が分かったり、主力部隊がブロントヴァイレスを倒す瞬間なども撮影できるかも知れません。もし、倒す瞬間が撮影できれば視聴率はうなぎ登り、感謝されることも請け合いです。
より安全に撮影するためには、護衛となる人も必要かも知れません。ブロントヴァイレスの攻撃の流れ玉が来るかも知れませんし、この混乱に乗じて現れた盗人なんかもいるかも知れません。
荒れ果てた都市の様子も、撮影しておくと良いかも知れません。自分たちがいた都市のことを知りたい、と言う人も多いでしょうから。
ゲームマスターより
皆様、お初にお目にかかります。おじやしげきと申します。以後、よろしくお願い致します。
さて、皆様には今回、民間放送局の臨時撮影クルーとして、ブロントヴァイレスと戦っている戦地のリポートをして頂きます。
リポートと言っても、偵察、と言って良いかもしれません。ブロントヴァイレスの様子だけでは鳴く、都市の様子など、様々なことをリポートできるかも知れません。
それでは、皆様の渾身のリポート、お待ちしております。
【隠れた真実】リポート大作戦! エピソード情報
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担当 |
おじやしげき GM
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相談期間 |
10 日
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ジャンル |
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タイプ |
EX
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出発日 |
2017/7/6 0
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難易度 |
普通
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報酬 |
通常
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公開日 |
2017/7/16 |
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鶉
( ×- )
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ヒューマン | スパイ | 19 歳 | 男性
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カメラ担当。 まずはイッシーの応急処置。 ×-の助言を受け、水で冷やしつつ手近な物を添え木代わりに血流が止まらぬよう注意し固定。 血流集中で腫れ痛みが酷くならぬよう、足を上げた姿勢で寝かせる。 イッシーが回復したら、大型カメラや乗車状態で取回す小型カメラ等の使い方と撮影のコツを(アニマとカメラのリンクのさせ方含め)教わる。 取材時は教わったやり方を参考に撮影。事前の攻撃班へのインタビューや街の様子撮影から、ブロントヴァイレス撮影の流れ。 大ネタとして、単騎でブロントヴァイレスへの超接近撮影を試みる。 ×-の分析で周囲の気流を読み、それに逆らわず乗って近づく軌道で適時サイレントムーブを使いギリギリまで接近し、逆鱗を捜索・撮影後離脱。 これについては、後でアテレコでレポーターの声を入れてもらう。 以後は攻撃班の邪魔にならぬよう注意しつつ、彼らの戦いを撮影。 空賊などの邪魔は随時排除。
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愛嬌を振りまきつつリポーターを務め、視聴率を引き上げる。なるべくブロントヴァイレスには近づかないよう立ち回り、必要とあらばクラススキルを用いて味方を援護する
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撮影クルーの治療に必要なものを集めに奔走。機材の使い方を出来るだけ簡単に教えてもらう。マイク器材関係を一手に運ぶ。聞き耳を立て人の声、足音、聞きなれない変な音に注意し、その音の方に向かって犬猫がするような警戒動作に入り、狩猟のごとく獲物に音、気配を消し近づく。邪魔な瓦礫等進路を塞ぐものをお得意のパンチで除去もする。時々フレームに入り込み心霊映像に間違われる。ブロントヴァイレスを食べることが密かな目的で味、匂いの情報を得ようとする。
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不思議な力で撮影クルーの看病…。ディレクターから「ま、何となるよ」と行雲流水のすべを学ぶ?始めは倒壊した都市の実況。徐々にブロントヴァイレスに近づきながら民間人、兵士、探究者に事情や何があったかブロントヴァイレスの印象をインタビュー。ブロントヴァイレスの戦闘をまず遠くから、実況し、近くの探究者に解説してもらう。戦闘に近づき攻撃の威力を実況。流れ弾や瓦礫の降雨から不思議な力でカメラ、マイク等機材はしっかり保護しつつ、リポーターやスタッフに対しては無関心を装いながらさりげなく保護。リポーターや探究者に無茶ぶりを入れたり、ウフフなシーンをちょいちょい入れる。グロテスクなシーンや放送禁止のシーンは不思議な力でぼやかす…。
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参加者一覧
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鶉
( ×- )
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ヒューマン | スパイ | 19 歳 | 男性
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リザルト
「えっと、これに、これと……これ、かな?」
『simple』は、傷ついたクルー達の治療に必要なものを集めていた。
「止血用の布に、添え木は……クンクン、ここら辺にありそうだなぁ♪」
その、自慢の嗅覚を使って必要なアイテムを確実に集めていく。
「あと、これは…… 何に使うんだろう……?
