プロローグ
● 空の支配者。
その浮島はとても小さかった。
だがそれはあくまでその島に住まう唯一の生物にとっての話。
その鳥は翼を広げれば十メートルの巨体、太陽の光を遮るのには十分。そしてまた、目の前を通りかかった哀れなエスバイロ乗りを捕えることもまた用意。
その巣にはエスバイロの残骸と、そして食い散らかされた人の死体が積み上がる。
腐臭が漂う暗黒の巣から再び鳥は飛び立って。獲物を求めて空を走った。
ヴァイレスの暗黒の翼はついに、力を求めて空挺を目指す。
接敵まであと二時間程度。
今回招集された皆さんにはあの外敵を打ち滅ぼしてほしい。
神をなのり、飛来する鳥を。空をかけ、一人の犠牲者も出さずに倒してほしいのだ。
そのために国から試作型のエスバイロが貸し出された。
有効に活用してほしい。
● エスバイロ試作ユニット
現在ブロントヴァイレスとの戦闘後。市場からエスバイロのパーツなどが消え枯渇状態でしたが、光が見えてきたようです。
今回は皆さんにヴァイレスを倒すついでに新作エスバイロの試用運転をしていただきます。
と言っても皆さんのエスバイロに追加パーツを装着することになるので、皆さんのもつエスバイロに能力を+αするものだと思ってください。
三種類あるので、それのどれかを選んでください。
1、アッシュドガッシュ
灰色と銀色を基調としたエスバイロです。ハンドルにコントローラーが装着されており、片手のボタン操作で細かく照準や武装の変更が可能な。
銃座型エスバイロです。このエスバイロには銃器や魔術系の装備を取り付けることができ、アニマが命中演算し放つことができるので。
命中力とダメージの増強が期待できるでしょう。
2、ハンプティ―ダンプティー
オレンジを基調としたエスバイロです。極めて器量で、エンジンを二基搭載しているため、加速力に秀でます。
よって、回避力、移動力に高補正がかかります。
3、日輪
このエスバイロだけ他のものとコンセプトが違い、発売されないかもしれませんが。
コントロールを全て足で行う、立ち乗り型のエスバイロです。ブースターを吹かせるとオレンジ色の軌跡を描いて飛ぶのでこのような名前になりました。
これを選択した場合、皆さんのエスバイロは原型がなくなるくらいに改造されてしまうことになるでしょう。ただしシナリオ終了時には元に戻るので安心してください。
特徴的な能力としては両手がフリーになるので地上戦と同様に武器を使うことができますし、小回りもききます。
さらに燃費がいいので、余った分のフラグメントをMPとして変換できます。
この日輪を選択するとMPを50回復できる権利が一回もらえます。
解説
目標 神鳥の撃破。
神鳥は翼を広げると十メートルにもなる巨大な鳥です。
そのつばさは強靭。爪は鉄を切り裂きます。まともに受ければ致命傷となる攻撃を多く持ち、これまでの敵と比べるとトップクラスで危険な相手です。
そして対象は先日現れたブロントヴァイレスと同族のヴァイレス種。
この戦いの注目度は大きいのです。
なので政府は皆さんに試作型とはいえ最先端のエスバイロを貸し出してくれます。
それを自身の力を計算に入れて、敵を打ち滅ぼしてください。
神鳥のスキルは下記の通り。
『聖風』
狙いを定めることのできない暴風を四方に放ちます。
命中精度が低いですが周囲を飽和させるように放ちます。
『暴風』
周囲に四本の竜巻を発生させます。この竜巻には追尾性能があります、さらに引き寄せる機能があるのでよっぽど回避が高くなければダメージを受けるでしょう。
『鉄翼』
急加速しながら風の壁を纏って突撃します。出が早い近接技でよけるのが難しいです。
ゲームマスターより
こんにちは皆さん鳴海です。
今回は初の空中戦闘メインのシナリオです。
実は私、空中戦書くの好きなんですよね。
やっぱ空中戦はかっこよくてよい、と思いますので皆さんの参加お待ちしてますね。
ソラオトシ エピソード情報
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担当 |
鳴海 GM
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相談期間 |
