アリシア・ストウフォースの俺の嫁と! 最後の日常を!pnkjynp GM) 

(イベントシチュエーションピンナップ制作 : ほのか IL)



リザルトノベル


「う~ん……」
 学園旅団アカディミア内、早朝のマノリフィア学院の図書館にて。
 【アリシア・ストウフォース】は頬杖をつきながら一冊の本と睨み合っていた。
 その本の表紙には『暗流(Dark Flow)の与えた影響と、それによるアビスとアニマの構成変化に関する考察』と記されており、旅団連合の内部で密かに進められていたユートピア計画とアビスの接近が重なったあの大事件……暗流と、その後に起きている世界の変化について記載されていた。
「大丈夫、アリシア? そんな風に唸るの、もう五度目だよ?」
 そんな彼女を、アニマである【ラビッツ】は心配そうに見つめている。
 何故なら、アリシアにこうしてつまらなさそうな様子が見られるときには、大抵自分が頑張らなければならない展開が待っているからだ。
「……あきた」
「えっ?」
「読むの飽きた~~!!」
 本をたたみ、椅子の背もたれに思い切り身を任せたアリシアは、所謂三角椅子状態になると、突然そう愚痴を漏らす。
「わわわっ!? アリシア~! ここ図書館だからそんな事言っちゃダメぇ~!?」
 時間が時間のため、周りに人はおらず誰からも咎められたりはしないが、英知の殿堂であるこの場所でするには中々の問題発言である。
「ああそっか、ゴメンゴメン。でもさぁ~」
 相棒の言葉に落ち着きを取り戻すアリシアだったが、今度は机に突っ伏すと上目遣いに向かい側のラビッツを見据えた。
「この本、暗流の話ばっかで全然先に進まないんだもん。実際に経験した身としては、そっちの話はお腹一杯って感じ。ほら、治療もそうだけど、百聞は一刺しに如かず~的な?」
「それを言うなら一見に如かず、でしょ?」
「そうとも言うね~。じゃあそんな物知りさんにお願いを1つ!」
 アリシアは、ずいと本を押し渡す。
「音読、お・願・い♪」
 にっこり笑顔にぱっちりウィンク。この破壊力は正に小悪魔(デモニック)と呼ぶにふさわしいだろう。
「も~しょうがないんだからぁ~……」
 ラビッツは本を受け取ると、先ほどの続きを読み進める。
「えっと~……件(くだん)の事件の後、アビスはその高度を下げただけでなく、感染力の低下が見られる。その理由について、学者の中では、アビスの中枢である黒い羊が鎮まったため、との見解が根強いが、著者の行った調査によれば、感染者の精神が起因して、その活動を弱めている。という仮説が考えられる。具体的には……」
 アリシアが聞き苦しくないよう、一生懸命音読するラビッツ。その辿々しさは、妙に初々しい。
「アニマの実体化については、未だはっきりしない部分も多く、分かっているのは、【フラジャイルのマリア】との接触が長ければ、スレイブ化と呼ばれる、実体化現象が、起こりやすいということだ。また、スレイブ化したアニマは、演算能力に問題はないものの、電子機器類にアクセスしての、遠隔操作が行えなくなった事をはじめ、これまでと違った環境に、即時適応する事は、困難なようであり……」
 そんなラビッツの音読をBGMに、アリシアは句読点の度に目の前で揺れるラビッツのアホ毛を、ただじっと眺めていた。
(あ、また動いた)
 勿論、本の内容に興味がない訳ではない。
 アビスの現状やアニマのスレイブ化は、この世界における最大の謎と言える部分だ。
 だが、あの事件から半年が経って、世間のアニマ達は順調に肉体というものに慣れ始め、闇の海から世界を脅かすほどの敵も出現してはいない。
 数多の冒険を繰り広げたアリシアからすれば、実に平穏で、落ち着いた毎日のように思われる。
「次に……アリシア? どうかした? はっ!? な、何か私の顔についてる?!」
 本の向こうにあるアリシアの熱視線に気づいたラビッツは、ワタワタと自分の顔を手で触って確認する。
 この慌てぶりだけは、暗流の前と後とも変わらないようだ。
「ふふっ。……なんでもなーい。読んでもらったけど、いまいちピンと来ないな~と思っててさ」
「えぇぇ!? また飽きちゃったの~!? ……もぅ。私、頑張ったのにー」
「へへへ。それより他の本読も! 何か医学に関する本無かったっけ?」
「あ! それなら図書館の人に場所聞いておいたよ! えっとね、あっちの棚の……!?」
 これまでの癖からか、空を飛んで場所を示そうとしたラビッツは、のけぞったような体勢で椅子から転んでしまった。
「わっ!? 大丈夫ラビッツ!?」
「うぅ~~……!!」
 強打してしまった鼻を押さえながら、ラビッツは小さく首を縦に振ると、立ち上がり本を取りに走って行く。
 パタパタと走りゆくその後ろ姿は、これまで見てきたホログラムの物と同じ見た目のはずなのに、アリシアにはどこか楽しそうに感じられた。

~~~

 それから暫くして。
 正午を迎え、学生達が集まるような頃になっても、アリシアは熱心に本を読み込んでいた。
「なるほど。確かにこの方法なら……あ、でも体が弱ってる人だとちょっと負担が大きいかな。ああ~、確かあの本がこの辺りにあったような~……」
 早朝とは打って変わって、既にアリシアは厚みのある医学書を10冊読み終えており、積み上げた本の山から、新たに得た知識を自身のノートに書き写していく。
 中でも『治療のすすめ』という本は、お気に入りのようで、何度も何度も読み返していた。
 そんなアリシアを、今度はラビッツがじっと見つめている。
(アリシア……楽しそう)
 ラビッツがアリシアのアニマとして目覚めてから、およそ13年になる。
 小さい頃からアリシアは好奇心旺盛で、何かをやると決めたら、ただそれに向かって真っ直ぐ突き進む。
 それは線路を脱線してもなお、止まることを知らない暴走特急のようなものだ。
 そんな主人だからこそ、アニマとしては心配になることも多い。
(あぅ……こないだケガしたところ、まだ痛むのかなぁ……?)
 転記作業の途中、アリシアは右手の甲を、左手の指で数回さする。
 それは数日前、火事の現場に乗り込んで子供を助けたときに、やけどを負ってしまった部分であった。
 実体化してから、アニマの頃には出来なかった手術の手伝いだって可能となった。
 だが実体化したからこそ、主人の身体状況をデータ把握できなくなったラビッツには、それが痛みによるものなのか、痒みによるものなのか、一目では分からない。
 それがとても悔しくて。
 彼女は名前の由来でもある、兎の耳のように長く伸びた白髪(しらがみ)を二束、ぎゅっと、握りしめる。
 こうして心配してしまうのも、つい小言を言ってしまうのも。
 いつも明るい彼女の笑顔が、曇ってしまわないでほしいと……願うからこそ。