……まぁ、一部なにに使うのか分からないアイテムもあったようであるが。
様々なアイテムをその手に持ちながら、一行が待つ診療所まで急ぐ。
simpleが、両手いっぱいにアイテムを持って診療所の扉を開ける。
そこには、病室のベッドに伏せている撮影クルー一向に、simpleの仲間達。
「……次は、ここをこうやって……」
「……ほら、水で冷やしてあげないと……」
「お、あ、こうか……?」
×-の指示に従いながら、『鶉』はイッシーの足を固定している。
「……おぉ、足が、動く……! 鶉君と、……ええと、×-君、で良いのかな? 本当にありがとう! ええと、カメラの使い方、だったね? まず、この大きいカメラは……」
そのカメラの使い方から、小さいカメラ、とその使い方をしっかりと勉強する。
「……私の講義は聴かないくせに、こういうのは聞くのね……?」
×-に愚痴られながらではあるが。
そして、この説明の集大成。
「ね、ねぇ…… これ、本当に映ってるの……?」
「おお、すごい…… ちゃんと×-と、カメラがリンク出来ている……!」
「ふむ、久々にやったけど上手く出来たな……」
アニマである×-とカメラをリンクさせ、上手く放送出来るようにセッティングされている。
コレで、カメラの使い方などは万端であろう。
「えーっと、これで、大丈夫、です!」
そう言って、自身の”不思議な力”で撮影クルーを治療しているのは、魔法少女である『online』である。先ほど、simpleが用意した食べ物を食べたりしつつ、自身の魔法によりクルーの回復に成功させる。
「……久しぶりに、しっかり寝た気がするよ。本当に、ありがとうね」
マコーは、onlineに対して感謝の言葉を述べる。
「それじゃあ、君に、わたしの全てを教えてあげよう。ディレクターの極意。それは……」
「そ、それは……?」
ゴクリ。思わず、固唾をのんでしまう。
「ガッツだ!」
その一言にガクッ、とこけそうになるが、マコーは至って真剣である。
「まぁ、その場の空気に乗って、上手い感じにやってけば大丈夫よ。感覚感覚。それで、大体上手くいくから。うん」
その適当な感じに若干の不安を感じつつも、その話自体は至極真っ当で。なんとなく、それで合っている、ような気がした。うん。そんな気がした。
(本番5秒前、4,3……)
「はーい! 今日は、ここ、戦地に近い市街地から、お送りします!」
『新田 佳奈』の、明るい声で、収録が始まる。愛嬌を振りまいて、放送はスタートする。
場は凄惨な状況であったが、可能な限り明るく、その撮影を進めていく。
イッペーから、なんとか聞き取った極意「視聴者を明るく、楽しませること☆」を胸に、レポートを進めていく。
「ここは、襲撃も受けておりますが、今は沈静化してきているようです!」
実際、この地域は戦線は通り過ぎているようで、この地域は静けさが支配していた。そんななか、一行はその様子を少しでも伝えるべく、一行はその足を進めていく。
「今は、この地域も落ち着いてきているようで、静かな空気が流れております! 注意しないといけないことはあるかも知れませんが、すぐに賑わいを取り戻しそうですね!」
人の声の聞こえない町中は少々不気味で、それでいて開放感が心地よい。
「それでは、この先に進んでみましょう…… ってえぇ?」
佳奈が変な悲鳴を上げたのは、この街の様子がおかしかったわけではなく。
【じゃあ、とりあえず寝転んでみようか?】
その目の前に出ている、スケッチブックに書かれている文字にであった。
……それは、ほんの数時間前のこと。準備を進めている一行の中で、マコーはonlineを手招きしている。
「あー、ゴメンね。最後に伝えておかないといけないことがあったんだ……」
「伝えておかないといけないこと……?」
「そう、番組を成功に導くために必要な事…… それは、無茶ぶりだ!」
すこし、違う気もするが、まぁプロがそう言うのであればそうなのであろう。
そして、今。その言いつけをしっかりと守った結果。このようなカンペを用意していた。
