【サンタ狩り】よい子の定義鳴海 GM) 【難易度:とても簡単】




プロローグ


●聖夜に臨むプレゼント

 その夜は雪が降ったなら特別、ホワイトクリスマスと呼ぶことにしよう、そう告げたのは誰だったか。
 最初に呼ぶことに決めたのは誰だったか。
 そんなことも忘れられてしまうほどに文明は衰退し、人々は絶滅の淵に追いやられている。
 だがそんな時こそ楽しみは必要である。
 たとえばクリスマスと言えばプレゼント。ケーキを食べて、御祈りをささげる。ヤドリギの木の下では……そんな根拠もない、誰が決めたかもわからない。ルールを、律儀に守るのはいつだって女子供で。
 君たちのアニマも同類なのだろう。
 この世界に直接触れられることは叶わないアニマ。
 そんな彼女たちとささやかなクリスマスを過ごそうというのが今回の主題である。

● 千差万別、聖夜の過ごし方。

 今回は皆さんとアニマの過ごし方について言及するシナリオです。
 皆さんはアニマに対してプレゼントを贈るのでしょうか。
 デートのようにどこかに連れ出すことはするのでしょうか
 今回は探究者がデートプランを考えてアニマを楽しませてあげてください。
 それに対してアニマはどのように反応するでしょうか。
 笑うでしょうか、喜ぶでしょうか。
 二人の距離を縮めるための絶好の機会です。
 是非ともご活用ください。





 


解説


目標 アニマと楽しいひと時を過ごす。
  今回は親密度をテーマにしたシナリオです。たまにはアニマと仲良くするのが目的なシナリオがあってもいいかと思い作成しました。
 今回は、探究者目線でまず、デートコース、スケジュールを立ててください。
 それに対してアニマがどう反応するかを同時に考え提出してみてください、素敵なデートの一コマとなる事でしょう





ゲームマスターより


皆さんこんにちは、鳴海でございます、今回はクリスマスをいかに過ごすかというお話ですね。
鳴海はボードゲームして遊ぶ気がしますが。皆さんはどうでしょう。
それではよろしくお願いします。



【サンタ狩り】よい子の定義 エピソード情報
担当 鳴海 GM 相談期間 4 日
ジャンル 日常 タイプ ショート 出発日 2017/12/30
難易度 とても簡単 報酬 なし 公開日 2018/01/10

 ヴァニラビット・レプス  ( EST-EX
 ケモモ | マーセナリー | 20 歳 | 女性 
(広告等でOPの煽り文句をを見て)
「クリスマスを決めたのが誰か…そういえば何も知らない」
「…イースターの事も、全然」

当たり前のように付き合ってて、いざお出かけとか、プレゼントとか言われると何をすれば喜ぶのだろうと
とりあえず着飾ったり、イースターにドレスのデータを購入してみたり
「…挫折した無様な姿が、なんてプレゼントはできないし」
そんなこと『自分が変態だと自覚しろ』と怒られるだけだろうし、など

結局ストレートに
「イースターの求めるようには生きられないし、これからも迷惑かけるかもしれないけど…いつもありがとう。頼りにしてる」
と。
恐らく
『これからも(無様な姿を)期待してます』
とか返されるかなと思いつつ
 真奥  ( 恵美
 ヒューマン | アサルト | 27 歳 | 男性 
まずは、バイトに命をかけて、ひたすらに仕事に打ち込む。
クリスマスどころか、年末年始だってシフト詰め。
人をさばいてさばいてさばきまくって、帰宅後に恵美と細々としたものでも、クリスマスパーティーをする。
照り焼きの大きさのターキー(を模したもの)だったり、ショートケーキまるくしたような大きさのホールケーキ(?)だったり、格安シャンパンだったりを用意して、二人で楽しむ。
恵美も、それで少しは喜ぶような形で、クリスマスを楽しむような話。



参加者一覧

 ヴァニラビット・レプス  ( EST-EX
 ケモモ | マーセナリー | 20 歳 | 女性 
 真奥  ( 恵美
 ヒューマン | アサルト | 27 歳 | 男性 