4 日
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ジャンル |
戦闘
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タイプ |
ショート
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出発日 |
2017/11/14
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難易度 |
普通
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報酬 |
通常
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公開日 |
2017/11/23 |
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◆エスバイロ 『日輪』を選択 カラーは選べるなら青~藍色系列 ◆分担など ブレイと共に前衛。 ◆行動 神鳥と対決。 勝ちに行くのは勿論、周囲の目を意識し、皆を勇気づける『かっこいい』戦いを目指して! ブレイと共に前衛だがエスバイロが違うので無理に歩調は会わせず、互いの得意距離で弱点・死角を補うように行動。 日輪のMP回復もあるので、スキルは遠慮なく全力全開。 神鳥には『聖風』『鉄翼』に警戒して進行方向に立たぬよう注意し、『暴風』を放った直後を狙って接近、一撃離脱のカウンター狙い。 『暴風』の吸い込みを逆用し、最接近と同時に加速、『サモンズエッジ』の一撃を当てつつスイングバイの要領で離脱…という作戦で
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オイオイオイ十メートル級の鳥が相手とか死ぬわ……なんて言ってる場合じゃねえか 試作機も貸してくれるというから、そいつを使って叩き落とすか 俺が選ぶユニットはハンプティ―ダンプティー。これで俺のブリスコラを超高速仕様にする 戦闘時はエクスに補助をしてもらいつつ回避とかく乱に専念。さらに挑発もして俺に攻撃を集中させる 可能なら『暴風』を誘導して奴にぶつけられないか試したり、エクスと味方の攻撃を観察して弱点を探る 状況が劣勢だったり、もうひと押しというとこまできたら『オーバーチューン』を発動。限界を超えた速度で接近して『エネルギーブレード』と『ウェポンマスター』で操る【エルリック】で急所に渾身の一撃を叩き込む
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選択 【日輪】 フィール 開幕にへーんしん☆トランス ひっさ~つ☆ファイナルダウンを連発しまくる、『最初からクライマックス作戦』 魔力不足時はブルーアイズの射程4攻撃 最適距離を保ちながら、最大攻撃を撃ち続ける。 アル 攻撃を最大効率で行える位置を算出。神鳥との位置を常に警戒し、移動が必要な場合は即座にフィールを移動させる また、フィールの魔力(MP)状況を計算。効率よく攻撃できるように日輪のMP回復を使用。 状況を見て、必要になった場合は『クラスフォーム』でフィールの能力を倍増させ、ギリギリまで攻撃を続けさせる。 撃破が難しいと判断の場合、『撃退』に目標変更。命を大事に、作戦じゃ。生きていれば、リベンジできよう。
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参加者一覧
リザルト
プロローグ
青い空を背景にその翼は翻る。
遠くに見えるその鳥の縮尺がおかしいことに、探究者たちはやっと気が付けた。
後ろに浮かんでいる島との対比がおかしい。空にあれば比較物が無く見落としてしまいがちだが、気が付いてみれば確かにあの鳥は巨大だった。
見つけた、あれが今回退治しなければならないヴァイレスだろう。
「オイオイオイ十メートル級の鳥が相手とか死ぬわ……なんて言ってる場合じゃねえか」