無茶ぶり、を真剣に考えた結果、このような形になったようだ。
ちなみに、マコーは「水着を着せよう」とか「落とし穴を用意しよう」とか思っていたようであるが、さすがにそれは却下された。この人は町中レポートをどう考えていたんだろう。少なくとも、普通の街ロケでは無い。
「……これは、本当にこれで良いの?」
マイクを構えながら、その不安をsimpleは独りごちた。レポート中に、レポーターが、何に脈絡も無く地面に横になる……。
その場は、なんとなく面白いかも知れない、しかし、視聴者は楽しめるのだろうか……。と言うことを少し考えていた。
「なぁ、これ、本当に大丈夫なのか……?」
鶉は、そのカメラを構えながら、simpleに話しかけた。
「アナタもそう思います……?」
カメラ、マイクの技術コンビが端からそういう話をしている。
(はい、カメラ回りまーす。5,4,3……)
「はい、今度はこちらに来ております!」
この台詞を見る限りは、ごくごく普通なレポートのワンフレーズ。
「地面は、太陽で熱せられて、少し熱いです……!」
本当に、地面に寝ているという状況以外は。
「……凄く、シュールです……」
自分の指示でやらせたとは言え、あまりにもシュールなその光景に少々困惑するonline。まさかこんなにシュールになるとは。
「さぁ、次はここを見てみましょう!」
やってみて、逆にテンションが上がっているのは佳奈であった。普段は出来ないような経験をしている、と思ったら気持ちが高揚してきているようだ。慣れって怖い。
結果、凄く笑顔で撮れているようだ。服が汚れてしまっているのは致し方無い。
一行は、このまま戦地に向けて足を進めている。
徐々にブロントヴァイレス、戦地に近づいていく。近づくにつれその被害は激しさを増し、兵士達の姿もちらほら見えてくるように。その様子も、くまなく映像に残していく。このような状況にも、目を背けてはならない。そう、考えた結果であった。
目の前に、一人の兵士が通りかかる。ここで、一人に話を聞いてみよう、となるのはごく自然な流れなのかも知れない。
「それでは、話を聞いてみましょう……!」
onlieが、自らマイクを持ち、アナウンサーよろしく周囲の兵士に対してマイクを向ける。
「今、ブロントヴァイレスはどういう状況ですか?」
「ん……? なんだ……?」
突然現れたカメラクルーに怪訝な顔をする兵士であるが、そのカメラの様子をみて、何かに気づいたようだ。
「あぁ…… そういえば今日、取材が来るって言ってたっけ……。」
全てを察した兵士は、インタビューを応えるモードに入っているようだ。
「今、戦況は……?」
「そうだな…… 楽観視は出来ないが、そこまで悲観することは無いだろう。私たちが、確実にあいつを倒すからね!」
ナイスな笑顔を見せてくれる兵士は、その白い歯を見せながら親指を立ててカメラの前に見せてくれている。
「それでは、この戦いが終わったら、真っ先に何がしたいですか?」
佳奈も、続いてインタビューに参加する。満面の笑みで、より話しやすい状況を作りながら。
「そうだなぁ…… まずは家族でゆっくりと……(ゴガァァアアアアアア!)」
インタビュー中に轟くのは、ブロントヴァイレスのうめき声。
「ちっ…… もうか…… すまないな、行ってくる!」
鶉が、そのカメラを向けようとしたときには、すでにインタビューをしていた兵士はそのうめき声の元に向かってしまっていた。
「よし、追うぞ!」
その一言と共に、一行はその先へと足を進めていく。
戦闘地域に入っていることもあり、粉塵や衝撃、流れ弾などが襲ってきているが、それはonlineの不思議な力によってかばうことが出来ている。
また、その道中にある瓦礫などの邪魔なものに関してはsimpleお得意のパンチによって無事全て排除。安全、とまでは言わないが少なくとも一行が進行する事に支障が出るような事は無かった。
「……さぁ、ブロントヴァイレスのところまでやって参りました……!」