~~~

「ふぅ~……うんうん。満足満足!!」
 アリシアはグイと両腕をあげ伸びをすると、お気に入りの星のイヤリングがかすかに揺れる。
 時刻は18時を回り、学生もまばらになり始めた図書館にて。
「楽しかった?」
「楽しかった!」
「なら、来て良かったね!」
 夕日に照らされる2人は楽しそうに笑い合う。
「あ、そうだ! ラビッツ、アストライオスへの定期便って、まだあったっけ?」
「え? 確かもう今日の分は終わっちゃってたと思うよ?」
「そっかー。よし。じゃあエスバイロで直行だ!」
「えええっ!? だってアリシアの問診はまだ1週間も先で……」
「だってさっき見つけた治療法なら、あそこの患者さん元気にしてあげられそうなんだもん! 一人でも笑顔の人が多い方が楽しい! でしょ?」
 そう言うと、アリシアは椅子にかけていた白衣を纏い、何十冊という机上の本を返却カウンターへと戻し始める。
「わわわっ、えっとえっと……!」
 エスバイロで行くには距離的に燃料が厳しい。だとか、今日する予定だった食材の買い出しはどうするの? だとか。
 ラビッツの頭の中には言いたいことが様々に駆け巡るが、言葉をまとめるよりも先にアリシアは出発の準備を整える。
「よし、これ戻したらOKだね。いくよラビッツ!」
「へっ? あ、ちょっと待って~~!!?」
 ラビッツも治療道具を入れたバックを肩から下げると、自分の手元にあった本をカウンターに戻し、図書館を飛び出していく主人を、急いで追いかける。

~~~

 勢いよく置いたため、ラビッツの戻した本は床に落ち、ページが数ページほどめくれてしまう。
 開かれたページにはこのような記載があった。

『暗流による死傷者は、未だ正確には把握されていない。だが、旅団の損害規模から比べれば、人的被害の割合は格別に低く、特にユートピア計画に加担していたとされる兵士の死傷率の低さは、目を見張るものがある。混乱した状況の中、適切な治療を施した何者かに、著者は称賛の言葉を贈りたい』

 そんな事など露知らず。
 全ては自分を待つ患者の笑顔のために。
 アリシアは今日も、ただ前だけを見据え駆けだしていく。



 アリシア・ストウフォース  ( ラビッツ
 デモニック |  マッドドクター  | 18 歳 | 女性 
スポット7
アビスの現状もラビッツのスレイブ化もどっちも気になるからね…
ちょっと調べ物と考察していこっか

うーん…ワタシは治療とかも実践で覚える派だったから、本読むのめんどいよー!ラビッツ音読して!それならまだマシかも!

…読んでもらったけど!やっぱりよくわかんない!もー諦めて他の本読も?
平和になったんだから、気にしすぎもいけないと思うし!ね!
あ、治療のすすめなんて本もあるじゃん!これならワタシでも読める気がする!これにしよー!

ふぅ…うんうん。満足満足。
そう言えば浮島で教えて貰った治療法、書き出すの忘れてたや
ワタシだけじゃなく他の人にもこの治療が伝わるように書いておかないとだよね
今読んだ本と浮島の治療法とか書いておくから、ここからは別行動にしよー!

いつでもマイペース。だけど、治療のために。ワタシは駆け回る。
だってこれがワタシらしい生き方だから。変わることはないよ。



依頼結果

大成功

MVP
 アリシア・ストウフォース
 デモニック / マッドドクター

 ラビッツ
 

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