そう引きつった笑みで口にするのは『ブレイ・ユウガ』そんなブレイに命じられてエスバイロの運転をこなすのはブレイのアニマである『エクス・グラム』二人はギアをあげさらに加速、目標へと突き進んだ。
そのエスバイロは今回の任務のためにあつらえられた特別製。
その特別製のエスバイロをあてがわれた『ヴァニラビット・レプス』は乗り心地がもう気に入ったようだった。
――ご機嫌ですねマスター。
『EST-EX』がヴァニラビットに沿う言葉をかけると、ヴァニラビットは髪を風になびかせながら告げる。
「このまま持って帰りたいくらいいい出来よ。あとは使いこなすだけ……!」
機体性能を存分に引き出せればあのヴァイレスも怖くはない、そうにやりと笑うヴァニラビットの頭上から影が堕ちた。
『フィール・ジュノ』のエスバイロが上からかぶさるように飛来してきたのだ。
当のフィールは『アルフォリス』に操縦をかわって、掛け声と共に返信。
「みんなのあいで、へ……変身」
フィールが告げた次の瞬間。大人しげな黒髪黒目の少女が光に包まれ全ての衣装が紐のようにほどけてしまう。
長い髪は丁寧に結い上げられ。そのスタイルのいい体を強調するために、ぴったりとした魔法少女衣装が、手先から足先からまとわりつく。
最初にレオタード、その上からスカートが出現し。実体化。
恥ずかしそうにフィールは自分の体をなぞるが、それが逆に肉感を増してありありとその豊満さを見せつける。
胸が揺れたり、御尻にカメラが寄ったりした後ついにフィールの真っ赤に染まった表情が映し出され。そして光がはじけた。
魔法少女に変身したフィールは、肩出し、超ミニスカとニーソックスの姿で、カメラ目線に笑みを向ける。
そんな『へーんしん☆トランス』の光によって一瞬視界が奪われるが、やがて全身に力をみなぎらせたフィールがヴァニラビットの隣に並ぶ。
「最初から全力で行くよ!」
告げたフィールが敵を射程内に収めた瞬間。『ひっさ~つ☆ファイナルダウン』を連発しはじめた。彼女曰く『最初からクライマックス作戦』らしい。
それに続くヴァニラビット。
「さぁ、魅せるわよ!」
戦いは空で。たまらなく青く、いくつもの命を飲み込む空で行われる。
この空から生還できるのは片方のみだとしたなら。
それは君かそれともだれか。
勝負の行方は風だけが知っているのかもしれない。
第一章 空を舞う
開幕と同時に放たれたフィールの一撃。
その魔術はさっそく翼に命中。フラグメントの塊を撃ち込まれた神鳥は姿勢を崩す。僅かな失速、だが敵の襲撃を感じたヴァイレスはその前方に壁のような暴風を放った。
「やべぇよ、あんなん倒せんのかよ」
そうつぶやくブレイ。
「倒さないと仕方ないからね!」
次いでフィールがはじかれたように直上に逃れた瞬間、三人は散開した。
――攻撃を最大効率で行える位置を算出中じゃ。敵ヴァイレス戦闘行動に移行した模様。どうしようかの?
「もちろん倒すよ」
フィールが短く告げるとアルフォリスは短く頷いた。
――承った。お主の魔力は常にもにたりんぐ、しておるからの。思う存分に使うがよい。
次いでアルフォリスはフィールとフラグメントラインを接続。エスバイロからのバックアップMPを回す。
今回搭乗するこのエスバイロは特注品の日輪モデルである。今回はかなり自由にスキルが使えそうだ。そうフィールの胸が高鳴る。
「さぁ、いくわよ」
告げるとフィールの周囲に魔方陣が浮いた。その全てにフラグメントが充てんされていく。
「頼むぜ、ブリスコラ!」
直後ブレイも動く。ハンプティ―ダンプティーを追加パーツとして改造されたブリスコラはいつもよりかなり調子がいい。
唸るエンジンのままに加速、この距離であれば十分に回避が間に合った。
――ちょっと、頼りにしてるのはブリスコラだけ?
そう口調をとがらせエクスが告げる。
「なんだ? やる気じゃねぇか。だったらよエクス。お前にも期待してるぜ! 操縦は任せた!」
ハンドアックスを担ぎ直したブレイ。急降下にて風を回避。すると、上空をなにやらうねるような空気の塊が飛んでいったが、回避してしまえばなんてことはない。
――はいは~い。じゃあしっかりサポートしてあげる。あっちなみに先に行っておくと……私の操舵は凶暴よ?