リザルト



●光に包まれた夜に

「クリスマスを決めたのが誰か…そういえば何も知らない」
 『ヴァニラビット・レプス』はとあるチラシを眺めながら、そう言葉をこぼした。
 壁に貼られているのはクリスマスを宣伝する文字と共にこんな煽り文句が書かれている。
『そんなことも忘れられてしまうほどに文明は衰退し、人々は絶滅の淵に追いやられている』
 それを寂しい思いをしながら脳内でかみ砕き、そして出てきた言葉がさっきの発言。
「……イースターの事も、全然」
 そうつぶやくと、ヴァニラビットは髪をなびかせながら、少しさきでこちらを睨んでいる相棒に手を振った、小走りで駆け寄り、そして目指したのが大型ショッピングモールである。
 二人は今日、年を越すための買い物をすべく訪れたのだ。

   *   *


「うーん」
 五分の間ヴァニラビットはそう唸りをあげている。
「うーん……」
 十分後。まだそのカフェ内の一角で。
「うーーーーーーん」
 二十分後。あまりに悩みすぎて冷や汗が出てきたが、ヴァニラビットはまだ答えを見いだせない。その惨状に『EST-EX』がやれやれと声をかけた。
「ヴァニラ……、便秘気味ならもっと早く言ってくれればいいのに。いい病院を紹介しましょうか?」
 その言葉にヴァニラビットは脱力し、同時に我に返った。危機感も覚えた。
「あのイースター。私は……どこから突っ込めばいいのかしら」
「その、回転が遅い脳みそのかわりに突っ込める物を探すのが先決だと思いますが?」
 そんな言葉をEST-EXから受けると、開いた口が塞がらなくなってしまったヴァニラビット。
 ヴァニラビットはいつも思うのだ。口では絶対敵わない。
「そう……うん。そうね、必要があったらあなたに見つけてもらうわ、脳みそのかわりになるもの」
「了解した、索敵を十分以内に終わらせる。あ……今日は貴方の好きな人参がやすいみたいよ。いかが?」
 ヴァニラビットはその言葉に引きつった笑みを返す。
(買いに行きましょうって言ったら。頭に詰める分も買うんですよ、なんて言われそうだなぁ)
 今日はやけに口が回る上機嫌なEST-EXをヴァニラビットは見守っていた。
(私は、あなたの事を考えていたのよ)
 口には出さない、伝わることが無いように思考する。
 彼女とは付き合いは長く、それなりの修羅場を一緒に潜り抜けてきた。
 けれどつかみどころがないのだ。自己主張が強いと思ってもヴァニラビットに声をかける時だけ、戦いのときはいつも一歩引いた場所にいる。
(ちがうなぁ、戦ってるときのこの子を知りたいわけじゃない)
 なぜ、いまさらヴァニラビットがそのように考えようと思ったかというと、それはクリスマス。
 記念すべき聖夜にお買い物やプレゼントはどうかそう頭を悩ませているのだが、一行にヴァニラビットが喜ぶ光景を思い描けない。
 目を細めて、喜んでるような攻撃的なような光を目に讃え、足を一歩踏み出して腕を組んでいる、そしてなぜか上から目線でこちらを眺めている。相棒の姿は簡単に思い浮かぶのに。
 これは一体どういったことだろう。
(あ、もしかして)
 その時、妄想の中のEST-EXが勝手に動き始めた。穏やかに微笑みながらヴァニラビットに告げる。
「私が本当にみたいのは……」
 やけにしつこいエコーを響かせながらEST-EXはゆったりと告げた。
「あなたの無様なすが……」