佳奈の背後では、ブロントヴァイレスとの戦闘が行われている。
本当に、最前線に近いところに、一行は立っていた。
【ここからは、少々危険なのでカメラのみで行きます】
onlineの持つカンペには、そのように描かれていた。
ここから先は、4人全員で行くには危険すぎる、と言う判断である。また、カメラを担当している鶉には、この場を上手く撮影する手段があるのだと言う。
この部分を撮影した後、鶉と×-は早速撮影の準備に向かった。
「ここを、こう行けば、問題は無いかと思われます」
×-による周囲の気流分析を聞きつつ、適切なコース設定を考える。
実際に戦闘を行っている本隊に影響が出ないように、かつギリギリまで接近出来るコース。そのコースを狙っていた。
「……ここを行って、流れに乗れば……!」
そのコースを上手く進み、ブロントヴァイレスのすぐ近くにまで接近することに成功。手持ちの小さいカメラに、その様子を映し出していく。その映像は迫力満点で、それだけで見応えがあるものだ。
「弱点は…… ここ……!」
そのカメラの先にあるのは、ブロントヴァイレスの、逆鱗。そう、ブロントヴァイレスの、弱点である。
「いやぁ、みんな、本当にありがとう!」
戻ってきた撮影クルーに対して、マコー達が感謝の言葉を述べる。
「もらった映像をみんなで見せてもらったけど、本当に、上手く撮れていたよ! どうだい? カメラマン、やってみないかい?」
「音も、凄く聞き取りやすいよ! ここまで出来るなんて、すごいねぇ」
カメラ、マイクのイッシー、コーイチも一行の持ってきた映像に関して賞賛の声を上げる。
「あんなに可愛く、聞きやすくレポート出来るなんて……。私も、負けてられないね……!」
レポーターのイッペーに関しては、賞賛を通り越してライバル視するぐらいまでになっていた。
「ところで…… ここに映っているのは、何か分かる……?」
マコーは、一向にそう尋ねる。
「え、い、いや、なんでも無いんじゃ無いですかね……?」
onlineは、少々言葉を濁しながら、そう否定する。
それは、ほんの数時間前のこと。
「はい、一回カメラ止めまーす!」
onlineの一言で、カメラの赤いランプが消える。
それと同時に、撮影クルーは一回、カメラの周りに集まる。
カメラチェック。撮影したすぐの映像を確認し、問題が無いか、何か変な物が映ってないか、などをチェックする作業である。
このチェックも、大事なお仕事の一つであり、このお仕事を怠ると、大体変な感じになる。
「やっぱり、佳奈は可愛いですね!」
カメラチェックでの第一声。実際問題、可愛い。しかし、それを自分で言い切ってしまうところはその自信の表れなのだろうか。
「うん、思ったよりも上手く撮れてるな」
カメラマンの鶉も、上手く撮れていることに満足げである。
「……ん?」
そんな中、一人、違和感に気づいたものがいた。
「これ、何だ……?」
そこに写るのは、暗くてあまりよく見えないが、何か、人影のようにも、違う何かのようにも見える。
ひとつだけはっきりと言えるのは、その正体がなになのか、全く分からないという事である。
「ひっ! し、心霊…… って、やつ、ですか……?」
「うぉう! こ、これまた面白いものが映ってたんだな! しかし、気づかなかったとは……!」
3人が、口々にこの「謎の物体」に付いて話をしている。
しかし、その中に一人、その正体を知っている人がいた。
『あれ、ウチだよね……』
simpleは、心の中でそうつぶやいた。
何回か、カメラに映り込んでしまったような気はしていた。それが、はっきりと映り込んでいなかったのは幸いだったのか、それとも、こんな形で話題になってしまい不幸だったのか。
どっちにしても、この話題で正体を言ってしまうのも興ざめだと思い、simpleはその"真実"を、そっと自分の胸にしまい込んだ。
その後、このときの様子が放送されたらしいが、一部のマニアには「心霊が映っている!」と話題になったらしいが、それはまた別のお話。
依頼結果
依頼相談掲示板