ブレイは加速、下から伸び上がるようにヴァイレスの腹部を狙う。
――大丈夫、どんな攻撃も当たらなければどうということはないわ! ……一度言ってみたかったのよねぇ。
直後、無礼は加速度そのままにヴァイレスの腹部へと一撃加えた。
その刃は肉を削ることは叶わなかったが空に一筋赤い軌跡を描く。
「やべぇ、やっぱかてぇな」
――けれど……。
「あのドラゴンほどじゃねぇ」
次いで上空からヴァニラビットの奇襲である。
空に同化しそうなほど澄んだ青色の期待は、落下の加速度そのままに敵を穿つ。
槍の刺突でヴァイレスの肋骨の隙間を狙うがうまくは行かなかった。
「だったら!」
ヴァニラビットはブレーキとハンドルを操作。
一瞬のターンで逆方向にブースターを向け。生じるGを全て受けきった。
そのまま反転しながら、エスバイロに足だけで体を固定。槍はまるでビリヤードのキューのように構えそして。
素早く連撃。刺突。
直後ヴァイレスは悲鳴を上げた。
「やった?」
すれ違いざまに告げるヴァニラビット。
しかしまだ余力はあるようだ、神鳥は体制を立て直し、そして広範囲にその風を放つ。
吹き飛ばされる前衛組。
そのまま追撃にと、神鳥は翼に風を纏う、それを許さないのがフィールである。
「グレーターに比べれば格下でも強敵そうだね。……味方も少ないし」
不安げにつぶやくフィール、その眼前では高濃度に圧縮されたフラグメントが揺れる。
――まずいのう。こりゃアレじゃな。民間人の声援で奇跡を起こすアレしかあるまい。
「え?」
聞き返すと同時に、ありったけのエネルギーを神鳥に叩き込むフィール。
その一撃はみごとに、ヴァイレスの翼へ突き刺さったが、今やそれどころではない。
顔を真っ赤にして、当たりを見渡すフィール。
そのきわどい姿をネットに流し続けるカメラを探しているのだ。
――ふふふ。探しても無駄じゃ。
絶対見つからないように細工がしてあるため、探しても見つからないのだ。なのでアルフォリスは余裕の笑みである。
――皆、応援して不思議パワーを分けるのじゃ! ……こやつが死んだら、もうこの桃色配信は無しじゃぞー。
何やら画面越しに聞こえてきそうな歓声。その幻聴を振り払いながらフィールは自分に向かって告げる。言い聞かせるように告げる。
「出し惜しみする時間はないよね、うん。この人数だと『時間を掛けると負ける』し『効果が安定しない特殊能力攻撃』は無駄に時間がかかっちゃう。だから、だから」
そうフィールは視線をあげると、ぐっと両手を握って宣言した。
「命懸けかな。でも、やるっきゃない!」
命以外のものもかかっているが、今はそれを気にしないフィール。
――増援に来た者には、フィールにR17までのえっちぃ事を許可する!カモーンじゃ。
画面の前のお友達は大はしゃぎである。心なしかそのおかげでフィールの魔力も高まってきた。
「私の力の源が、煩悩って……」
そう肩を落とすフィールである。
第二章 落下
フィールは半ばやけっぱちで『ひっさ~つ☆ファイナルダウン』を連発しまくる。
MPが尽きることなど考えていない。いや、MPが尽きたなら『ブルーアイズ』で攻撃すればいいだけなのだ。
出し惜しみはいらない。
むしろ早くこの戦いを終わらせるために最大火力で迎え撃つ必要がある。
フィールはそう涙をぬぐった。
「まだ倒れないの?」
頼りない青い杖を振り回しながら魔法弾を飛ばしていくフィール。
その火力支援を受けながらブレイとヴァニラビットはすれ違いながらダメージを重ねていく。
縦横無尽に動くブレイにヴァニラビットが合わせる形だ。
お互いに死角がなく、ダメージを重ね無いように立ち回る。
ブレイはその速度にまかせて敵を切った。
翼が翻れば斧を盾にする。だがその衝撃をエスバイロが吸収しきれればいい。
もしそれが不可能な場合。例えば下から打ち上げられるような攻撃だった場合。その体はエスバイロ上にとどまれず宙を漂うことになる。
「あ?」
木端のように空を舞うブレイ。
だがその体をエクスがヴァイレスを介して追いかける。
――ブレイ!