「イースター!」

 立ち上がるヴァニラビット、声が大きかったのだろう、カフェの店内でこちらを見ていない客がいなかった。
「どうしたんですか?」
 EST-EX以外。
「自らこのカフェテリアにいる人々に話題を提供しようと? 素晴らしい行いですので、ぜひご勝手に」
「そうじゃなくて!」
 ヴァニラビットはいつものEST-EX問答を振り切って告げた。
「これからデートしましょう」
「…………はい?」
 顔を赤らめるEST-EX。
 そんな彼女を見て、ヴァニラビットはやっぱりと思った。
(そうね、実際行動してみないと、この子の欲しいもの、喜ぶものなんて見つけらえない。がんばろう)
「え? ヴァニラいったいどこへ」
「まずは服屋さん」
 EST-EXを引き連れ向かった先はアニマ専用のドレス店。
 展示されている衣装をデータに変換してくれるお店で、アニマは気軽に試着できる。
「少し格調高い気が……」
 EST-EXが遠慮がちにそう答える、今EST-EXは映画のヒロインの様な黄色い煌びやかなドレスを見に纏っていて、それはたいへん似合っていた。
 他にも、彼女の髪色と同じドレスは蝶があしらっており、少女的な可愛さを振りまき。
 流れるような青いドレスを着せれば、知的なイメージがさらに強まった。
 ヴァニラビットは半ば自分の目的も忘れてEST-EXを着せ替え人形にする。
「あの、ヴァニラ?」
 どすの利いた声を発するEST-EX。それに背筋を跳ねさせるとヴァニラビットは定員さんに、どれが似合ってましたか? なんて聞いてお茶を濁した。
「他の服も見てくるから」
 そういったんEST-EXから離れて平常心を取り戻そうとするヴァニラビット。
 胸に手を当てて深呼吸した。
「ドレス、たぶん喜んでる、これで大丈夫」
 ヴァニラビットは安堵のため息を漏らす、何故ならもしこの喜ぶもの探しが失敗した場合。最悪なプレゼントを用意しないといけなくなる体。
「……挫折した無様な姿を、なんてプレゼントはできないし」
 ヴァニラビットはEST-EXに隠れて財布の中身を確認。いけると判断してEST-EXの前に姿を現した。
「似合うよ、可愛い」
「着ていく場所が無いんですが……」
 たしかに、そう思いもう少し落ち着いた、社交界向けのドレスを購入。そのままプライベートモードで二人は施設を練り歩いた。
 そんな中、やっとEST-EXは思い当たるものを見つけ。ヴァニラビットに問いかけをする。
「まさかこれって、クリスマスのプレゼントのつもりですか?」
「え、まぁ、そうかな」
 汗を流しながらヴァニラビットはそう答える。
「もしかしてさっき悩んでいたのはプレゼントを考えていたから?」
 EST-EXの言葉にヴァニラビットはコクリコクリとうなずいた。
「はぁ、そんなに考えなければ、私の喜ぶものが分からないと?」
「だって、どれだけ考えても『……挫折した無様な姿』以外のプレゼントが思い浮かばなくて」
「変態ですか?」
「そう言われるとも思ってた」
 そうヴァニラビットは思わず笑みを浮かべる。
「私、イースターの求めるようには生きられないし、これからも迷惑かけるかもしれないけど……いつもありがとう。頼りにしてる」
 その言葉に息をのむEST-EX。すると少し考えてEST-EXはふわりと笑みを浮かべて見せ、こういった。
「これからも…………期待してます」
「ねぇ。今含みが無かった?」
 ヴァニラビットが苦笑いを浮かべるとさっさとEST-EXは先に行く。夜の様な紫のドレスを翻し、ヴァニラビットを振り帰る彼女はとても尊く見えた。
「早く来ないと、置いていきますよ」
 少し意地悪な相棒は、そんなこと絶対できないはずなのに、今日もそんな冗談を口にする。 
 ヴァニラビットは孫んあ日常がわりと、気に入っているのかもしれない。



●頼りない灯りでも

 冬の季節が体の芯までしみいる、その冬気はやがて骨まで達し『真奥』の指を岩のように固めてしまう。
 かじかんだ指を真奥は口に含んで溶かした。 
 寒空の下、作業がはかどるからと一人外で作業を続ける真奥。
 それは誰から要求されたわけでもなく、自分で申し出たことだ。
 真奥は効率を最大にまで上げるために寒空の下に出たのだ、全てはこのバイトを頑張るため。
 頑張ると言っても、簡単な覚悟ではない。目標があるのだ。時間帯責任者からの、店長昇進、エリアマネージャー、役員そして……。
 その輝かしい未来のためならば今という時間全てを使って、勉強とそして自分の力を認めてもらうために働く日々である。
 それはまさに、バイトに命をかけていると一手も過言ではないレベル。
 そのため、年末年始はおろか、道行く人々が、誰しも煌きを放つこの夜。
 クリスマスにさえも彼はバイトである。
「クリスマスか……クリスマスは、稼ぎ時だ!!」
 そう大荷物を背負って立ちあがる真奥、そんな彼の頭に、程よく温い何かが投げ当てられた。
 ぽさっと地面に転がるそれは紙にくるまれているようで。湯気を立てている。
 そして顔をあげたならそこに立っていたのは、自身のアニマである『恵美』だった。
「はぁ、いつにも増して探究者らしからぬ姿勢ね」
 そう額を抑えて呆れをみせる恵美。
 彼女は一体どうやってこの肉まんを飛ばしたのだろう、体もないのに。
「ありがとな!」
 気が付けば休憩時間、真奥は一息つくため立ち上がり、店舗の壁に背中を当てた、その隣に恵美がやってくる。
「なんでクリスマスまで予定をいれたのよ」
 その言葉に真奥はバツの悪そうな表情を見せて言葉を返した。
「意外にファーストフードでクリスマスの料理を済ませてしまうって人も多いからな……」
「稼ぎ時?」
「そう言うことだ」
「ばか」
 そっぽを向いてしまう恵美。
「まぁ、恋人とか居なきゃ普通に平日よね。そもそもウチにパーティーする余剰資金なんてないし」
 そうため息をつく恵美に、真奥は元気に詰め寄った。連勤が続いているというのにまだまだ元気はありそうだ。
「ぐっ……そんなことねーし、我が真奥城だってパーティーもできるっつーの」
「六畳一間で生活してる男が、そんなお金あるわけないでしょうが」
 そう恵美はにやりと笑って見せた。その表情が悔しくて真奥は鼻を鳴らして背中を壁に思い切りたたきつける。
「はっ、見ていろ恵美! サプライズってやつを見せてやる!」
「それ言ったら、もうサプライズじゃないでしょうが……」
 その直後である、裏口の扉があいて先輩が真奥の名前を呼んだ。どうやら客が団体になって押し寄せたらしい、会計係が足りない。
 休憩もそこそこに真奥は腰をあげて店内に戻る、
 そして、的確に客を捌いていった。
 まるでそれは押し寄せる波にも負けず進む船乗りのようにも見えて、流す汗は潮のしぶきのよう。
 それを恵美は影から眺めている。
「まぁ、がんばんなさい」
 バイトが終わったのは予定より二時間遅れた日付越えの時間帯。
 疲れているはずの真奥だったが、家の扉を開けるなり。メリークリスマスと言った。
「ジャーン、店で抑えてもらってたんだ」
 そう包装紙から取り出されたるは、ケーキや、ターキー。
「ケーキなんて、ミニミニサイズのホールケーキだし。それにターキーなんて……鶏肉であることは間違いないにせよ、単なる骨付き鳥じゃないの」
 そう呆れて溜息しか出ない恵美だ。しかしテーブルの上に並べられているそれを再び見ると言葉を失った。
「え?」
 それは二セット用意されている。
「俺と、お前の分だ」
「ばかね……」
 恵美は真奥に背を向ける。
「私、食べれないんだけど」
 アニマはこの世界の食べ物を口にできない。
 データである必要がある、だがそれは買えなかった。
「でも、一緒に祝いたかったからさ」
 真奥は告げる、その一緒にという言葉が恵美にとってどれほど嬉しかったことか。
「お金に余裕なんてないくせに」
 その時、ポンッと軽快な音がして恵美は振り返る、見ればグラスが二つ、それに注がれる金色の液体、その中にはき方が浮かび爆ぜては消えるを繰り返していた。
「これは、お礼もかねてだよ」
 真奥は思う。
 自分の人生は最初から冷たかった。忌み子として生まれ育ち、周囲の愛情を知らなかった自分。
 理不尽に泣いたこともある、どうして自分が、そう憤ったこともあるだろう。
 だがそれでも今日までやってこれたのは、自分を温め続けてくれた誰かがいたからじゃないか。
 部屋に灯るうっすらとした灯りのように不確かではなく、もっと温かい何か。
 いざ触れようとすると素通りしてしまう存在。
 けれど、その人はずっとそばに居続けてくれた。
 それをずっと見守ってくれてきた存在……恵美だった。
 真奥は思う。 
 居間では貧しいながらも、生活と呼べる真似ができるまでになった。ここで止まるつもりはない、だから。
 そう真奥は恵美に手を差し出した。
「これからもよろしくな。恵美」
 その手を恵美は微笑んでとる。
 その夜、二人の部屋の明りは少し遅くまでついていた。




依頼結果

成功

作戦掲示板

[1] ソラ・ソソラ 2017/12/23-00:00

おはよう、こんにちは、こんばんはだよ!
挨拶や相談はここで、やってねー!  
 

[3] 真奥 2017/12/29-22:27

こんばんは、挨拶は人として大事だよな。
よろしくお願いします!  
 

[2] ヴァニラビット・レプス 2017/12/29-09:30

ケモモでマーセナリーをやってるヴァニラビットよ。
あまりPC間で絡む依頼じゃないけど、一応ご挨拶まで。
これから参加するって人も、よろしくね。