耳元で彼女の声が聞える。アニマがブレイをよんでいる。
あまりの衝撃に一瞬意識を失ったブレイだったが、その声で目覚めるとまず空っぽの肺に空気を入れた。
そして落下する体を抱き留めると飛来するエスバイロのハンドルに手をかけて乗り移った。
「死ぬかと思った!」
そうブレイは安どのため息を漏らすと、助けてくれたアニマに礼を言う。
そしてUターンしてヴァイレスへとさらに向かっていった。
その子脇をフィールの魔術弾が駆け抜けていく。
フィールは敵の暴風を受けながらも受け流すために身を任せ、くるくると空を振り回されながら狙いをすまして。魔術を放つ。
それを繰り返していた。
おかげさまで自分もエスバイロもぼろぼろだったが、まぁ仕方がない。
――衣装もぼろぼろじゃな、よいよい。
「ちょっと、アルフォリス黙っててくれない?」
そんな探究者たちにたいしてしびれを切らした神鳥は、その翼にて周囲の敵を薙ぎ払おうとするも。
すぐに体勢を立て直され、まとわりついてくる。
「当たればやべぇ、ひとたまりもねぇ」
そうブレイは回避に専念しつつ、敵の意識がヴァニラビット等に移った際にはその眼前を横切った。
敵の注意をそらし、攻撃を受けたら弾き。敵の自由にさせないように飛び回る。
「ヴァイレスちゅわ~ん。ちょっとクソエイムすぎてんじゃな~い?」
かちんっと、ヴァイレスでも頭に来るのだろうか。
怒りに燃えるヴァイレスの瞳、それが無礼を見すえた時。
「捕えた」
ヴァニラビットは最接近、回避不可能な懐に飛び込む、その目に映るは脈を刻む心臓。
次いで『サモンズエッジ』
空中に血の花が咲いた。
その一撃でヴァイレスはやばいと悟ったようだ。
加速し、一気にこの三人を抜き去ろうと決めたらしい。
「逃さない」
ヴァニラビットはアクセルをふかす。限界ぎりぎりまでエンジンを高める。
広い空を取りと並んで飛行するヴァニラビット。
時に交差し時に頭上をとられ。時に追い抜かされるもその背中に魔法弾が突き刺さって減速する神鳥。
その神鳥が加速するためでなく、ヴァニラビットを叩き落とすために、その翼を大きく振るったその時をねらって。
ヴァニラビットはハンドルを操作。ヴァイレスの体表ギリギリと舐めるようになぞりながらヴァイレスの上空を取り。そして。飛び降りてその槍を背中に突き立てた。
轟く悲鳴。甲高い鳥の鳴き声。
暴れるヴァイレスの舵取りは全てその槍で行わなければならない。
「大人しくしなさい」
ヴァニラビットは槍をぐりぐりと突き刺すと同時に全フラグメントを解放、素早く引き抜くと。そっくり同じ槍を複製し召喚。
両の槍でクロスするように敵を穿った。
「EST-EX!!」
はじかれたように相棒の名前を叫ぶヴァニラビット。
その掛け声と同時にEST-EXはアニマを上空につけた。
飛びずさるヴァニラビット。エスバイロのフットガードに手をかけていったん神鳥から離れると落下を始める神鳥を見ながら腕の力だけで飛んだ。
そのままエスバイロの座席に着地すると。その様子を眺め見る。
「まだ動けるのか」
血を洪水のように周囲にばらまきながらも羽ばたこうとするヴァイレス。その背後から追いついてきたブレイが一撃加える。
「名づけて、バンザイカミカゼアタック……」
斧で背中から切り裂くような一撃。その刃は最初と違って深く肉を断つ手ごたえがあった。
そのひるんだすきにヴァニラビットが連撃をみまう。
複製した槍を統合した最後の一撃である。
一瞬断末魔のような悲鳴を上げたヴァイレス。だがその体は力なくアビスへ向かって落下を始めた。
「ほれアビス。久々の大物だ。お残しは許しまへんでぇ」
そう告げるブレイの言葉通り。やがてヴァイレスは小さくなり、霞んで消えた。
任務完了である。
依頼結果